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俺がミノリ(吸血鬼)とツキネ(変身型スライム)とミサキ(巨大な亀型モンスターの本体)とメイン(綿の精霊たちの女王)と共に巨大な亀型モンスターの外装と合体しているアパートの二階にある俺の部屋に戻ってくると、みんなが出迎えてくれた。

メインの存在に気づいたみんなは彼女を凝視した。

メインはそれに驚き、俺の背後に隠れた。

はぁ……一から説明するの面倒だな……。

でも、それをしないとメインがどんなやつなのか分からないからな……。


「みんな、今からこいつの説明をするから殺意を向けるのはやめてくれ。別にこいつは悪いやつじゃないんだから」


みんなからしたら、少し見ない間に新しい女の子が増えているのだから無理もない。

が、明らかに殺意を向けている者《もの》がいたため俺はそう言ったのだ。


「ナオト、みんなのことはあたしに任せて。あんたはメインをどうにかしなさい。今にも泣き出しそうよ」


「分かった。いつもありがとな、ミノリ」


「勘違いしないで。あたしは目的を達成するまであんたを利用したいだけよ。でも、まあ……ど、どういたしまして」


あれ? 今ちょっとデレた?

うーん、まあ、いいか。

ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)はメインと共に屋根の上まで移動した。

ミノリとツキネとミサキは彼の部屋の中に入った。


「メイン、大丈夫か?」


「うえーん! 怖かったよー! あの子たち何なのー! お兄ちゃん、私を慰めてー!」


「あー、はいはい、よしよし。怖かったなー」


メインは俺に抱きつくとポロポロと涙を流し始めた。俺がメインの頭を撫でてやるとメインは俺を強く抱きしめた。

俺の骨が軋《きし》むほど、強く……。

メインが泣き止んだのは、それから約二十分ほど時が進んだ頃だった。


「落ち着いたか?」


「まだ無理そう」


「そうか」


メインは俺が遠くの景色を見始めた瞬間、俺を押し倒した。


「お兄ちゃん、お願いがあるの」


「お、お願い?」


まさか、また俺の子どもを作りたいだなんてこと言わないよな?


「あ、あのね、わ、私をお兄ちゃんの中に入れてほしいの」


「え? 俺の中に入りたいのか? 俺のを中に入れたいじゃなくて?」


「何言ってるの? そんなのいつでもできるよ」


え? それって、いつでも俺を襲えるってことだよな?

そっちの方がまずくないか?


「私はさっきの怖い人たちと関わりたくないから、お兄ちゃんの中で匿《かくま》ってほしいの。ダメ、かな?」


「えっと、それをするとお前を傷つけた例の蛇神《じゃしん》と同居することになるんだが、それでもいいのか?」


「あっ、そっか。なら、いい。あんなこと、もう二度とされたくない」


だろうな……。

俺だって、あんなことされたくないし、もうしたくない。


「えっと、今ミノリがお前のことをみんなに説明してると思うから、それが終わるまではここにいよう」


「うん、そうだね。じゃあ、それまでお兄ちゃんの温《ぬく》もりを感じていようかな」


メインはそう言うと、俺に身を委《ゆだ》ねた。

俺は今、ほぼ全裸の幼女に抱きしめられている。

俺が女だったら、こんなに心臓がドキドキすることはなかった……と言い切れる自信はない。

彼女が少し体を動かす度《たび》に俺の頭の中はピンク色に染まっていった。


「ねえ、お兄ちゃん」


「お、おう、なんだ?」


「お兄ちゃんはキスしたことある?」


「え、えっと、口と口でするやつはしたことない」


「そっか……。じゃあさ、私としようよ。キス」


キス……。

俺の初めてはあの人に捧げると決めている。

だから……。


「ごめん。それはできない」


「どうして? 私のこと嫌いだから?」


「そうじゃない。俺の初めてはある人に捧げるって決めてるからだ」


「そっか……。残念。じゃあ、その代わりにお兄ちゃんの血をもらうね」


なぜ血を求める?


「いや、それはちょっと」


「じゃあ、襲う」


あれー? 俺、なんか脅迫されてない?


「えっと、俺はキスと吸血と性行為、そのどれかを選ばないといけないのか?」


「選ばないと全部やっちゃうよ。三、二、一……」


「ていっ!!」


「……っ!?」


メインが俺の耳元でカウントダウンをしているとミノリ(吸血鬼)が自分の血で作った鈍器を彼女の頭にぶつけた。


「うえーん! 痛いよー! お兄ちゃん、よしよししてー!」


「あー、はいはい、よしよし。痛かったなー。ありがとう、ミノリ。おかげで助かったよ」


「あのねー、いつでもあたしが助けに来れるわけじゃないんだから、もう少しうまく対応しなさいよ」


「す、すまない」


今のは本当に危なかった。

ミノリが来てくれなかったら俺は今頃……。

やめよう、そんなこと想像したくない。


「そいつの説明をみんなにしたから、もう戻っていいわよ。それとメイン! 気安くナオトに触るのはやめなさい! あたしが……じゃなくて、みんなが嫉妬するから!」


「はーい、気をつけまーす。お兄ちゃん、こっち向いてー」


「え? あ、ああ……」


「私のこと大切にしてね。大好き」


メインは俺の頬にキスをすると、スッと立ち上がった。


「お兄ちゃん、どうしたの? 早く立ってよー」


「え? あ、ああ……」


今のは挨拶《あいさつ》……じゃないよな?


「メーイーンー!!」


「うわー! ミノリお姉ちゃんが怒ったー! お兄ちゃん、助けてー!」


「ふざけないで! あんた、今のわざとやったでしょ! あっ! こら! 待ちなさい! 逃げるなー!」


メインはニコニコ笑いながら走り始める。

その直後、ミノリが彼女のあとを追い始める。

良かった、なんとかやっていけそうだな。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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