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すれ違いの二人 ― 目覚め
きんとき視点
何日目だろう。
きんときはもう時間の感覚をなくしていた。
夜と朝の区別もつかないまま、ただひたすらにベッドの横でBroooockの手を握り続けていた。
「……なぁ、いつまで寝てんだよ。Broooockらしくないだろ」
声はかすれ、目の下には濃いクマができていた。
返事はない。
それでも、諦められなかった。
ふと、静まり返った病室で、きんときは小さく笑ってみせた。
「……俺、ずっと考えてた。あの日さ、Broooockにひどいこと言ったよな。
俺の存在意味ないなんて……あれ、俺が一番言っちゃいけなかったんだ。
ほんとは逆なんだよ。Broooockがいるから、俺は俺でいられるんだ」
涙が落ち、握った手にしみる。
その瞬間――。
かすかな指先の動き。
「……え?」
きんときは顔を上げる。Broooockのまぶたが、ほんの少しだけ震えた。
「Broooock! おい、聞こえるか!? 目、開けろよ!」
呼びかけに応じるように、ゆっくりと瞼が開く。
眩しそうに瞬きを繰り返し、やがて焦点がきんときに合った。
「……きん……さん?」
かすれた声が、確かに彼の口からこぼれた。
「っ……! 馬鹿野郎……!」
きんときは思わず泣き笑いになり、握った手をさらに強く握りしめる。
「心配かけさせやがって……でも、よかった……本当によかった……!」
Broooockは弱々しくも微笑んだ。
「……ごめんね……」
二人の間に流れるのは、言葉にできない安堵と絆だった。
すれ違いはあった。
喧嘩もした。
けれど、こうして再び目を合わせられたことが、何よりの奇跡だった。