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朝の教室は心地が良いほど、涼しい風が吹いていた。
あの診断を受けて早4年。
俺は高校2年生となり、そこら辺にある高校に進学した。
別に頭が良かったわけでも、行きたい高校があったわけでもなく、ただ簡単に入れる学校を選んだつもり。
強いて言うのならここからだと病院が近くて通いやすいぐらい。
ほかは別に変わりがない。
山に囲まれた自然豊かな学校…って感じ。
風でカーテンが揺れ、鼻をくすぐる。
春特有の暖かさで身体がぽかぽかする。
グラウンドを見渡せば、運動部が朝練をしていた。
それを他人事のように眺めつつ、窓際の1番端っこの席に腰をかけた。
…やっぱり、この時間が1番好きだな
あんだけ重たかった身体も薬が効いてくれば、どうって事ない。
頬杖を着きつつ、果てしなく続く青く吸い込まれそうな空をぼんやり見つめていた。
?「………相変わらず早いな、」
🤍「…それはお互い様でしょ?」
そっか、と呑気に笑う金髪少年が扉から顔を覗かせる。
同じクラスの吉田仁人。
一年生の頃から仲良くなって、クラスも一緒に持ち上がれた。
今では何でも話せる…親友ってやつ??
一方的かもだけど。
それに、
💛「どーよ、調子は。」
🤍「んー、薬の効き悪くなってるかなって感じ」
おいおい、と眉間に皺を寄せて心配そうに見つめる彼に大丈夫だと何回も言い聞かせる。
家族以外に俺がΩだと知る唯一の存在。
その存在は大きくいつも助けられてる。
そして仁ちゃんも稀で希少な俺の仲間Ωだ。
だからきっと心を許して話せたんだと思う。
💛「前座っていい?」
🤍「断っても座る気でしょ?、」
この時間は二人だけの秘密を交換できる大切な時間。
最近の調子やお互いの感情、身体の変化を隠さずに話し合える時間。
仁ちゃんは前の席に座るなり、壁に背を預けて教室を見渡していた。
🤍「…なに、なんかあったの?、」
💛「………あるように見える?、」
時計の秒針が進む音が響き渡る。
風が髪を揺らし、眩しい光が俺達を照らしていた。
💛「……俺さ、……先輩に告られたんだよね」
🤍「は????、」
あまりにも素っ頓狂なことを言い出すから変な声が漏れ出る。
え、仁ちゃんに、、え??、
とんだ物好きもいるもんだとついつい目を疑ってしまう。
💛「お前、今悪いこと考えてるだろ」
🤍「考えてない、考えてない。
いや、物好きもいるんだなーって、…………あ。」
丸々とした大きな瞳が俺を睨みつけてる。
その威圧はなんともまぁ素晴らしい。
🤍「良かったじゃん。その人どうせαなんでしょ?」
💛「うわ、よく分かったな。」
なんでもお見通し…なんて言ったらキモイか。
🤍「なに?、その人には話してんの?、」
💛「……してる。しざるを得なかった。」
え?、とまた変な声が漏れる。
驚きの連続だと言うのに仁ちゃんはどこか上の空だった。
もっと喜ぶべきじゃないの?
