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#山中柔太朗
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ある日の休憩室。
勇斗と仁人、太智の三人は外来へ行ってしまい、柔太朗と舜太だけになった。
「……ふぅ」
ソファーに深く腰掛けた柔太朗は、脱力したように背もたれに頭を預け、天井をぼんやりと見上げていた。
昨夜からの当直、朝から他科のヘルプに処置室の準備と、気疲れするような出来事が重なっていた。
普段なら一切表に出さない疲れが、ふたりきりになった途端、じんわりと身体に滲み出てくる。
「柔、お疲れ様。……なんか今日、いつもより顔色悪ない?」
待ってましたとばかりに丸椅子をガラガラと寄せてきた舜太が、心配そうに覗き込んできた。
「……そう? 別に普通だけど」
「嘘つけ。柔、ほんまに疲れてるときは声のトーンが半音下がるんよ。俺が気づかんとでも思ってるん?」
舜太はそう言うと、白衣のポケットから温かい缶ミルクティーを取り出し、柔太朗の頬っぺたにポンと当てた。
「うわ、あったかい……」
「売店で買ってきた。手ぇ冷たくなってるやろ。ほら、飲んで」
「……ありがと」
プルタブを開け、温かいミルクティーを一口すする柔太朗。
身体の奥からじんわりと温もりが広がって、一日中張り詰めていた肩の力がすーっと抜けていく。
「……ねぇ、舜太」
「んー?」
「俺、今日なんかずっとドタバタしててさ。ちゃんとナースとして手際よく動けてたかな」
ふと零れ落ちた柔太朗の弱音に、舜太は一瞬目を丸くしたあと、ふっと柔らかく目元をほころばせた。
「なに言っとんの。柔がおらんかったら、今日の現場絶対に回ってへんで。小児科の看護師さんも『山中さんがいてくれて助かった』ってめちゃくちゃ感謝しとったし」
舜太はそう言いながら、柔太朗の膝の上にかかっていたひざ掛けをキュッと掛け直してあげる。
「柔太朗はいつも一人で完璧にやろうとしすぎなんよ。もっと俺にも頼ってええのに」
「……頼ってるよ。いつも」
「ほんか? じゃあ、今何してほしい?」
舜太が覗き込むように顔を近づけると、柔太朗は少しだけ躊躇うように視線を泳がせたあと、細い指先で舜太の白衣の袖口をキュッと引っ張った。
「……じゃあ、もうちょっと近くにいて」
「……っ」
不意打ちのおねだりに、舜太の顔が一瞬で真っ赤になる。
「~っ、そんなん言われたら、俺ずっとここから動けへんやん……!」
「動かなくていいよ。このまま休憩終わるまで、横にいて」
柔太朗は目を細め、舜太の肩にそっと頭を預けた。
伝わってくる体温と、素直に甘えてくれる柔太朗の重みに、舜太は照れくさそうに頭を掻きながらも、優しくその背中をぽんぽんと撫でる。
「……ほんま、ズルいなぁ柔は」
「舜太が優しいからでしょ」
誰もいない静かな診察室で、ホットミルクティーの湯気と、二人だけのやさしい時間がゆっくりと流れていた。
短編って沢山アイデア湧いてくるからいいなぁ。
リクエストもあればお待ちしております…!
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