コメント
0件
トン
トン
トン
階段で響く、登る音。
今日は偶然早く学校に着いた。
階段を登り3階に着くと、向こうから、ドタバタと走る音が聞こえてくる。
なんだろうと、視線を向けると少し前に走ってくる男の子が居た。
「わっ!!」
避ける隙も無く、ドンと言う大きな音が鳴った。
それ同時に、床に尻もちを着いた。
「うわ、ごめん!怪我ない?」
そう言って手を差し伸べる背の高い男の子。
少し躊躇しながら、手を握り立ち上がった。
「あっあの…ごめん、なさいっ」
立ち上がってすぐに、ぺこりと頭を下げ、謝ると頭上から、笑い声がした。
「なんで謝るのw走ってたの俺だし。こちらこそごめんね。」
「え…あ、はいっ…」
軽く頭を下げると、男の子はそのまま階段を降りていった。
何分か立ち止まったまま。
さっきまで男の子が居た所を見つめる。
男の子と話したのは何時ぶりだろう。
いつも、相槌だから…緊張したぁ…
膝から崩れ落ちそうになった所を止め、教室に向かった。
男の子と話すのは苦手。
話す事が苦手って言うより、男の子が苦手。
さっきの数分が何十分にも感じた私は結構重症な方かも。
直そうとしたけど、無理だったの。
男の子に話し掛けられた時、声を出すようにしたら、びっくりした様な顔をした後笑われた。
『紅山の声初めて聞いたわ〜ww』
『まじ!?俺にも話してよ〜www』
それが嫌で、また話すのを辞めた。
女の子とは話せるんだけどね。
男の子が苦手になったのには、理由がある。
それはまた今度。
席に着き、荷物を机に入れて、ぼーっと外を見る。
私のクラスは窓から、グラウンドが一望できる。
私は席替えで窓際になれたから、休み時間などは、友達が私の席に来て溜まってる。
丁度目に入ったのは、サッカー部。
朝練中みたい。
そう言えばさっきの人サッカーボール持ってた。
サッカー部なのかな。
気になる訳じゃないけど、目で探している私に驚く。
なんで、必死に探してるんだろ。
「ううん。きっと、久しぶりに話したから調子に乗ってるだけ。」
良いや。
そう思っても、グラウンドを見て探している。
「……あっ」
居た。
さっきは驚いてちゃんと見てなかったけど、かっこいいなぁ…
でも、苦手な事に変わりは無いし、気にしない。
そろそろかな。
時計を見て見ると、学校に着いて10分も経っていた。
すると、ガタッと言う音をたてて後ろの席に誰かが座った。
振り向くと、案の定親友の悠羽ちゃんが居た。
「悠羽ちゃんおはよ」
「榎音おはよ〜!!ってなんで榎音顔真っ赤なの?」
「えっ?」
頬に手を添えると、確かに少し熱を持っていた。
「大丈夫?」
「さっき男の子と少し話せたから、まだ緊張してるのかも。」
「ならいいけど。体調悪くなったら言いなよね!」
「はーい」
「…って男と話したぁ!?」
そんな事を話していると、次々とクラスメイトが登校して来て、すぐに騒がしい教室になった。
すると、先生も来てホームルームも終わり、
1限目の体育の為、更衣室に向かった。
「それでさ〜すぐ叩いて来るようになってさ?もお姉ちゃんは悲しいよほんとに」
「弟君、活発になって来たんだね。怪我大丈夫?」
「うう~心配してくれるの榎音だけだよ~もう、榎音しか勝たんわ。w」
「何言ってんのw」
【続く】