テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「ねぇ、ドズさん……」
「はい?」
泣き出してしまいそうな顔で、僕の名前を呼んだぼんさんを見つめる。
「ゴメンね、ほんっと…」
「え…?え……?な、何の話……?」
いきなり謝られて、何しでかしたのかと困惑する。
と、消え入りそうな声でポツリと話した。
「僕なんかが、相方でゴメン……」
「………え?い、や……僕があなたを誘ったんですが?」
そう返せば、彼はヘラリと笑い「そうだったね」と呟いた。
「……あれか。あれですか。 まぁた、アンチ来たんですか。気にしなくて良いんすよ、あんなの意見でも何でもないんですから。
そういう事書くヒトは、人じゃ無い。……顔も知らぬアンチの鳴き声なんか気にせず、相方の言葉を信じて下さい」
そう言い、項垂れるぼんさんの手を握る。ポタポタと僕の手に水が垂れ、濡れていく。
「言い過ぎよ……。彼らだって不満とか……それを声に出してるのであって……」
「ならもう見んなって話です。僕はぼんさんと一緒に活動したいと言ってるので、応援したくない人は応援すんなって話です。」
「僕らは応援されるから成り立ってるのであって…視聴者さんの話を聞かないと離れてくよ?」
「……僕の活動を面白いと感じて、応援してくださっている方が視聴者さんです。
否定して、挙句の果てに公の場で悪口書くヒトは視聴者さんじゃなくてアンチです」
「……ドズさんは、その考えのお陰で活動できてるの…?」
「そうですね。不満を抱くのは仕方ない。
ですが、それを本人が見える所で書き込むのは、違うと思ってます。不満があるなら極力関わんな、そう思っちゃいますね」
「……ドズさんは、強いね」
「強くないですよ。僕だって、心にくる時だってあります。でも、ぼんさんといれば、そんな事吹っ飛んでくんですよ。だから、僕はぼんさんが良いの」
「……それだけで心が軽くなるなら、強いのよ…」
「え?いや、嫁ちゃんに励ましてもらう時もありますよ。結構な頻度でね」
「……俺には頼らんのね……w」
ヘラ、と笑ったぼんさんの顔には少しの光が見えた。
「ぼんさんに言っちゃったら、ぼんさん、自分事のように考えちゃうでしょ。優しすぎるから…」
握っている手を離さぬよう一層力を込める。
フワフワの髪の毛を優しく撫でる。
「……うん。………うん、ありがと、もう、大丈夫よ」
少し恥ずかしそうに身動ぎ、僕から離れたぼんさんの目を見つめる。
「いつでも頼って下さいね。僕は貴方の社長で親友だから」
「ふふっw 親友は言い過ぎよ、手下でしょ?w」
「てッwしッwたァw ふはッwはッwはははッw んなッ……んな、酷い事は言いませんよw 下僕っすよw」
「下僕w 下僕てw もっと扱いひでーじゃねぇかよッw」
「そーです!ぼんさんは僕のです!だから、手入れしてるんですよ、壊れないように」
「……そーすっね、俺はあんたのです。不良品ですが動かなくなるまでドーゾ最期までお使い下せぇ」
「不良品!?いやいや、最高傑作ですが!?」
「それ、あなたが言う事?」
「うん、そこは譲れねぇ」
「どこに頑固なってんのよ。……まぁ、とにかく、わざわざすみませんね、夜遅く… 」
「い〜え、僕はいつでもあなたを修理しますので」
「24時間営業?」
「はい、12時間営業です」
「半分なっとるしw 何に対しての「はい」だったのよw」
ケタケタと笑うぼんさん。
大丈夫そうだね、よかった。
「ありがとね、じゃあ、明日もよろしくぅ!」
「アディオス!」と元気よく出ていったぼんさんを見送る。
ホントはもっとそばにいて彼の黒く冷たい心の底を温めてあげたいが、僕だって大人。
そんなにズカズカ踏み込まれたくない事ぐらい気付いてる。
ひっそり、線引きされてることも。
それでも、彼が近づいて来てくれた時には手を取るさ。僕にできることはそれくらい。
「……今度、焼き肉でも奢ってあげよっかな」
そっと呟き、またパソコンに向き直した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!