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日本はもう真夏。毎朝、蝉の鳴き声で起こされてしまうのがちょっと悔しい。都心に近いのに、自然にも微妙に近い土地柄からだろうか?。そして真夏ともなると毎年、街にポツンなわたしの病院は忙しくなってしまう。
最近はもっぱら熱中症が流行ってる。メディアやSNSでも連日ちゃんと警告されているのに、地方自治体から熱中症アラートが発表されててもお構いなしみたい。でも中には全く目的の違う患者まで来るから困ってる。
「カスミ先生。大田のおじいちゃんが来られてますよ?。診られます?」
「はいは〜い。『少しだけ待っててね♡』って言っといてださいねぇ。リンちゃん?この『♡』がキモですよお?。可愛くちょいエロに♡です。」
「はぁい♡わかりましたぁ♡。…こ…こんな感じでしょうか?先生…」
「はぁい。合格でぇす♡。ミニスカナース♡似合ってますよぉ?うふ♪」
「ありがとうございまぁす♡。(膝上30はやり過ぎな気がするけど…)」
あのスプラッター生中継から二週間が過ぎた。怪我が全快して一度は退院したシノノメ、リンちゃんは、レオちゃんと離れたくないからと、身の回りを整理して戻ってきてしまった。あたしとしては最大のライバルがいなくなってくれてホッとしていたのに、こうも懐かれてしまっては…ねえ?
「はぁい大田さぁん♡今日はどうしましたかぁ?。あら?何ですかぁコレはぁ。…海外旅行に行かれるのですね?…カスピ海なんて素敵ですわぁ♪」
診察室に入ってきたお洒落な禿げ方のご老人。身体はどこも悪くないのに週に3日は来るので正直に面倒くさい。今日は青い生地に女体柄が黒く抜かれた派手目なアロハシャツでキメている。つもりらしい。椅子に座るやいなや…大手旅行会社のパンフレットを、あたしの目前に開いて見せた。
「な…ナナツキ先生!儂とバカンス旅行に行ってくれんかのっ!?儂の全財産をアンタに捧げたい!。しかし一発だけ!一発だけヤラせてくれんかっ!?。儂の如意棒は未だ現役!。後生じゃっ!冥土の土産に頼むっ!」
またそんな下品なことを。確かにアタシの肉体はセックスアピールに過ぎているのだけれど、こうも連日たくさんの患者さんから、性交目的な求愛をされたのでは流石に困ってしまう。応対だってマンネリ化しちゃうし…
お医者と患者さんとの関係性は『生かさず殺さず♡』あ。もとい♪。『つかず離れず』がベストなのだけれど。因みにアタシは患者さんの身体に触れるだけで、どこがどう悪いのかが即座に理解できてしまうのねぇ。そんな悪魔的なスキルを活かして医者とゆう職業を選んだのだけれど。んー。
「あらぁ♡わたしで良いのですかぁ?。でもぉ…私には海外で働いてくれている大切な旦那様がいるのですぅ。あの人の留守中にぃ〜他の殿方と旅行なんていったらぁ〜もっと縛られてしまいますわぁ。だからダ〜メ♡。(うっそぴょ〜ん♪。あたしの最愛の旦那様はぁ、いつも側にいてくれるレオちゃんなんだからぁ♡。お金なんてぇ〜燃やすほどあるしねぇ♪)」
「!?。けっ…結婚していたとは知らなんだ。…それでも儂は…うへへ♫」
「ダメですよぉ?大田さぁん。そんなお痛をするとぉお孫さんに言いつけちゃいますからねぇ?。…はい…血圧も大丈夫ですねぇ♪。お大事に〜♡」
人間の男はスケベばかり。これはあたしが医者として開業してからずっと変わっていない。体調が優れないから病院に来るはずなのに、毎回あたしを口説いてくる。舐めるように全身を見て、中には股間を膨らます若い患者までいた。盛るのは勝手だけれど、キサマたちのような下等動物がわたしに触れようと考えること自体が大罪だ!。いっそ無に還してやろうか!
