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登場人物
海王星/魁星
スター/寿柁
リリー/莉ヶ
ブラック/富楽
???
−−−−−ブラック視点−−−−−
あー、どうしたもんか。海王星…
そもそも、海王星は池に落ちても這い上がってくるはずやけど…
なんや…言い方悪いな。とりあえず、自力で上がってくるのなんて
海王星には容易いはずや。なのにそのまま沈んでったってことは
それが不可能やったってことやろ?ま、今は沈んでった海王星を
回収するほかないな。
「……どうしよ、二人共。海王星…沈んでったけど…」
「儂が潜って来ようか?儂は大丈夫だが」
「どうしたもんか…」
「…ちょっと待って。リリー。…海王星、この池に居ない」
「「…は?」」
ちょ、待てや。池に居ないってことはどこかに行ったってこと?
いやいや、あり得るわけ無いやん。ちょっち気配探ればすぐ
わかるはずやで……うむ…
………………
いや、ほんまやんけ!!いないやん!!!?は?何が起きたんや!?
「え、は…?マジでいないやんけ…なんでや…?」
「いや、ボクに聞かれても…」
「トリップ。」
「は?どうしたんや、リリー?」
「パラレルワールド。」
「ど、どうしたの?」
「海王星はどこか違う世界に行ったのかもな。」
「そ、そんな事あるわけ無いやん…」
オレもスターも苦笑いしかできひん。それくらい、頭の
トチ狂った話なんや、トリップっつーのは。
ただ、今のオレ等に出来ることは海王星がどこに行ったのか…
それを探るしか無いんや。それに、この安土神社っつー変な名前の
神社のこともちょっち気になるし。オレは二人にアイコンタクトを
送ると、一人の巫女さんに話しかけた。
「あのー、聞きたいことがあるんやけど、聞いてくれへん?」
「はい、何でしょうか?」
「儂らの友達が、あの…そっちの池に落ちたんだが…」
「…えええ!!??たっ…大変じゃないですか!」
「だけどね…居ないようなんだ。気配が無い。」
「……???け、気配…?」
「そんで、この神社ってなんか伝説とかあるんかいな?」
「あ、はい…ありますが…友達の方は大丈夫なんですか?」
「あー、大丈夫だと思う…多分。頑丈だから」
「え、あ、はい…わかりました。ここで話すのもなんですし、
あそこの長椅子のところでお話致しましょう」
「わかりました。ありがとうございます!」
…多分四人の中で律儀に「ありがとうございます」なんて言えるの
海王星とスターだけなんやろな…オレ等は絶対無理やもん。
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巫女さんの話してくれた伝説っちゅーのは、まあ、ありきたりな
よくある話やった。まあ…こんな感じや。
“年に一度の元日の日だけ、この神社に神様が降りてきて、
一匹の狐を使わす。その狐に誘われた人間は、不思議な世界に
連れて行かれる。そこで、沢山の思い出が作られたとき、その
人間はもう、元の世界に帰る気はなくなる”
「面白いけど、ちょっと怖い話だね…」
「…海王星もそれに引っかかったんちゃう?笑」
「………かもね。あの海王星がふらっと池に落ちるわけ無いもん。」
「……え、ガチ目にそれっぽくねえか?」
「え…怖い怖い怖い怖い」
「あっ…ありがとうございました!巫女さん!」
「え、あ、はい…どういたまして。」
巫女さんは不思議そうにオレ等を見つめたあと、箒を取って
歩いていった。…それよりも、この神社の伝説。深く掘っていく
必要があるみたいやね。ちょっち考えて見ようや。
オレは二人に言って、考えて見ることにした。
−−−−富楽視点−−−−−
はー。もう、どうしたものか。前の魁星はちょこまかと
走っていくため、鈍間な私は追い付けそうにない。
いっそ、私の”能力”で引き寄せる他ないのか。
ふと、後ろを向くと莉ヶ達は談笑をしている。何してるんだ、彼奴等は。
全く、呆れる。私は小さくため息を付くと、魁星を能力で
引き寄せた。魁星は『その手があったか』というような表情を
浮かべ、諦めて脱力した。私は疲れ切って地面に座り込み、
それを見た莉ヶたちは心配したのか駆け寄ってきた。
よし、全員集合だ。私の思惑どおり。すると、魁星…いや、違った。
海王星といったか?が口を開いた。
「ええっと…皆さん、この神社の伝説は知っていますでしょうか?」
「伝説?なにそれ…ボクは知らないな…」
「ああ、はい。私は存じておりますよ」
「オレもわからへん。富楽、知っとるの?」
「儂もわかんねえ!さっぱりだ!」
私はため息を付くと、3人に説明した。
“年に一度の元日の日だけ、この神社に神様が降りてきて、
一匹の狐を使わす。その狐に誘われた人間は、不思議な世界に
連れて行かれる。そこで、その人間は神様により次の年に使わされる
狐になってしまう”
「まあ、こんな感じです。」
今日は、元日。不思議な世界。誘われた人間。…それは…もしかして…?
私とその他の莉ヶ、寿柁、魁星は同じことを考えたよう。
一気に海王星に目線が行った。自分に目線が集中してることに
気がついたらしい海王星は、ぎょっとして地面を見つめた。
「そ、そ、それって…もしかして私…?」
海王星の頬を水色の汗が伝う。誰も何も言わない。
否定も出来ないし、肯定も出来ない。海王星の顔はみるみる
不安に侵食されていく。しかし、その不安を打ち消せるものは
居ない。…いや、これはそもそも伝説の話。あり得るわけが無い。
あり得るわけが無いのだが…無いはずなのだが…
今…現在進行系で味わっている。偶然であってほしい。
ふと、寿柁が口を開いた。
「…じゃあ、海王星の知ってる世界はどんな感じなんだ?」
「……ええと。寿柁に似た、スターという名の性格が莉ヶに似た人と、
富楽に似た、ブラックという名の性格が魁星に似た人と、
莉ヶに似た、リリーという名の性格が寿柁に似た人…がいます。
私は…多分魁星に似た性格が富楽に似てる人なのでしょう。」
「…ややこしいが、理解は出来る。要するに…パラレルワールドって
感じだな。儂らに似た…いや、”他の世界の”儂ら。そこから
来た魁星のパラレルの存在。それが海王星。あんただ。」
「うわーん、寿柁が更にややこしくした!ボクの脳が爆発する!」
「爆発しないでくださいよ、莉ヶ…」
「はあ…早くブラックとスターとリリーに会いたい…」
「こんにちは。海王星さん。はじめまして。」
「あ?お前は誰だ?」
「妾(わらわ)ですか?妾は_」
コメント
11件
次楽しみですー!
海王星が不安になってるの可愛すぎやろ まじで物語作るの上手すぎだって…続き楽しみにしとるね〜
海王星の狐姿絶対可愛い、てかしっぽと耳だけ残して変身して欲しいと思った自分を誰か殴ってください。