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#ハッピーエンド
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力任せに握っているからレンブラントの上着は、きっと皺になっているだろう。
それなのにレンブラントは、ベルの手を振り払わずにされるがままでいてくれる。それどころか混乱する気持ちを落ち着かせるかのように、そっと背を撫でてくれる。
大きな手の温もりが波紋のように広がり、ベルに一歩踏み出す勇気を与えてくれた。
「……あのぉ、間違っていたらごめんなさい。もしかしてガドバルトさんは、私の」
「伯父だ。私は、君の産みの母親であるランネットの兄だ」
ベルの言葉を引き継ぐかのように、ガドバルトは早口で言った。迷いを振りきった顔だった。
対してベルは更に混乱してしまい、つい見たままを口にしてしまった。
「えっと……あまり、お母様と似ていないですね」
「ああ、私は父親似で、ランネットは母親似だからな」
「そうですか。あと、ガドバルトさんは、ダミアンさんとも似ていないような気がします」
「ああ、アレは妻に似た。性格は……どうだろう。妻はアレほどちゃらんぽらんではない」
「そうですか。まぁ……性格は受け継ぐものではないですから」
「そのようだな」
「ええ。そうです」
「……ああ」
上滑りするベルトガドバルトの会話に、レンブラントは堪えきれないといった感じで、拳を口許に当てぷっと吹き出す。
すぐに鬼の形相になったガドバルトに睨まれ、軽く咳払いを表情を改めた。
「ベル、すまなかった」
「はい?」
ガドバルトの唐突な謝罪に、ベルは間の抜けた声を出してしまった。
「……えっと、ガドバルトさん……いえ、ガドバルト様はどうして謝るのですか?」
心当たりはない。むしろ、この窮地を救ってくれた恩人である彼には感謝の気持ちしかない。
そんな気持ちから、ベルはこてんと首を倒せば、ガドバルトは痛みを堪えるような顔付きになった。
「私がつまらない意地を張っていたせいで、君を辛い目に合わせてしまった。すまなかった」
「つまらない意地……?」
「ああ。ランネットが死んでから、君の父であるラドと、その……後妻の件で、少し仲違いをしてしまってな。ずっと連絡を絶っていた。彼が死んだ後も、大人げなく意地を張り続けてしまっていた。だから……結果として君を見捨てるような真似をしてしまった」
辛そうに語るガドバルトを見て、ベルは彼が自分と同じ気持ちでいたことを知る。
だから笑って、こう言った。
「そんなこと気にしないでください。私もついさっきまで父のこと嫌いだったんで」
「……嫌いだったのか?」
「はい。女にだらしなくて、嘘つきで、軍人だったから」
茶目っ気たっぷりにベルが亡き父を詰れば、ガドバルトは「酷い言われようだな」と苦笑した。
でも、ベルが本気でそう言っているわけではないことはわかっている。父親を悪く言ったのは、彼女なりの気遣いであり、突然現れた伯父を精一杯受け入れようとしているからだ。
その気持ちをしっかり受け止めたガドバルトは、ベルと同じように笑った。
「そうか。ちなみに私は軍人ではない」
「そのようですね。だから、嫌う理由はありません」
更に笑みを深くしたベルはレンブラントの上着から手を離し、まっすぐにガドバルトと向き合う。
「ガドバルト伯父様、私を探してくれて……そして、会いに来てくれてありがとうございました」
深く腰を折ったベルに、ガドバルトは泣き出す寸前の子供のようにくしゃりと顔を歪ませた。
コメント
1件
おおお……ベルとガドバルト、ようやくちゃんと対面できたか……!「伯父様」って呼んだ瞬間、俺もグッときたわ。お互いに気を遣い合って、上滑りする会話とか、逆にリアルで泣ける。レンブラントが笑い堪えてるところも含めて、この家族の空気感、好きだわ。当麻さん、じわじわ来る再会シーンをありがとうございます!