2.選抜
“選抜チームの候補生として推薦させていただきます。
そんなメールに飛び上がった。
春の選抜メンバー発表会に出演することが決まった。
これで上手く行けばメンバーにも入れるかもしれない。
初めての選抜候補生。
本気で頑張りたい。
未来もいるし、
そう思った。
集中レッスンが始まると色んな有名な選抜メンバーが来た。
その中には堀山航、もいた。
そして憧れの水上もみじさん。
スクール内でトップの人だ。
初めて姿を見た。
オーラから違う。
未来は毎日幸せそうだった。でも、その度に私と話す回数が減って行った。
別に気にはならないが、ずっと堀山くんと話していた。
堀山くんも、未来にばっか構ってるからあそこは両思いなのかもしれない。
『星願ー!彼氏と別れた!』
そう言ってきたのは未来で、理由はきっと堀山くんの事だろう。
『わたるは、渡さないからね』
耳元でぼそっと言われるのは少し怖い
元々取る気もないし興味もないけど。
『なにしてんの』
そう話しかけて来たのは堀山くんだった。
未来の視線が痛い。
『なんもしてない。』
ただ冷たくしちゃっただけだった。
これが、最善だったのかな。
堀山くんは誰とでも仲良い。
だから未来もどう思われてるか分からない。そして私と話さなくたって別にいいだろうと思い込んだ。
未来は毎日一緒に帰ってる。私はただ踊りたいだけ。
ならいいじゃないか。
未来が居ないのが辛いことなんて誰にも言えなかった。
『わ、わたるくん。』
たどたどしく話しかけてるのは同じ候補生の美奈。
顔が赤くなってる。きっと好きなのかな。
緊張してて、でも幸せそう。
なんであんなにモテてるのか。
理解ができなかった。