家に着いて感傷に浸る暇もなく、学校の準備をする。自分でも微熱があるのは分かるが、マスクをつけとけば顔色はばれないし、大人しくしとけば大丈夫だろう。欠席連絡も丁度切れたところだし。そんなことを考えながらまた家を出た。
「…おはよう。」
「…はよ。」
学校に行く途中でたまたま会った翔太に声をかけると、翔太はびっくりした様子だった。
「お前…体調は?」
「…大丈夫だよ。心配しすぎ。」
「いや…でも…」
「行こう。学校遅れるよ。」
戸惑ってる翔太の手を引っ張り学校に向かった。「あっつ…」と呟いた翔太の声は無視した。
昼食の時間になった。いつもだったらみんなが集まる屋上に向かうのだが、体が怠すぎてそれどころではない。1歩も動きたくないし、お腹も空いてない。治りかけだったのになぁと1人机に突っ伏しながら考えていると前から声がした。
「舘さん、舘さん…大丈夫…?」
「…ふっか…?」
「そう、中々来ないから様子見にきたの。翔太から今日舘さん来てるって聞いてたから。」
「…」
「体調悪い?保健室行く?」
「…行かない。」
「そっか。…でも舘さん顔色すごい悪いよ。ここだと休めないでしょ。行った方がいいと思うんだけど…」
「…大丈夫。」
「…舘さん…」
「大丈夫だから…1人にさせて…」
「…分かった。何かあれば呼んでね。」
そう言ってふっかは教室を出て行った。悪いことをしたと思ってはいるものの、謝りに行く元気は無い。再び机に突っ伏して時間が過ぎるのを待った。
いつの間にか学校は終わっていた。教室には誰もいなくて外で部活をしている声が聞こえる。帰らないとと思ってはいるがもう何もかもが限界すぎて動くことができない。すると、廊下から足音が聞こえ、それは徐々に近づき俺の前で止まった。
「…涼太。」
「…しょ、た…」
「俺らもいるよー」
「…みんな…」
顔をあげた瞬間、翔太が俺の顔を手で包んだ。
「…っ、翔太…?」
「朝から思ってたけど、顔色悪すぎ。顔熱いし。」
「…」
「先生からも聞いた。いつも真面目に授業を受けてる宮舘が珍しくずっと机に突っ伏してたって。」
「…」
「何でそんな状態で学校なんか来たんだよ。」
「…」
「…おい、聞いてんの?」
「ちょ…翔太、言い方強いって…」
「…関係ないでしょ。」
「は?」
「俺が、どんな状態だろうが、翔太には関係ないでしょって言ったんだけど。」
「はぁ?俺お前のこと心配してんだけど?」
「してるからって何?じゃあ俺の体調を翔太は心配するだけで治せるっていうの?」
「…もう、知らねぇからな。」
そう言って翔太は教室を出て行った。それを佐久間とふっかが慌てて追いかけて行った。残ったのは阿部と照だけ。
「…舘さん。」
「…何。言い方が悪すぎたのは分かってるけど。」
「違う。俺らが言いたいのはそうじゃない。」
「じゃあ何?体調悪い中来んなよって言いたいの?」
「違う、舘さん、話聞いて。」
「…」
「俺らが言いたいのは、翔太に対する言動でも体調に関してでもない。」
「…」
「…1人で何でも抱え込まないでってこと。」
「…」
「それだけ。舘さんが抱え込んでることは分からないけど、それを聞きたいと思うから。今じゃなくてもいい、話して欲しい。」
「…本当にそれだけ。帰ろう。もうすぐで下校時刻になるから。」
「…うん。」
こうして俺は照と阿部に支えられながらなんとか家に帰った。道中、会話はなかった。
コメント
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めっちゃ遅いですが初コメです この先の展開気になって夜も寝れないので続き待ってます✨
ゆり組❤️💙 続き楽しみにしてます☺️