そんなファンが増えてくれば、いずれはいかれたストーカーが現れるなんてことは、わかりきってたことでもあった。
最初は、マンションの場所を知られた。
住んでるところは悟られないように、なるべく近所のことなんかは公共の場では話さないようにはしていたし、付きまといにはいつも細心の注意を払っていた。
だけど、「よく行くお店」とか、「お気に入りの場所」とか、そんなラジオやテレビで話す些細な言葉をつなげていくと、だんだんに居場所が特定されていくらしかった。
そうした特定は、さらにはSNSで上げた画像にいくらモザイクをかけようとも突破されるだけで、住んでるマンションの近くで撮ったマンホールの図柄から地域を絞り込んだり、あるいはあたしの目の中に映った光景を拡大してまで近場の住所を探ったりと、
彼らは、そんな小さな情報をちまちまとパズルみたいに組み合わせるという、途方もなくめんどうにも思えることに、労力を惜しまなかった。
全ては、大好きな七瀬リオに、会うために。
ただ、一目でも、会うために。