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こにゃ
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#らっだぁ運営
青槍 未来
115
丘を下る。
白い花が風に揺れる。
村へ近づくにつれて、人の声が聞こえてきた。
笑い声。
食器の触れ合う音。
子どもが走り回る足音。
「本当に人が住んでる……」
思わず呟く。
空中都市では、人間には一人も会えなかった。
だから、人が居るだけで少し安心した。
村の入口には、小さな木の看板が立っていた。
『ようこそ ホオズキ村へ』
白い花が絡みつくように咲いている。
「聞いたことない名前⋯」
「だろうね」
らっだぁは短く返事をした。
けれど、その表情はどこか静かだった。
村へ足を踏み入れる。
「こんにちはー」
らっだぁは変わらない口調でそう言いながら、迷いのない足取りで進んでいく。
畑仕事をしていた女性がこちらに気づいて、笑顔で手を振った。
「旅人さん?」
「そうですよ〜」
らっだぁも笑って手を振り返す。
「今日は泊まっていく?」
「その予定でーす」
「なら、宿は村の奥だよ」
にこり、と笑う。
優しい人だった。
「いい人じゃないすか」
小声で言うと、らっだぁは曖昧に笑うだけだった。
さらに歩く。
パン屋。
雑貨屋。
花屋。
どこも穏やかだった。
「⋯こんにちは」
恐る恐る声をかけると、店番の老人が頭を下げた。
「今日はいい天気ですねぇ」
「⋯そうですね」
「昨日は雨でしたが」
「……え?」
思わず空を見上げる。
雲ひとつない青空。
雨が降ったような跡なんてどこにもない。
「あれ、違ったかなぁ」
老人は笑った。
「歳を取るとすぐに忘れちゃってね」
つられて苦笑する。
「まあ、ありますよね」
再び歩き出す。
すると今度は、井戸端で話していた女性たちの声が聞こえた。
「今年は花が少ないわねぇ」
「そうねぇ、なぜかしら」
村を見渡す。
どこを見ても白い花しかない。
「……少ない?」
思わず呟く。
これで少ないと言っていることがどうにも信じられない。
話の続きが気になって、自然と耳を傾ける。
「去年なんて、もっと真っ白だったものね」
女性たちは笑い合っている。
その時。
「ねぇ、お兄ちゃん」
小さな男の子が、服を引っ張った。
「迷子?」
「いや、⋯旅の途中、だけど」
「そっかぁ」
男の子は嬉しそうに笑う。
そして。
「ここ、花なんて咲いてないのに、何見てるの?」
「…………っえ?」
風が吹く。
白い花が揺れる。
目の前いっぱいに。
世界を埋め尽くすほど咲いている。
なのに。
男の子は、不思議そうな顔で首を傾げていた。
「⋯行こっか」
らっだぁが静かに言う。
何も言えないまま、らっだぁの後を追って歩き出した。
村の人たちは笑っている。
誰もが穏やかで。
誰もが親切で。
誰もが、少しずつ。
噛み合わない。
その違和感だけが、胸の奥に静かに積もっていった。
NEXT=♡1000
余談ですが、ホオズキの花言葉は 『偽り』というそうです(*´ω`*)
また、堕胎薬に使われることから、『私を殺して』とも。
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