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冬馬先生の独占欲は、日に日に苛烈さを増していた。
私のスマホのスケジュールは共有を義務付けられ、医局を出る時間さえも彼の許可が必要になった。
「……先生、さすがにこれはやりすぎです。私、仕事が終わったら本屋さんに寄りたいだけなのに」
夕方の回診後、私は意を決して彼に抗議した。
けれど、冬馬先生はカルテをめくる手を止めず、冷ややかな声で応じる。
「昨日、その本屋の近くで佐々木と話していただろう。防犯カメラに映っていたぞ」
「……っ、あれは、偶然会って挨拶しただけです!」
「偶然などという不確定要素を俺の視界に入れるな。…海老名、お前は俺に嘘をついた。それがどういう意味か分かっているのか?」
先生は椅子から立ち上がり、ゆっくりと私を壁際へと追い詰めた。
眼鏡の奥の瞳が、怒りと、それを上回るほどの「執着」で暗く濁っている。
「…う、嘘なんて。ただ、言うほどのことじゃないと思って……」
「俺が決める。お前に関するすべての事象の優先順位は、俺が決めるんだ」
ドン、と壁に手をつかれ、私は彼の腕の中に閉じ込められた。
逃げようとした腰を、強い力で引き寄せられる。
「…先生、誰かに見られたら……」
「見られればいい。お前が誰のものか、病院中に知らしめる良い機会だ」
そう吐き捨てると、先生は私のブラウスの襟を乱暴に開き
まだ赤みの残る首筋に、今度は見せつけるように深く、鋭く牙を立てた。
「っ……、あ…っ!んあ…っ♡せん、せい……っ!」
「……俺の目を盗んで他の男と笑い合うたびに、もっと深い痕をつけてやるからな、覚悟しておけ」
涙で滲む視界の中、彼が見せたのは、ゾッとするほど美しい微笑だった。
ドSな支配は、もはや指導の域を超えている。
けれど、彼に強く抱きしめられるたび
私はその歪んだ愛情に、言いようのない安らぎを感じてしまう自分を止められなかった。
「……わかったら、返事は?」
「……は、はい、先生……」
屈服の言葉を口にすると、先生は満足げに私の唇を奪った。
それは、自由を奪われる絶望と、愛されているという熱狂が混ざり合う、狂った処方箋だった。