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帰り道。
夕方の風は少しぬるくて、制服の裾がゆっくり揺れる。
こさめちゃんは俺とすちくんの真ん中を歩きながら、ずっと喋っていた。
🦈「聞いて! 今日らんくんがね、朝から“こさめ不足”とか言ってきて!」
👑「重」
🍵「こわいねぇ」
🦈「でしょ!? しかも真顔!」
こさめちゃんがけらけら笑う。
その声を聞いてるだけで、なんか幸せだった。
……まあ、苦しいんだけど。
👑「でもらんくん、こさめちゃんのことほんと好きだよね」
俺が言うと、こさめちゃんはすぐ頬を膨らませた。
🦈「恋愛じゃないし!」
👑「分かってるよ」
🦈「なんか大型犬みたいな好きだから!」
👑「どんな好き?」
🦈「え〜……多分こさめを見て癒されてる感じ?」
🍵「マスコット扱い?」
🦈「ひど!」
また笑い声が重なる。
その隣で、すちくんが静かに笑っていた。
優しい顔。
こさめちゃんを見る時の顔。
……ずるいな。
そんな顔されたら、誰だって好きになる。
🍵「そういえば」
すちくんがふと口を開いた。
🍵「来月、文化祭の実行委員決めるらしいよ」
🦈「あー、言ってた!」
🍵「こさめちゃんやる?」
🦈「えぇ〜、めんどい……」
👑「絶対やらなさそう」
俺が笑うと、こさめちゃんは「失礼!」って騒ぐ。
🦈「でもみこちゃんはやりそう」
👑「んー、頼まれたらやるかも」
🦈「すっちーは?」
その瞬間。
すちくんが少しだけ困ったように笑った。
🍵「俺、人前出るのあんまり得意じゃないしなぁ」
🦈「え、でも優しいから向いてそう!」
こさめちゃんが何気なく言う。
だけど。
その一言だけで、すちくんは少し嬉しそうに目を細めた。
……そういうとこなんだよな。
こさめちゃんは無自覚だ。
人の心に入り込むのが上手い。
優しく笑って、
まっすぐ褒めて、
距離を縮める。
本人は何も考えてないのに。
だからみんな、こさめちゃんを好きになる。
🦈「……みこちゃん?」
気づけば、こさめちゃんがこっちを見ていた。
🦈「またぼーっとしてる」
👑「してた?」
🦈「してた」
👑「ごめんごめん」
笑って誤魔化す。
本当は、誤魔化したいことばっかりだ。
好きとか。
苦しいとか。
諦められないとか。
全部。
駅前まで来たところで、信号が赤になる。
三人で立ち止まる。
夕焼けが街を赤く染めていた。
🦈「……なんか綺麗」
こさめちゃんがぽつりと呟く。
その横顔に、一瞬見惚れた。
好きだなぁって思う。
ほんとに。
🦈「みこちゃん?」
👑「ん?」
🦈「なんか今日静かじゃない?」
どきりとする。
そんな顔で見ないでほしい。
👑「……そんなことないよ」
🦈「ほんと?」
👑「ほんと」
嘘だ。
本当はずっと考えてる。
もし。
俺が先に好きって言ったらどうなるんだろうって。
でも言えない。
だってこさめちゃんは、すちくんが好きだから。
そして。
すちくんもきっと、
こさめちゃんが自分を好きなことに気づいてる。
俺だけだ。
この気持ちを、誰にも言えないのは。
コメント
1件
うわ、すごく好きな展開……。帰り道の何気ない会話だけで、みこの「言えない」気持ちがぎゅっと詰まってて切なかった。こさめちゃんが無自覚に優しくて、すちくんの笑顔も優しくて、その輪の中にいながらひとりだけ孤独なみこの視点が痛いほど伝わってくる。最後の「俺だけだ」がずしりと重い……続きが気になりすぎる。