この世であたしに触れて良いのはレオちゃんだけ。あの人が望むなら、とおっても恥ずかしくて桃色なトコロを〜自分で思いっきり広げて奥の奥まで見せてあげるのに♡。レオちゃんだけはいつだってオールウエルカム♪結ばれる瞬間を夢見るあたしのマンマンは、常に潤っているんだからぁ♡
「はぁ。お腹空きましたぁ。ここまでで20人ですか。前はもっと少なかったのにぃ、可愛いナースばかりだから大人気なのですね?。うふっ♡」
「カスミ先生を目当てにしている患者さんが圧倒的ですよぉ。受け付けのわたしなんて殆どスルーされてますし。…あ、午後は予約が二つだけですから、もう少しだけ頑張ってくださいね?先生。リンちゃんは大丈夫?」
「はい。でも病院なのに、わざわざスーツを着てくる患者さんが多いですよねぇ?。花束とか持っている人もけっこう見ますし。(多分このミニスカナースな制服にも問題があるんだと思う。…わたしも口説かれたし…)」
都心から車で1時間。古くのどかな商店街の一角にあたしの病院はある。前の病院は都心にあっても、ここまで忙しくはなかったのに。周りに他の病院が無いせいか日によってはかなり混雑してしまう。しかも汎ゆる年齢層の牡どもから毎日のように求愛されるのでは…もはや苦痛でしか無い。
でもレオちゃんから求愛されたなら、嬉しすぎて心臓が止まるかも♡。まぁ何回止まってもぉ〜例えばえぐり取られちゃっても〜即座に再生するからスグに生き返るんだけどねぇ?テヘぺろッ♡。これは秘密なんだけど、人界にいると不老不死なのよねぇお姉さん♪先祖代々神の天敵だから♡。だから人界の常識や摂理は通じないのよぉ。ゴメンねぇ?怖いよねぇ♡
「カスミさん?お待たせ。ご飯できたよ?。手を洗って…食堂へどうぞ。」
「レオちゃあん♡。お腹ペコペコです〜。このニオイはお肉ですねぇ?」
「ああ。みんな忙しくしてたし、ガッツリ食べたいかなぁってね?」
アタシが診療所を開設した、この良い感じに古い洋館はとても気に入っている。1階は総合病院にも引けを取らないほどの設備を充実させた。因みに二階はあたしたちの住居になっている。お気に入りの大きなお風呂とトイレと洗濯場はみんなで共有なのだが、シャワーは部屋にも付いている。
手術台は最新型だし麻酔機器はもちろん、レントゲン施設やCTスキャナーなんかもある。MRIも入れたかったんだけど入院施設が無くなっちゃうから断念。その病室の調度品も一流品で揃えてあるのだ。人界はお金さえ出せば何でも買えるからとっても便利♪。時には命さえ買えてしまう。
「きゃー♪サーロインステーキだ。今日は何かのお祝いですか?先生。」
「うふふ♪。お祝いじゃなくてもお肉は出ますよぉ。ね?レオちゃん♡」
「ほんと…いい匂い♪。…レオくんって何でもできるよねぇ♡」
「あ〜ここに来るまでは一人暮らしだったからね。黒咲さんはこちらへ」
この街に引っ越してきてそろそろ3年。職場の雰囲気は過去一だと思う。何より八門獅子が同居してからとゆうもの、自分の中の牝に覚醒してしまった。そもそもは魔族の牡たちに嫌悪して人界に降り立ったのだ。あいつらはメスを見つければ従える事しか考えていない。その辺は人間の牡も同じだけれど、魔族の女は人間の牝のようにポンポン孕んだりしないのだ。
あたしみたいな純血の淫魔は、子孫を残す為の新生の暦も9年周期だし、そもそも個が強いので増やす必要性が低い。あたしの祖先は竜族や神族と覇権争いをしたほどの武闘派なのだ。闘争こそが価値を証明してくれる。
そう思っていたのに、レオちゃんの『頭ナデナデ♪』で全てが変わった。そう、あたしは女の子なんだから♡大好きなレオちゃんの為に生きるの♡もっと言うなら〜わたしはレオちゃんの為に産まれてきたのよ♡。いつか彼の子供を産みたい♡。それこそ1ダースは欲しいと真剣に思ってるわ♪
「レオちゃん、おかわりぃ〜♪。焼き加減は同じにしてくださぁい♡」
「ちょっ!?もう5枚目ですよ?。…カスミ先生…お腹大丈夫ですか?」
「あ。八門くん。わたしもお代わりで♪。もう少し生でもいいわ♡。リンちゃんももっと食べないと〜この夏を乗り切れないわよ?。…こくこく…」
こうしてみんなで食事をするのも大切なコミュニケーション。ただレオちゃんが給餌とシェフとを兼任するのでちょっと寂しい。願わくば彼の膝の上に座ってご飯を食べてみたいのだけれど…口に出したら速攻で拒否られるのが目に見えているので言わない。お尻のカタチは褒めてくれるのに、筋肉質な感触が気に入らないのかしら?。もしかして……ちょっと硬い?
