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#BL
kaede🍁
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おその★
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篝火

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阿部、深澤、渡辺が女の子になってから、半年が過ぎた。
あの日は絶望しか見えなかった。
けれど今は違う。
三人とも、笑顔を取り戻していた。
朝は筋力トレーニング。
午後はダンスレッスン。
空いた時間はボイストレーニング。
以前とは違う身体に合わせて、一から身体の使い方を覚え直す毎日だった。
「もう一回、九人でステージに立つ。」
その約束だけを胸に、三人は誰よりも努力を重ねていた。
もちろん、頑張っていたのはレッスンだけではない。
「女の子になったらやってみたい。」
語り合った夢も、一つずつ叶えていた。
三人でショッピングへ出掛けたり。
カフェ巡りをしたり。
ネイルを楽しんだり。
季節ごとに違う服を着て写真を撮ったり。
ラウールがコーディネートを考え、康二が「その服めっちゃ似合う!」とはしゃぎ何十枚も写真を撮る。
そんな何気ない時間が、今ではかけがえのない思い出になっていた。
公表した当初は、不安も大きかった。
世間からどんな目で見られるのか。
受け入れてもらえるのか。
眠れない夜もあった。
しかし、少しずつ個人での仕事も増えていった。
阿部はニュース番組の特集企画に出演した。
自分の経験を、自分の言葉で丁寧に語る姿に、多くの視聴者から「勇気をもらった」という反響が寄せられた。
渡辺は化粧品メーカーのCMに起用された。
普段から宮舘に「今日も綺麗だ」と褒められ続けていた笑顔が、そのまま画面いっぱいに映し出される。
CMが公開された日には、宮舘が録画を何度も見返していたことを本人はまだ知らない。
深澤は岩本と一緒にグルメ番組のゲストとして出演した。
食レポをしながら、息ぴったりの掛け合いを見せる二人に、司会者から「本当に仲がいいですね」と言われると、二人とも一瞬だけ目を合わせて笑ってしまう。
スタジオでは、その自然な空気にスタッフも思わず笑顔になっていた。
そして、一番大きな反響を呼んだ仕事があった。
三人そろって出演したファッション雑誌の特集。
表紙には阿部、深澤、渡辺が並び、数ページにわたってモデルとして撮影された。
クールな衣装。
柔らかなワンピース。
カジュアルなスタイル。
ページをめくるたびに違う表情を見せる三人へ、読者から大きな反響が寄せられた。
発売日には書店で売り切れが続出し、重版が決定。
事務所にも祝福の連絡が相次いだ。
その雑誌を見た目黒はというと――。
「……。」
リビングのソファで雑誌を開いたまま固まっていた。
阿部が隣へ座る。
「どう?」
目黒はページをめくる。
綺麗に微笑む阿部。
ページいっぱいに写る姿。
何度見ても、服の魅力が最大限に引き出されていて、色気もあり、見惚れるほど綺麗だった。
「……。」
「めめ?」
目黒は雑誌を閉じる。
そして阿部をじっと見つめた。
「俺の。」
「ん?」
「俺のあべちゃんなのに。」
ぽつりと呟く。
阿部は思わず吹き出した。
「また嫉妬してる?」
「してる。」
目黒は隠そうともしない。
「全国の人に見られてる。」
「雑誌買った人、みんな見てる。」
「綺麗って思われてる。」
阿部は笑いながら目黒の肩にもたれた。
「でも。」
「帰ってくる場所はめめのところだよ。」
その一言で、目黒の表情が少しだけ柔らかくなる。
「……ずるい。」
「何が?」
「そういうこと言われると。」
「何も言えなくなる。」
阿部はくすっと笑い、そっと目黒の手を握った。
「ちゃんと帰ってくるから。」
「毎日。」
目黒は握り返しながら、小さく頷く。
「うん。」
半年という時間は、三人の身体だけではなく、周りの人たちとの関係も少しずつ変えていた。
悲しみや戸惑いは、まだ完全には消えていない。
それでも、九人は同じ夢を見ている。
もう一度、あのステージへ。
その日を目指して、今日もそれぞれが前を向いて歩き続けていた。
コメント
1件
第48話、読み終えました……!半年の歩みと、一人ひとりの笑顔が戻っていく過程がとても丁寧に描かれていて、じんわり温かくなりました。特に目黒くんの「俺のあべちゃんなのに」は、嫉妬であり愛情そのもので、お二人の距離感が愛おしいです。お互いを想い合う空気が細やかに滲む、素敵なエピソードでした✨