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……ある日、唐突に、あたしの部屋のドアの前に、バラの花が1本置かれた。
なんだかわからずに無視をしてやり過ごしていたら、次の日、バラは2本に増えていた。
その翌日は、3本に……もう、疑いようがなかった。
誰かが、あたしの部屋の前まで来ている。
来ているという、知っているという、
このバラの花は、あたしへの気づいてほしいという、そいつからのサイン──。
マネージャーに話して、何日か交代で部屋の前でスタッフに監視をしてもらったおかげで、バラの花が置かれることはなくなった。
だけど、それくらいで終わるはずもなかった。
まだ、相手は、「来てるよ」と、伝えただけだったのだから。
来てることを伝えたら、次にすることは、
「見てるよ」
だった。
バラがなくなって、スタッフももう大丈夫だろうと監視をやめた頃から、今度はいつもどこからか視線を感じるようになった。
どこへ行こうと、片時も離れることなく、あたしを見つめている目──。
刺すような眼差しが、絶えずまとわりついて、あたしから離れなかった。
そうして、視線が気になり出してから一週間もしない内に、
ふいに、マンションのポストに、1枚のメモが入れられた。