「そ、それはそうですけど。(ステーキが1枚200グラムとしても、1000グラムのお肉なんて焼き肉でも食べられないわ。なんて健啖な…)」
「カスミさんは赤い肉が大好きなんだよ。豚や鶏だとタレ焼きしか食べない。たまに鹿や猪に熊も食べるけど、やっぱり日本和牛が一番みたいだ。」
「うふふっ流石はレオちゃんです。わたしの好み、分かってますねぇ♡」
「あ。わたしは熊もイノシシも好きよ?歯応えあってジューシーだし♪」
「そ、そうなんですねぇ。(音々さんって…野生のお肉が大好きなのね…)」
この人界で良いのは、食べ物が美味しい事とお日様が燦々なところ。魔界にも日は差すけれど…種族によってはわざわざ瘴気やら魔粗やらを放って日光を遮ってしまう。あたしが産まれた地域でも陽の光が苦手な種族が多かったから日光浴もできなかった。でも今は美白の時代。もともと肌は白いから焼かなくて良かったって思ってる。レオちゃん褒めてくれるし♡
「ふぅ。…うぷっ。…もう無理です。…食後のお茶も入らないですぅ。」
「わたしもお腹いっぱいだわあ。……けぷっ。…あ、しつれい。」
「リンが2枚で黒咲さんが4枚か。よく食べたねえ。因みに今日のは1枚300グラムだったから食べ応えあっただろう?大変よくできました♪」
「え?。(…う。甘かったわ。…1枚…200グラムじゃなかったのね…)」
「…1枚が300グラムだったの?。(今夜は長風呂しないと…体重が…)」
レオちゃんの一言で、リンちゃんとネネちゃんは何となくザワついたけれど、たくさん食べられるのはとっても良いことなのよ?。鶏肉や豚肉や人肉が苦手な私にとって赤いお肉はタンパク質の源。それに適度な油脂はお肌の艶にも欠かせないんだから。あれ?間違ってないわよね?。てへへ♡
「リンちゃんもネネちゃんも少食なのですねぇ?。あたしはまだこの倍はイケますよぉ?。…でも今日はこれくらいにしておきますぅ♪。うふ♡」
「まぁ…カスミさんは8枚食べたからなぁ。これだけは俺も勝てないよ。」
「はあっ!?。(300グラムを。は…8枚。…締めて2400グラム!。しかも倍は食べられるって!フードファイターになれるわ…カスミ先生)」
「8枚もですか?先生。…また診察中に寝ないでくださいよぉ?。うちに来る患者たちって、先生のお胸とか絶対に触ろうとするんですからね?」
八門獅子と初めて会ったのは深夜の歓楽街。あたしの診療所があったビルの路地裏で何匹かの牡達を相手に、掴み投げたり壁に叩き付けたりして嬲り殺しにしていた。その姿があまりにカッコよくて〜逆ナンしちゃった♡
でも彼は、あたしがラブホテルに連れ込んでも触りもしないの。産まれた魔界では泣く子も見惚れる美人で通っていたし、淫魔ならではな悩殺プロポーションにも自信たっぷりだったのに、結局カレは何もしなかった。ショックで拗ねたあたしの頭を…優しくポンポンしてくれて惚れちゃった♡
「うふふふ♪大丈夫ですよぉ?。お腹がいっぱいになると、どうしても眠くなりますからねぇ。だから半分にしたのですよぉ。紅茶のいい香り♪。レオちゃん、お茶うけは何ですかぁ?。甘いものが良いのですけれど♡」
「うん。ちょっと旬が微妙だけど。…今日は桃のタルトで。……どうぞ。」
「も…桃タルト。…甘いモノは別腹ですよね?ネネさん。(凄く綺麗♡)」
