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遥の手は、水族館の時と同じように、少し汗ばんでいて、とても熱かった。
握り返してくる力は不器用だけど、そこには「もう離さない」という、言葉以上の熱がこもっている。
「……おい」
「……いいでしょ、別に。誰もいないんだし」
私が少しわがままにそう言うと、遥は観念したように、顔を真っ赤にしながら私の手を力強く握り締めた。
「……後悔しても、もう知らねーからな。俺は兄貴みたいに器用じゃねーし、お前を振り回すかもしれないけど……。……でも、お前以外の隣に立つ気は、一生ねーから」
「……うん。私も、遥の隣がいい」
夕日に照らされた二人の影が、教室の床に長く、一つに重なる。
憧れの「光」を見上げる日々は、今日で終わり。
これからは、この泥臭くて、熱くて、愛おしい「温度」と一緒に、新しい景色を作っていくんだ。