テラーノベル
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帰りの寄り道、コンビニの前。
自動ドアが閉まる音が、やけに大きく聞こえた。
【ころん】「寄り道感あっていいね」
【莉犬】「早く食べたーい!」
【あっきぃ】「……うん」
袋を持って、歩き出した、その時。
角を曲がった先。
(……あ)
見覚えのある背中。
…ぷり兄、まぜ兄、けちゃ兄だ。
一瞬で、音が遠くなる。
【あっきぃ】「……っ!」
足が、止まった。
【莉犬】「……?あっきぃ?」
【ころん】「どうした――」
【まぜ太】「……あ?」
気づかれた。
【ぷりっつ】「……あっきぃ?」
名前を呼ばれた瞬間。
胸が、ぎゅっと潰れる。
(……息)
吸おうとしても、入ってこない。
【あっきぃ】「……っ、は……」
【ぷりっつ】「…あっ…」
喉が鳴る。
視線が、刺さる。
(見ないで。近づかないで)
頭の中が、真っ白になる。
【あっきぃ】「……っ、は……っ」
息が、細切れになる。
【莉犬】「あっきぃ!こっち、おいで!」
【ころん】「いいから、見ないで!」
肩を掴まれて、壁際に連れていかれる。
【あっきぃ】「……は……っ、は……っ」
吸えない。
吐けない。
(苦しい)
【ころん】「大丈夫。大丈夫」
【莉犬】「俺いるよ、聞こえる?」
手が、震える。目が合わない。
【あっきぃ】「……っ、は……」
【ころん】「僕の目、見て」
ころんくんの顔を、視界に入れる。
【ころん】「今、吸わなくていい。
吐くだけでいい」
【莉犬】「一緒に数えるよ。
いーち、にー」
【あっきぃ】「…はぁ…っ」
息が、少しだけ外に出る。
【莉犬】「そう、ゆっくり」
【ころん】「今は、安全だから」
その言葉が、胸に落ちる。
(……安全)
数回、繰り返す。
息が、少しずつ戻る。
少し離れたところで。
【まぜ太】「…行こうぜ」
【けちゃ】「…うん」
【ぷりっつ】「……」
足音が遠ざかって、影が見えなくなる。
(……行った)
膝が、力を失う。
【ころん】「座ろ」
【莉犬】「無理しないで」
しゃがみこんで、息を整える。
【あっきぃ】「……ごめ……」
【ころん】「謝んないで」
【莉犬】「ほんと、それ」
頭に、ぽん、と手が乗る。
【ころん】「ただの遭遇事故」
【莉犬】「今日の寄り道イベント、失敗!w」
少しだけ、笑えた。
【あっきぃ】「……こわ、かった」
【ころん】「言えてる」
【莉犬】「ちゃんと戻ってきてる」
胸の苦しさが、残り香みたいに消えていく。
(……逃げなかった)
それだけで、今日は十分だった。
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