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虹花 ありさ @て い ふ
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うp主
48
#学パロ?
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_ぐちゃぐちゃとなった部屋は、レイラーがどこまで追い詰められていたのかすぐに分かるほどのものであった。
いや、わかっていた。
レイラーはあの発表を皮切りに八幡宮と連絡を取らなくなっていた。
きっと、ずっとこの、何もかも散乱する部屋で過ごしていたのだろう。
きっと、研究する余裕なぞなかったのだろう。
「…ごめん、レイラーさん」
そう呟く八幡宮に、レイラーはか細い声で答える。
「いや、いいの、私が…私が弱かっただけだから。」
「…だから全部投げ出して、部屋でふるえて、反逆が始まっても、全く部屋から出れないから…」
レイラーは館の廊下を案内するように、ゆっくりと歩いた。
ひどい臭いが立ち込め、Latteは思わず口元を思いっきり押さえた。
「…っぉぇ…も、もしかして、ですけど…」
「…み、みんな…」
レイラーはそっぽを向いたまま頷いた。
レイラーはこの匂いに全く動じていなかった。
関心がないかのように写ってしまうほど_平常のように思えた。
_実際、違うのだろう。
_ここはこんなにも静かだ。
「レイラーさん…」
八幡宮は呟いた。
レイラーは答えることなく、歩いた。
「…」
無言。
大きく鳴る時計の針の音がうるさく感じるくらい、本当に静かだった。
「…イロニア財閥は、壊滅した。」
レイラーは歩きながら、静かに呟いた。
_空いた穴から入る隙間風がいやに寒く、ひゅうと音を立ててこちらの頬あたりを突き刺してくる。
ぬるいのに、寒い風が絶えず入ってくる。
_館はきっと崩れていて、それを治す人材も、気力もなかったのだ。
「ごめん、ごめん、レイラーさん…」
あの八幡宮ですら、この凄惨な状況に堪えてしまったようで、か細い声で、何度も謝っていた。
_私が間違っていたのか?
八幡宮は考えた。
__出会わなかったら、こんなことにはなっていなかったのだろうか?
_違う、あの瞬間はレイラーも楽しそうにしてた、それも全て、壊してしまったのだろうか?
「……」
「…ごめん、ごめんなさい…」
八幡宮は、初めて涙を流した。
_色々なものがいやに混ざりあってしまう。
廊下をきっと照らしていたであろう電気はどれもこれも貫かれ、煙が微かに出ていた。
「…案内しましたけど、どうです?」
「…私にはもう出来ないって、分かってくれました?」
2人は黙りこくって動けずにいた。
生気のないレイラーの目は、2人を静かに見やって、言い切った。
「…人探しって言っても知らないし、私じゃなくて…私と共同してるもう1人を頼って。」
しばらくの静寂ののち、八幡宮は顔を上げ、レイラーの目をまっすぐ見た。
琥珀のような目は、少し揺れていた。
_1回、瞬きをする。
そして八幡宮は言った。
「…その人だよ、レイラーさん。」
「イデアリス財閥、当主の人 」
何回もレイラーは瞬きをした、だが確実に動揺していた。
「…はぁ、どういうこと…?ウパパロン様となにか関係でもあるの?」
レイラーは呆れたような顔をし、ため息をついた。
「…はぁ。」
レイラーは再度ため息を着き、2人から目線を逸らした。
「…イデアリス財閥なら、まだ私みたいになってんじゃないのかな。」
レイラーは、俯いた。
あまりに悲壮的で、闇に自ら歩いていってしまいそうなほどの危うさがそこにはあった。
だが八幡宮は、手を取ることなぞ出来なかった。
「……目的は果たしたでしょ」
そういうレイラーのボサボサな髪がかすかに揺れた。
少しの沈黙が流れ、Latteは肝心な名を聞いても、全く思い出せないような_そんな感覚があった。
「…ありがと。」
八幡宮はそう言って、悲しそうに笑った。
そして、軽く頭を下げた。
「…ごめん。」
___
2人は、曇天の下を歩いていた。
厚い雲は陽を完全に遮って、少し寒くすらある風が2人の頬を撫で、ふわりと髪を揺らした。
「…そう、思い出した。」
「ウパパロンって人じゃない?Latteさんが探してるの」
Latteは黙りこくって考えた。
Latteは静かに言った。
「…今は、全く心当たりがない。」
「…会ってみたら…分かるかもしれないけど、遮られてるみたいに、名前も顔も…メガネを通さないでそれを見たみたいに、ぼんやりとしか出てこない。」
Latteは空を見やって、でも…と呟いた
「…会わないといけない気がするんだよね。」
「…漠然としてる…けど。」
__Latteは、今まで散々見てきた、幸せな夢を思い出した。
__私、何度も…こんな感じの名前を口にしようとした気がするんだよね。
厚い雲の下で、Latteの赤い目は静かに、その先にある光をたたえるように揺らめいていた。
「………色々、ありがとう。」
「…Latteさん…」
今の八幡宮にとって、それは_あまりに純真な決意だった。
自分は泥に足を突っ込んでいっているというのに、彼女は_そこにだけ綺麗に咲いた、花畑の方へ足を進めているような感覚だ。
_まるで正反対を向いているようだった。
_ずっと導いてきた、共に歩いてきた。
_それなのになぜこうなったのだろう。
_レイラーと会って、良かったのだろうか?
そんな考えが、どうしても耳の周りで飛び回る虫のようにやかましく反芻した。
聞きたくのない音に、見たくない現実。
_彼女は受け入れようとしているというのに、希望を見つけたというのに
_どうして、絶望しようとしているのか?
_八幡宮にはわからなかった。
初めての感情だった。
まるでミルクも砂糖もないコーヒーを、嫌いなのに飲んだみたいだ。
嫌な苦味が、ずっと身体に残っている。
どうか、これを誰か取り除いてくれ、そう考えたとて無駄だととっくにわかっていた。
きっと、間違いだったから。
同類なんてきっと、どこにも存在しないのだから。