「これは避けられない定めよ?リンちゃん。お風呂上がりの体重計を今日は見ないことにして……いただきます。ん〜っ♡桃のムースおいしーっ♡」
「んふ♡。ホント美味しいです♡これならホールで食べられますねぇ♡」
「ほ…ホールで…ですか。…ぱく。わ♪おいし♡。(でもホールは無理…)」
今やレオちゃん沼にどっぷりな霞ちゃん。どうしても知りたくて彼の生い立ちを聞き出した日、私は一晩中号泣しちゃった。初見で人間の牡ではないと解っていたけれど、彼の過去の苦痛と心の傷は、とても深くてあまりに悲しい。だからあたしは全面的に協力すると決めたわ。弱い牝を虐げる人間の牡に容赦しないレオちゃんの手伝いをしたいと自ら申し出たの♪。
当時、住所不定で無職な彼を何度も説得して、ようやく同居したのが三年前。この洋館に引っ越してからすぐだった。そうなる前にあたしが魔族であることも打ち明けたんだけど、凄く悩んだ挙げ句の私の告白を、レオちゃんはあっさりと受け入れてくれたの。最初から気づいてたんだって♡。
「きゃ!。舘花さぁん?。『お触りは絶対にダメです』って随分と以前から申し上げていますよぉ。貴方は政治家の立場もおありなんですからぁ、そんな事をすると次は落選することになりますねぇ。…お帰り下さぁい…」
「僕は明日の日本を背負う政党の総裁だぞっ?。僕のどこに不満があるんだ?ナナツキ、カスミ!。僕の妻にするとお前に公約してもう四年だぞ!それに僕は!そのすべすべなメロンみたいで!ひどく卑猥な乳房なんか触ったりしていない!たまたま伸ばした僕の手の平が!たまたまその淫靡な巨乳に当たっただけだ!。わざわざ大騒ぎするなっ!。失敬だぞっ!?」
あたしの七月診療所で、最も面倒で、最も下衆で、最も嫌悪している患者が来てしまった。名を呼ぶ事も穢らわしい虫ケラだ。なんど殺してやろうと思ったことだろう。しかし糞虫でも患者は患者。あたしが医者であり続けているのはレオちゃんの影響だから。…助けると決めたら見捨てない。
「…失礼ながら舘花せんせい。…しっかり揉まれちゃいましたよぉ?わたしの左のおっぱい。そしてぇ…そんなに大声で怒鳴るのでしたら…あそこの防犯カメラの画像データを最寄りの警察に提出しますねぇ?。被害届もちゃんと出させて頂きますので…お話しはソチラで。…お引取り下さい…」
「言っただろう!僕は日本の明日を背負う政治家だ!それに声が大きいのは生まれつきなんだよ!?。おいっ!七月霞っ!僕が意図して痴漢行為なんかする訳がないんだ!警察なんて僕の一言でなんとでもっ?。(あれ?なんだ?視界が回って…意識が。…ああ…純白なパンティーと太ももが…)」
この日本とゆう国では魔界の常識と同じ様に『階級制度』がある。詳しくは知らないし知りたくもないけれど、何にしても蛆の背くらべ程度だ。どれだけ虚勢を張っても一皮剥けばただの肉。種族によっては未だに人肉を好んで食べる。そう、魔族からすれば人類など家畜か労働力でしかない。
しかしその家畜に!レオちゃん専用のおっぱいを触れられたとあっては!いくら温厚で淑女で笑顔の可愛いエッチなアタシでも!当然として憤慨するっ!。元は魔将の血族!あたしはレオちゃんほど寛大ではないのだっ!
と、思ったところに、目前で大声をあげていた短髪なブタの首が落ちた。
それは少し転がってからあたしを見上げている。こと切れる前にニヤリと笑んだのは流石に気持ち悪かったのだが。…まさか…パンツを見られた?
