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すち視点
こさめちゃんは、昔から分かりやすい。
嬉しい時はすぐ笑うし、
嫌なことがあるとすぐ顔に出る。
嘘も下手。
だから。
こさめちゃんが俺を好きなことも、ずっと前からなんとなく気づいてた。
でも確信は持てない
🦈「すっちー!」
帰り際。
廊下の向こうから、こさめちゃんがぱたぱた走ってくる。
🦈「スマホ忘れてた!」
🍵「落とさないようにねぇ」
🦈「こさめをなんだと思ってるの!」
🍵「どじっ子」
🦈「むっ」
頬を膨らませる。
かわいい。
昔からずっと。
泣き虫で、
甘えんぼで、
でも一生懸命で。
守ってあげたくなる。
――でも。
それと恋は違う。
🦈「……すっちー?」
🍵「ん?」
🦈「なんか眠そう」
🍵「昨日ちょっと夜更かししちゃって」
🦈「だめじゃん〜」
こさめちゃんが心配そうに覗き込んでくる。
近い。
近いんだけど、本人はたぶん無意識なんだろうなぁ。
こういうところ、本当に危ない。
🦈「はい、これ」
こさめちゃんが鞄から小さい飴を取り出した。
🦈「スルメイカ味!」
🍵「くれるの?」
🦈「眠そうだから!」
🍵「ふふ、ありがと」
受け取ると、こさめちゃんは満足そうに笑った。
その笑顔を見るたび思う。
もし俺が、こさめちゃんを好きになれたらよかったのにって。
そうしたらきっと、全部丸く収まった。
こさめちゃんは幸せそうに笑って、
みこちゃんも傷つかなくて、
俺もこんなに悩まなくて済んだ。
でも。
好きになったのは、みこちゃんだった。
一年の冬。
昼休み、窓際で本を読んでたらみこちゃんに話しかけられた時だった気がする。
👑『すちくんって、優しいよね』
ただそれだけ。
なのに、心臓が変にうるさくなった。
そこからだった。
🦈「……すっちー?」
また名前を呼ばれて、はっとする。
🦈「今日ほんとぼーっとしてる」
🍵「そう?」
🦈「してる〜」
こさめちゃんは少し眉を下げた。
その顔を見ると、胸がちくっと痛む。
期待させてる。
分かってる。
優しくしすぎてることも。
でも、突き放せない。
だって大事だから。
恋じゃなくても、
大切な存在なのは本当だから。
🍵「……こさめちゃん」
🦈「なに?」
🍵「もし俺に好きな人できたらどうする?」
聞いた瞬間、自分で後悔した。
なんでこんなこと聞いたんだろう。
こさめちゃんは一瞬だけ固まって、
それからへらっと笑った。
🦈「え〜、応援する!」
その笑顔が、少しだけ無理してるように見えて。
胸が苦しくなる。
🍵「そっか」
🦈「うん!」
明るい声。
でも長い付き合いだから分かる。
今の、絶対無理してる。
……ほんと、ずるいなぁ。
傷ついてるのに笑うところ。
優しいところ。
そういうとこ、好きになるに決まってる。
でも俺が好きなのは、
こさめちゃんじゃない。
前を歩くみこちゃんの背中を見る。
柔らかい髪が風に揺れていた。
好きだなぁって思う。
どうしようもないくらい。
その時。
みことが振り返った。
目が合う。
一瞬だけ、
困ったみたいに笑われる。
――気づいてる。
たぶん、みこちゃんは俺の気持ちに気づいてる。
だから余計、苦しかった。
コメント
1件
ああ〜、これ…すっごい胸が痛くなる回だわ…! すち側の視点でこさめちゃんの気持ちに気づいてる描写、一つ一つが刺さる。特に「もし好きな人できたらどうする?」って聞いちゃうところ、めちゃくちゃ後悔してる感じが伝わってきて辛い。こさめちゃんの「応援する!」が無理してるのも、長年の付き合いだから分かるってとこ、いいなぁ。 みこちゃんに振り返って困ったように笑われるラストもグッときた。「気づいてる」って気づいてるのに止められないもどかしさ、藍翠さんの描く恋愛、解像度高いわ…🔥