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記憶は雨の中

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記憶は雨の中

3 - 2話 大人が招いた友情

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2024年04月01日

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・・・数週間後、この村にいろいろなところから大人たちがやって来た。

今住んでいたところに不満を持ち、子供しかいないこの村にやってきたらしい。

やがて子供が多かったこの村は、大人の方が数が多くなった。

(なんでこんなに人が・・・)

人があまり好きでは無い柚津は、警戒心を強めた。見つからないように、息を潜めていた。

進化していく村。明かりが灯る。

ほんの数週間前の薄暗い風景とは大違いだ。

だが、子供たちに目を向ける大人はいなかった。


やがて、この村を完全に占領しようとした大人たちが、「子供は邪魔だ」という思考を持つようになり、子供を捕まえ閉じ込めた。

柚津はなんとか逃げようと必死だったが、体力がない柚津に逃げ延びる力などない。

他の子供たちと同じようになってしまった。

暗く狭い。月明かりしか灯らないその部屋には、わずかな子供たちがいる。

その中で1人、柚津に声をかけてきた。

「やっほ!」

人に話したことがない柚津は、目を合わせることしか出来なかった。

「捕まっちゃったね〜。狭い檻に。」

能天気だな・・・。と思いつつも、そいつに耳を貸す。

「いやなもんだよね〜ほんと。大人たちってこういうところがあるから嫌いなんだ。」

「ほんと、子供に生きる権利はないのか!って話だよね〜。」

そいつの言っていることがよくわかる。

「僕は五十嵐詩哉(いがらしうたや)!!ねね!僕と友達になろうよ!!」

展開が早くて読めない。

(友達・・・ってなんだ??)

「あ、あの・・・。」

緊張しながらも聞く。

「友達って・・・何??」

詩哉は驚く。友達を知らない人がいるなんて思わなかったからだ。

「そ、その・・・僕、記憶が無いんだ。」

詩哉は納得した。

「あー!そゆことね!!」

「友達っていうのは、助け合ったり、慰めあったり、時に怒りあったり、笑いあったりする人のことだよ。」

柚津は少しわかった気がした。

こいつと友達になっていいのか・・・?

そう思ったが、こいつなら大丈夫な気がする。と思えた。脱出にいい協力相手になりそうだし、なんにせ

同じ考えなんだから。

「いいよ・・・!友達。」

詩哉は喜んだ。

「やったー!ねぇ!君の名前、なんて言うの?」

「僕は古記柚津・・・!よろしく。」

柚津がそういった後、詩哉は何か言いたそうだった。

「ねね!柚津!」

「僕・・・足が片足ないんだよね・・・。」

柚津は驚いたが、よくよく見ると右足がない。

僕と同じ障害者だと、この時は安心していた。

「そうなんだ・・・!大丈夫。」

「僕も同じようなものだから。」

詩哉はほっとした。

「じゃあ柚津!これからよろしく!」

柚津は新たに、「友達」故に「仲間」を学んだ気がした。


柚津と詩哉のビジュアル

上 柚津

下 詩哉


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