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………ほんっとにいい男はいないのかしら。

貴族とあろうものが、こんなに情けなかったら、国民に示しがつかないでしょうがっ。というか、あんたらは『国王』という地位が欲しいだけで、私たち王女への忠義なんてものはないんでしょう?あんたたちはどうやっても国王になれない。王家の血がないから。この国は血筋で王が決まる。だから、婿に入れたとしても、ずっと、国王の補佐。私たちの言いなりになるだけよ。どうしてそれがわかっていないのかしら。まぁ、でもこの場で婿を選んどかないと私が王になれる可能性が低くなるだけ。ある程度の妥協は、我慢しないと。…でもねぇ…妥協をクリアできるものもほとんどいないのよねぇ…はあ、もっといい男はいないのか、し、ら…

え?

コツコツ

「お初お目にかかります。ホオズキ王女殿下。私はピオニー・チューベローズ、と申します。以後お見知り置きを。」

「え、えぇ。…チューベローズといえばあのチューベローズ伯爵の?」

「はい。左様でございます。古くから、王宮の護衛や国王様の補佐をさせていただいてます。」

「チューベローズ伯爵は父の古くからの友人と聞いております。」

「えぇ。国王様と父は古くからの知り合いでして、良くしていただいています。何度か王宮の舞踏会にも参加させていただきました。」

「あら?そうでしたの?」

あなたほどの美貌ならばすぐ覚えそうなのに…「幼い頃の話ですので、物心ついてからはあまり社交場にでる機会がなく、私の顔を知るものもあまりいないかと…」

「なるほど。だから、貴方様を見たことがなかったのですね。」

「はい。…ですが、私は幼い頃からホオズキ様をお慕い申しておりました。届かない存在だとわかっておりながら、手を伸ばしたくて、お声を聞いてみたくて、たまりませんでした。なので今日貴女様にお会い出来て私は恐悦至極にございます。この時がずっと続けばいい、そう思っております。…ですが、貴女様はこの国の王女。全ての人に平等でなければならない。私だけが貴女様のことを独り占めしてはならない。…もし、叶うならば貴女様をこの身を差し出してでもお守りし、支えていきたい。それだけが私の今1番の願いです。」

「…」

「では、失礼します。ホオズキ王女殿下。」

チュッ

男が部屋を去る。…決めたわ。私にはあの男がふさわしい。

「ふふふ、ふふっ」

あの者が欲しい!欲しくてたまらない!たとえどんな手段を使ってでも、私は手に入れて見せる!

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