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僕は初めて友達が出来た。
目の前にいる君だ…
「実はね…私、昨日の記憶がなくなるの…」
と彼女(君)は言う。
僕はなんて言葉をかけていいか分からなかった。
そうだったんだ…いや話してくれてありがとう…?って言うか…?どうしよう…。
と思っていると
「嫌いになったよね??」
と言われたが僕はすぐに
「嫌いなるわけないだろ…!」
と返事をした。初めてこんなに大きい声を出したと思う。
「君のおかげで僕の世界は凄く明るくなったんだよ?いつもは「おはよう。」も「行ってきます。」も言えなかったのに君に出会ってから僕は…僕は…」
涙が止まらなかった。
「〇〇(僕)くん…ありがとうね…。君が言ってくれたその言葉…忘れない、忘れたくない…。」
彼女は泣いていた。それに釣られて僕も泣く。
「もしかして転校してきたのは…昨日の記憶が消えるのが理由で…?」
と聞くと
「実は私、前の学校でいじめられてたらしい。記憶が消える事を友達に言ったその日から…だから言うのがとても怖かった…いじめられても次の日には忘れるからだと思う。周りの人に言われて初めて自分がいじめられてた事を知った…」
僕は許せなかった…記憶が消えるのを言い訳にしてこんなに可愛い子をいじめるなんて…
「辛かったよね…話してくれてありがとう…」
すると彼女は
「今日の事メモしておくね。また明日…学校で会おうね。」
と言われたので
「うん…また明日…」
と返事をした。
部屋から出て階段を降りるとお母さんが
「〇〇(僕)くんの事は明日忘れてしまう…だけど今日と同じように仲良くして欲しい。いいかな?」
と言われたので
「分かりました。」
と返事をした。
人が少ない電車に乗り、できるだけ他の人に聞こえないように
僕は泣いた…
家に帰るとキムチ鍋の美味しい匂いがした。
僕の大好物だ。
「あんたもしかして泣いてる?」
とお母さんに聞かれた。
え…なんでだろう、涙が止まらない。
「あくびだよあくび!」
と言い訳をした。
「もしかしてお兄ちゃん振られた?w」
と妹にからかわれた。
「振られてねーよ!まず告白してねーし!」
と僕は涙を拭きながら言う。
お風呂に入り僕は考える。明日彼女にどうやって話しかけよう…
布団に入り僕は初めて泣きながら寝た。
お母さんがご飯を作る音が聞こえる…朝だ。
昨日泣きながら寝たせいか少し目が腫れている。
彼女はもう昨日の事を忘れているのか…
「おはよう。」
も言えなかった僕を変えてくれた君の事を僕は覚えている。
でも君は僕の事を覚えていない…
まるで君の世界から僕だけが消えてしまったかのような感覚になった。
いや、メモをすると言っていたから思い出してくれているかもしれない…
そう期待を胸に僕は家を出た。