【君流コンテスト】
参加作品「魔神狂騒曲」
・得点
物語性 40/50
文章構成 50/50
??? 30/100
合計 120/200点
・講評
作品全体を通して欠点という欠点……いや、穴という穴は特に見当たりませんでしたが、強いて言うのであればエロ系統の作品では無く、純粋にそれを物語として読んだ際に、主人公のラウスを個人的には好きになる事ができませんでした。
そもそも死んだ他のパーティーメンバーは悪人では無く、むしろ聖人に近かったのではないでしょうか。冒険者という職がほぼ法の通用しない荒れた世界になっているのにも関わらず、そこにどこから紛れ込んだのかもわからない少年が。よほど覚悟を持った者なのかと思えばそうでも無く、他の者と同じように修行をさせてみると耐えられなかったようで逃走。実力も無いのにわざわざ雇う必要も無く、子供であろうともその不幸は自業自得であるようにしか思えません。
それを予備の魔法使いとして使い、おそらくは実力給かと思うので非常に少ない額なのではあるのでしょうが、何もしていないのと同義の存在にもしっかりと給与は渡す。
利益など無いのにそこまでの事ができるパーティーメンバーの心は正直、勇者より勇者してますよね。悪魔の召喚をして、それを売って金にするという危険な行為を強いらせはしましたが、それは同時に彼らの生活がそれほどまでに苦しくなってるいた事を指します。そんな境遇であれば、ラウスを殺して臓器等を売り裁くほうが良さそうですが、それはしない。ラウスは最終的に命に対する価値観を失いましたが、彼らにはまだ僅かに残っているかのように思えます。
そんなこんなで気付けば他のパーティーメンバーを推してしまっていた私には、どうも作品を楽しむ事ができませんでした。追放系というジャンルはこのような追放側が悪くないという場合が多かったりするので、私のような多少それを知っている人が見ると同じように考えられる可能性は大いにあるでしょう。
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もしエロでは無く、ラウスの成長を話の主題にするのでればいっその事、”某回復術師”のようにあらゆるキャラをクズに極振りするのも手かと……。
また、変わらずエロを主題にするのであれば、「もっと過激に」というのは少し違いますが、性癖をモロに出してしまって問題無いと思います。むしろそれこそが官能小説としての魅力の出し方かと。悪魔系おねショタは、もはや現代人にはノーマル属性になってきている気が……しなくも無いので。 文章構成は満点ですが、官能小説らしさを出すなら独特な言い回し等も欲しい所です。私はその系統については詳しくないので、あまり出しゃばった事は言えませんが、あれらは楽しく書くからこそ意味があると思います。
正直なところ評価の際に、何処を重点として見れば良いのか戸惑いました。それは物語に中途半端さを強く感じたからです。追放エロ系統の作品ですがエロが書きたいのか、復讐が書きたいのか、葛藤が書きたいのかわかりませんでした。先程改善点をいつくか提案したのもそのためです。
もし違ったらすみませんが、テラーの規約的な問題を気にしてはいませんか。喘ぎや具体的な用語、挿入の様子を意図して避けているように感じましたので……。
???としている観点を30点と低めに付けさせていただきましたが、それ意外の全ての観点(採点に関係していないようなものも含める)では全て八割超えの安定した完成度にあります。ですが、この場合はそれが仇と言いますか。固定観念に捕らわれた堅苦しい作品のように見えてしまうんですよね。
突出した要素の無い、凡庸な文章。それ自体は何ら問題は無いのですが、当作との相性は悪かったかと思います。努力できない人間が幸運にも救われる。そういった話を書かれると、どうにもそれが本当に書きたいものなのかと疑ってしまうのです。
ラウスは最終的に才能を持っていました。これはどのような者も努力で変われるのだという積極的な作者様のメッセージに思えますが、それと同時に普通になるように作られた消極的な文章も存在しているため、互いの要素が力を打ち消し合っているように思えます。
規約に反する内容とならないように気を使いながら世界観を成立させる為であったりの、意味ある文を書けているのは素直に尊敬でしかありません。これを言っても良いのかわかりませんが、参加作品の中では頭一つ抜けているように思えます。しかし、それ故に私は今期待をしてしまっています。本来であればこの点数は到底付けられる筈も無いほど、低いものです。ですが、私も無名とは言えども一人の創作者。今この作品を優勝させる訳にはいきません。
小説の一言一言に意味があるように、当コンテストのルールにも意味があります。「100点で配置された謎の採点基準」も「講評後、一作品につき一度まで改良してリトライが可能」という通常作られる筈も無い面倒なシステムも。 このような作品に出会えた時の為を想って私が作ったものなのです。
そう。これは『君流コンテスト』。
リトライ、もしくは別作品での参加を心よりお待ちしております。
コメント
2件
講評有難う御座いました。作品を作っていく上での礎にさせて頂きますm(_ _)m