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──3日後 PM 20:12
『グリさん来ないね〜』
久しぶりに連絡が来て待っているが一向にグリが来ない
アチャモを撫でつつボーッとベンチに座り待っていると人影ができる
「すみません、お待たせしました」
『!ぜんぜ───』
上からグリの声が聞こえ、上を見上げる
しかし目の前にはヌーヴォカフェの男の店員が立っていた
『えっ?』
「先日ぶりですね、ここではなんですから場所を変えましょう」
『え?あ、はい…?』
少し混乱しつつ、グリについて行くと本日の営業終了と書かれている看板がたったヌーヴォカフェにつく
「ほらよ、ひのこロースト」
『ありがとうございます…』
「おう!ゆっくりしてけよ!」
看板娘の女の定員さんが嬉しそうに笑う
『えっと、グリさんですよね?いつもと雰囲気違うから驚きました…へへ、』
会う時は決まって夜だしフードを深く被っててメガネもせず髪も下ろしてるためか気づかなかった
「構いませんよ。それより先日は助けて頂きありがとうございました。すぐにお礼が言えず…」
『いえいえ!それよりどっちかと言うと助けたのはカラスバさんですし〜!』
あの時カラスバが来ていなければ、自分はコーヒーをモロかぶりしていただろう
そう思いながら頬をかきグリを見る
「…あの日私達の正体についてお聞きしましたよね」
『正体…?あ、フレア団とかなんとか…』
「どう思いましたか。私達がフレア団の残党だと知って」
グリの鋭い視線にシオンは驚き目を見開きつつも、首を傾げ口を開く
『別に何も思わなかったですけど…?』
「…ははっ、君ならそうだと思いました」
シオンの言葉に口元を手で少し隠し上品に笑う
「しかし、フレア団というレッテルは私達を離してくれません」
そういうとグリは今までの自分の話を話し出す
フレア団と関わりがあると言うだけで蔑まれ、恨まれてきたこと、そして今はAランクとなりとある目的を果たすことでフレア団の汚名を払拭する事
そして元々フレア団が目指していた世の中を作ろうとしていたこと
「…だから私はAランクにならないといけません。なって…フレア団を……」
『ま、まって…それって私に話して大丈夫なやつですか…?』
今まで黙って聞いていたが、聞けば聞くほどあまり聞いてはいけないような内容な気がして思わず突っ込む
「貴方は、他の人間の様な目でおれ達を見なかった
同情でも哀れみでもなんでもなかったでしょう」
たしかにあの時はどちらかと言うと腹が立ったから動いただけだった
しかしそれ以上でもそれ以下でもない
「その他にも貴方のバトルの姿勢やポケモンとの接し方を見て、信頼できると思ったんです」
『そう、ですかね…?』
「現に先程の話をしても貴方は他の人間のように恨むことも怒ることもなかった。
───そうでしょう?」
『ま、まぁ……』
グリの赤い瞳がどこかどす黒く渦んでいるように見える
『でもちょっとひとつおかしくないですか?』
「おかしい?」
『──それ、グリさんは誰が助けるんですか?』
話を聞きながらずっと疑問だった
何度もフレア団の為に…と話していたが、自分も同じ目にあったはずなのに周りの人間のことばかり考えて自分の事を考えていないグリが不思議だった
「ふふっ、はははっ…!面白いですね、ですが私は大丈夫ですから」
驚いたように目を見開いたかと思えば、口元に手を添え笑う
そんなグリに対してシオンは眉を釣り上げる
『何も大丈夫じゃないですよ!』
一度きりの人生なのに、過去に囚われて自分を殺して他の人間を助けようなんてそんなの悲しい
それがグリさんの望むものであるのならば、それまでだが…
『やってみたい事とかあるんじゃないんですか?欲しいものとか…』
「欲しいもの、ですか…」
『ヌーヴォカフェを他の地方に出したいとか───』
シオンの言葉に少し何か考えたあと、口元に手を置いてクツクツと笑うグリ
そんなグリがどこかおかしく見えて、少し眉を顰めるシオン
「本当におもしろい人ですね貴方は
───では、貴方が私を助けてくれますか?」
『助け?うーん…えっと…私にできる、ことなら…』
手を握られ、赤い瞳がシオンを見つめる
どす黒く、ドロドロしたグリの瞳にゾッとする
「欲を言えば私の欲しいものは…ひとつですから」
『ひ、ひとつだけ?』
「それにそれは、貴方にしかできないんです」
目の前にいるグリが何を考えてるか分からない
そんなグリが怖くて握られた手を払おうとするが逆に手に力を込められてしまう
『ゔ…グリさ───』
「自分が持てない輝きを自分のモノにしたい…というのは哀れな欲望でしょうか」
〖ヂャ……〗
肩の上にいるアチャモがシオンの異変に気づき唸り声をあげてグリを睨む
「誰の目にも触れられず、自分だけのモノにしたいと…
───ですが、どうやらそう思うのはおれだけじゃないようですね」
その瞬間、グリの腕を角張った手が掴む
顔をあげるとそこには、冷たい表情をしたカラスバがグリを睨んでいた
「…またお会いしましたね」
「人の良心に漬け込むんは、ちょっと卑怯とちゃうん?ヌーヴォの兄ちゃん」
「それは貴方もでは?」
「へぇ、言うやん」
笑いあって話しているのに2人の間にバチバチッと火花がちっているように見える
そんな2人に挟まれ、気まずそうに顔を下に下げるシオン
「シオンさん、先程は怖がらせてすみませんでした。もし良ければ、この後いつものようにバトルしませんか?」
「あー、お生憎様やな。シオンはこれからオレと育児(フシデの世話)で忙しいんやわ」
『いやフシデのs───すみません……』
ものすごい形相で睨まれ、謝り黙り込むシオン
あまりにも気まずい状況で胃がキリキリする
まるでオヤブンカエンジシとオヤブンアーボックに囲まれたデデンネのよう
何も言えずその場でただ冷や汗をかいていたときだった
──ピュォン♪
「あっぶな〜…ってあれ、シオンとカラスバさんにヌーヴォカフェの人?」
『!セイカ〜!!』
「わっ!?どうしたの!?」
突如上から降ってくるなりスマホロトムで華麗に着地してきたセイカを見て、嬉しそうに抱きつくシオン
『セイカ今日はホテルZに泊まっていい?』
「ん?全然いいけど… 」
『やったー!じゃあ早く行こ行こ!ね?』
「えっ?う、うん…?」
混乱するセイカを他所に手を握り、その場を後にするシオン
そして置いてかれた二人の間に気まずい時間が流れる
「…バトルで決めるっちゅー話はどうや?」
「遠慮しておきます。明日の仕込みの準備がありますから」
「釣れんなぁー、さっきシオンにバトル誘っとったやん」
「彼女は特別ですから」
「ははっ、一緒や」
コイツは何を考えてるか分からない
それに頭もだいぶキレるみたいやし、ここで無駄に争う必要はない
カラスバはグリを少し見たあと、厳しを返しヌーヴォカフェを去った