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🤍side
💛「あ”ー、がちだりぃ。」
🤍「まぁまぁ、頑張ろうや。」
は?、とキレ散らかす仁ちゃん。
今は、と言うと。
「おい、こっちこっち!!」
「おいパスだよ!!パス!!」
絶賛、球技大会真っ只中であります。
俺たちの高校は何かと行事ごとは全校で楽しみ、盛り上げるみたいな感じでさ。
学期ごとに大規模な球技大会で全校の仲を深めよー、みたいな意味分からん行事があるわけ。
💛「だぁ”ぁ”、んなもん、いらねぇだろ!!」
球技全般、て言うか運動音痴な仁ちゃんからして見ればこんな行事いらないのである。
まぁ、俺も同感だけども。
💛「なんだこれ、誰得だよ!まじで!!! 」
目ん玉見開いて、そうかっかするから暑苦しくて仕方無い。
ただでさえ、体育館の熱気は素晴らしいのに。
そんな熱気に入れずに俺たち二人は隅の方でちょこんと座っていた。
🤍「もう暑苦しいよ、仁ちゃん。騒がないでよ。」
💛「逆になんでそんな涼しい顔してられるんだよ!?、球技大会だぞ!?、あの狂気的な!!」
まじでうるさい。どうにかして、これ。
騒がしすぎて溜息しか出ない。
俺たちクラスは種目別に分かれて空きの時間に応援って形になっている。
クラスの人数も多いし、比較的に人気で暇を持て余せるバレーボールを選んで正解だな。
コートの中に入るやつなんて、カッコつけたい部活生か、きゃあと可愛こぶるそこらへんの女子生徒ぐらいだ。
💛「てか、柔太朗スポーツ出来んだろ!!」
あー、と遠い目でよそを見る。
別に出来るってほどじゃない。
並大抵、可もなく不可もなく。
Ωの部類ではスポーツが出来るほうなのでは、とか思うけど、
「うっわ!、流石だな!!」
「さっすがα!、やっぱ違うな!!!」
あんな奴らに敵うほどでは無い。
むしろ底辺。
🤍「汗かきたくないし。」
はぁ!?、と本日2度目のバカでかい声が漏れ出る。
まじで耳元で言うのだけはやめてほしいんだけど。
……本当は、俺だって部活入りたい。
あぁやって汗かいて皆と笑いあって、勝利の喜びを分かち合いたい。
思い出されるのは中学上がるまでの記憶。
あの診断が出る前の記憶。
💛「…………。」
もうこんな身体じゃ出来ないけど、ね。
「あ”ー!!まじ悔しっ!!、お前らも入れよ!」
🤍「………ぇ、」
一人の男子生徒が隅っこにいた俺らに目を向け、コートに指を指す。
こいつはクラスで言う学級委員長ポジのやつだ。
俺らが一つもやってないとこを見兼ねて、誘ってやろうと思ったんだろう。
ただの周りへのアピかもしれないけど。
「丁度、ローテまわんだよ。お前らも勝利に貢献しろー!!」
まずい、これ。
いや、入りたくないんだけど、
え、やだやだ。
あまりにも大きな声で誘ってくるものだから。
周りはそれに賛同し、拍手やら手招きやらやっている。
いやいや、待ってよ。むりだよ。
🤍「ちょ、え、まじで無理なんだけど。」
周りの視線が痛すぎて、助けて欲しくて
横を見れば案の定仁ちゃんは固まってた。
いやっ、つかえな!!!
🤍「仁ちゃん!!、どうにかして!!」
💛「む、無理に決まってるだろ!?、俺だってやりたくねぇよ!!」
じりじりと詰められる距離に、胸が締め付けられるような感覚がする。
ぁ、これ、まじでやばいやつ、
🤍「………ひゅっ、」
💛「柔太朗っ??」
あーぁ、思い出しちゃう。
視界が歪み、目の前が段々と真っ暗になっていく。
このかんかく、はっ
💛「…っ、!!」
🤍「ぁ、ぇ、…」
突然、 蹲って動けなくなった。
まるで、足の裏に接着剤でも塗られたかのように。
思い出したくもない記憶の断片が少し見えて、身体がぶるぶる震えてくる。
額から冷や汗が止まらない。
もうダメだって思った時。
…仁ちゃんがぐっ、と手を引いてくれた。
💛「ごめんっ!、こいつ体調悪いんだわ!!」
あまりにも勢いが良すぎて少しふらつく。
だけど、掴まれた手首はぎゅっ、と握られており力がこもっていた。
🤍「じん、ちゃっ、」
💛「悪い、助けるの遅れた。」
今さっきまで頼りなかった癖に。
結局、頼れるのは誰よりも君なんだ…ね。
体育館から逃げるように颯爽と俺たちはグラウンドの方に走っていった。
💛「はぁ、…ぜぇ、はぁ、、」
上がる息を抑えつつ、テントの下で腰を下ろす。
こうやって全力で走ったのも久々だなぁ、
なんて呑気なことを考えながら。
🤍「…仁ちゃん、ごめっ」
💛「あー!謝るのなし!、聞きたくない!!」
と、全面的に拒み耳まで塞いでしまう。
💛「俺、お前の謝罪嫌いだから。」
なんて言われれば謝りたくても謝れない。
外に出たことにより、ムシムシした体育館とは違い涼しい風が頬を撫でる。
後ろに手をついて、苦しさを和らげる。
💛「はぁ、マジ疲れた。」
🤍「ぁ、…ごっ」
💛「聞いてた?、俺の話。」
うっ、と遂々唸ってしまう。
完全に今さっきのは俺が悪いから謝らせて欲しいのに。
かける言葉も切り出す言葉も見つからず、ただ黙って隣に座るだけしか出来ない。
💛「………。」
なにこれ、気まづい。
なんて一瞬だけそう思う。
…でも、この距離感もいいのかもしれない。
このお互いのグレーゾーンに安易に飛び込まない感じ。
無駄に詮索しようとしないこの感じ。
俺は仁ちゃんとは秘密を交換出来る仲だって言ったと思う。
実際、第二の性を知るのは彼だけ。
だけど、俺の過去については一度も話したことがないし、
…それを察してなのか仁ちゃんも深く詮索しなかった。
ただ、”何かある”。
それは勘の鋭い仁ちゃんなら気づいていると思うな。
果てしなく続く青空は窓越しに見つめるよりもよっぽど綺麗でキラキラしてた。
こんな空の下で体を動かして、スポーツをする姿を見れば懐かしくて仕方無い。
🤍「………いつか、話すから。」
誰に言ったのかも分からない言葉だけど。
きっと隣にいる彼には届いていてくれるはずだから。
💛「分かってるわ馬鹿。いつでも待ってるから。」
ふっ、と笑うその横顔に、その優しさに何度救われてきたことか。
ありがとう。
俺の唯一の友達になってくれて。
💛「なんか、しんみりだな、笑笑」
🤍「やめてよ。空気台無し笑笑」
そうやって笑い合えるだけで俺の気持ちは少しばかり楽になるような気がしたんだ。
コメント
1件
うわあ、3話も一気に胸にきた……。仁ちゃんが「謝るのなし」って耳塞ぐシーン、めっちゃ好きです。固まってたのに柔太朗の異変にすぐ気づいて手を引いて逃げる強さ、そのあと詮索しない距離感も含めて、二人の関係性がじわじわ伝わってきました。青空の下で「いつか話すから」って言えるようになった柔太朗の成長も泣ける。続きがすごく気になります!