だってもしかしたら”番”になる可能性だってある人なのに?、、
どこか浮かない表情をする彼に心配が勝ってしまう。
🤍「……その人、悪い人なの?、」
💛「…いや、めちゃくちゃ良い人。俺には勿体ないくらい。」
相手は…確か先輩って言ってたっけ。
人付き合いが苦手で下手くそな仁ちゃんがそういうのなら。
良い人なのは確かなんだろうな、
だからこそ、何に迷ってるのかが分からなかった。
“番”が見つかれば、発情期の心配なんていらないし、
何より…一人で抱え込むことが減るのに。
🤍「何をそんなに悩んでるのさ。」
彼を視線から離さまいとずっと見つめているのに、
向こうの視線は未だ教室を向いていた。
💛「………俺、こんな身体じゃん?、」
🤍「、うん?」
💛「先輩めちゃくちゃ優しくてさ。明るくて元気で。α特有のカリスマ性を持ってる、」
口からぽろぽろと溢れ出る言葉を聞けば、
あーぁ、俺の知らない所でそんな事があったんだって実感する。
……そんなに進んでること俺知らなかったよ?、
💛「…だからこそ、怖いんだ。」
ずっと動かされていた口が止まる。
その瞳は涙で潤み、拳がぎゅっと握られていた。
💛「おれっ、俺はっ、…アイツの隣なんて相応しくないし、第一男でこんな身体だからっ、 」
ぽつりぽつりと吐き出される弱音は小さく掠れている。
💛「こんな俺じゃっ、迷惑かけちゃうからっ、」
久しぶりに彼の弱音を聞けて、信頼されてたんだなとこんな時に実感する。
涙を必死に堪えつつ鼻をすする音。
何かを拒み、何かに恐怖している仁ちゃんの背はあまりにも丸くなっていた。
🤍「……仁ちゃんはその人のこと好きなの?」
💛「…すき、なのかな。分からない、おれっ。そんなのっ、」
🤍「第二の性とか関係なしに、その先輩のことどう思ってるの?」
ぇ、と今にもこぼれ落ちそうな瞳でこっちをやっと向いてくれた。
やっと視界に俺を入れてくれた。
🤍「αとかΩとかそんな事考えずにさ、純粋に先輩のことを考えて。一人の人間として。」
後押ししてあげたい。
仁ちゃんがどう思ってどう考えてるか分からないけど、
良い方向に進んで欲しい。
もう発情期なんて悩みが無くなって、
大切な人と幸せになって、
……どの口が言ってんだろう。
俺には無縁な話なのに。
🤍「仁ちゃんにはさ、…俺みたいな経験してほしくないから、」
小声で聞こえないくらいの声でぼそりと呟いた。
聞こえなくていい、ただの独り言にすぎない。
💛「じゅう、たろっ、…ごめっ、おれっ、」
🤍「いーよ。気にしてないし。」
謝られる義理もないし、別に誰が悪いとかでもないから、
🤍「……ゆっくり時間をかけて考えればいいんだよ。何も急ぐことじゃないし、」
理解ある人なんでしょ?、と笑いかければ自然と彼の笑みが零れた。
と、こんな話をしていれば、
「あー、朝練だりぃー!!!」
「ほんとにな。無くなんねぇかな、まじで」
朝練習が終わった部活生が教室に近づいてくる。
🤍「ほらほら、泣かない。泣かない。みんなに心配かけちゃうよ?」
💛「……っ、泣いてないしっ、!」
きっ、と潤んだ瞳で睨まれても説得力ないなぁ〜笑
🤍「……ありがとね。そうやって俺に話してくれて。」
💛「…!、それはこっちのセリフだから。
相談乗ってくれてありがとう。ちょっと楽になった。」
今さっきのしんみりとした雰囲気はどこかに消え、またいつも通りな仁ちゃんに。
そんな姿を見れば、大丈夫だなって安心できる。
席を立つなり、彼は自分の席に着いた。
俺も机の中にある一つの小説を手に取り、物語の中に入り込んでいった。
……”αとかΩとかそんな事考えずにさ”
🤍「…何言ってんだろ、笑笑笑」
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コメント
3件
やっぱ天才ですねっ…🫵🫵 ほんとに大好きすぎます…、、🫶🫶💕 神作いっぱいで読むのがち楽しいですッ 最高すぎて泣きます😭😭
うわ〜〜〜第2話、めっちゃ良かった😭💕 仁ちゃんがΩで、先輩に告られたけど自分の身体のことで迷ってるところ、胸がぎゅってなったよ…。主人公が「αとかΩとか考えずに、一人の人間としてどう思うか」って優しく背中押してるのが、なんかもう尊すぎて泣ける。自分には無縁って言いながら誰よりも人の幸せ願ってる感じ、グッとくるなあ…。朝の教室の空気感とか、時間の流れ方もすごく丁寧で、二人だけの秘密の時間って感じがして大好き。先輩との話も気になるし、何より主人公の過去がまだ見えてなくて、もっと知りたくなったよ!次話が待ち遠しい〜🌸