「七月先生ちゃーす。…受付けで聞いててあんまり五月蝿いからつい殺しちゃったけど良いっスよね?。あ。この肉塊はあーしが責任持ってどっかに捨ててくるんで♪。…あ……ひ!?。…音々…ねぇさん。…ち…ちぃーす。」
「ちーす。じゃないわよサクラ。いきなり職場復帰して、秒で豚殺しなんて…なかなかやる様になったじゃない。あ。わざわざ捨てに行かなくていいわ?花壇の肥料にするから♪。でも…床は綺麗に拭いときなさいよ?」
「はいっ!かしこまりっ!。あの…七月先生…さーせんっした!。あーしにとって人間の男なんて…やっぱりガラクタでしかありませんっした。婚約するって言った時…あんなに止めてくださったのに…どーも!さーせんっしたっ!これからは先生のお側でっ!ナース業に邁進する所存っす!」
「あらあら。桜ちゃんが寿退院したのってぇ三ヶ月前ですよねぇ?。もう破局したのですかぁ?。人間の男としては精力が強かったのでしょう?」
久しぶりに見る可愛らしいギャルの破顔。この娘の笑顔は大輪の花のように明るくて昔から好きだ。いつも明るくハキハキしていて患者さんからも人気が高い。金髪な長いストレートヘアに、華奢で細身でお尻が可愛い。肌が浅黒くなったのは日焼けのせいだとしても、その睫毛バシバシでアイラインの凄く太いギャルメイクはちょっと困っちゃうケド…ま。いいか♪
「そう思ってたんすケド…とんだ早漏野郎だったんす。……婚前旅行として世界一周の旅に行ってたんすケド…いざ初夜を迎えようとしたらあのクズ全然ダメだったんす。……服を脱いで…ベッドに入って…見つめ合った途端に終わったんす。…どぴゅどぴゅどぴゅどぴゅ。ベットの中でありったけぶちまけちゃったんッス。…まだ…抱き合ってもいないのにっすよ!?」
「あらあら。とんだ初夜だったわねぇ。…でもぉ、たまたま旦那様の性感が上がっていたとかではないのですか?。あ。サクラちゃんは混血の淫魔でしたっけぇ?。見つめ合わなければ大丈夫だったのではないかしら?」
「ウチらサキュバスは…先ず見つめ合うことで興奮するっす。もしもソレをしなかったら盛り上がれないんっすよ。アソコだって濡れてこないし、まず狭くて入らないっす。毎日チャレンジしたんすけど、やっぱり見つめ合うだけで射精するし。…ウチ…今度こそヴァージンを捨てるつもりだったのにスゴく悲しかったんっす。だから別れたんっすよ。…てへへっ♪」
たとえ性欲や精力が強くとも所詮は人間の牡。淫魔の誘惑は強烈な媚薬のような物だし、魔力への適正も耐性も無い生物が耐えられるわけもない。それを知っていたからこそサクラちゃんの婚約に反対したのだけれど、彼女がなぜわざわざイバラの道を選んだのかは何となく承知している。この破局を踏み台にして少しでも成長したのならば…それは喜ぶべきだろう。
「あらあら。それは本当に残念でしたねぇ。…わかりましたぁ♪他でもないサクラちゃんですからぁ、思いっきり働いて頂きますねぇ♡。あ、でもそんなにヴァージンが嫌だったらぁ…レオちゃんに相談してあげましょうかあ?。疑似ですけど〜『戯れ』がとっても上手なんですよぉ?うふ♡」
「そっ!?。それはあまりにも畏れ多いっす!。…たしかに…八門さまの目を見ただけで…乳首も起っちゃうし…アソコも…だだ漏れるっす。でもあのお方は七月先生の想い人っす!。…う…ウチなんかが…話すことさえ…」
このサキュバス娘がレオちゃんに憧れていることは知っている。だけどアタシが彼を溺愛していることも知っているから身を引くつもりで婚約したのよねぇ。確かにアタシはレオちゃんを深く愛しているけれどぉ束縛なんかしたくないのよ?。人族の牡は経験する毎にまぐわいが上手くなるらしいし、その血を持つレオちゃんも例外ではないはず。抱かれて良いのよ?
「先生?今日の診察はこれで終わりですので看板を入れちゃいますね?。あ、サクラはその肉塊を裏庭に運んで?。細かい目に切り刻んで奥の花壇に埋めてくれれば良いから。…ちゃんと診察室の掃除もするように。後でわたしがチェックするからね?。…手を抜いたらぁ…あの鎖で縛るから…」
「ひーっ!?あの鎖だけはイヤッす!。きっちりカッチリ務めるっす!」
「うふふっ♪。それではぁ、あとの事はお二人にお任せいたしますね?」
「はい。血のシミひとつも残させません。…お疲れ様でした先生♪」
「お疲れっした、ナナツキ先生!。それと…あ、ありがとうございます…」
またあたしの病院が華やかになった。七ヶ月前に寿退院したルナと、四ヶ月前にやっぱり患者さんと結ばれたサツキはどうしているのかしら?。彼女たちの幸福を願い、贈ったお祝い金は足りているのかしら?。図らずも出戻ってしまったサクラ・バイオレットには以前のように、レオちゃんのお手伝いをしてもらわなくちゃ♪。これで毎週末の深夜に忙しく飛び回っている彼も少しは楽になると思うし♡。これは良いタイミングだわぁ♪。