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鬱陶しいの蝉の声、終わらない課題、むさ苦しい程の猛暑に私は苦しんでいた。
涼香「暑”い”!!!」
私、白田涼香(17)はこの夏休みを利用して祖父母の家にやって来た。
かなりの田舎だが海に近く、夏をエンジョイできる最高の場所だ。
しかし、課題は早めに終わらせる派の母に詰められ泣く泣く課題をする私。
夏休み序盤からこんな調子じゃ狂ってしまいそうだ。
母「涼香ー、菜月ちゃん来てるわよー!」
涼香「?!はーい!今行くー!」
なっちゃんこと黒瀬菜月は中学まで一緒だった私の幼なじみで一番の親友だ。
涼香「なっちー!久しぶりー!」
菜月「久しぶりー!元気だった?久しぶりに帰ってくるって連絡あったから驚いたよ〜」
高校からお互い別々になり、菜月は地元の高校に入り、私は都会の高校へと入学した。
入学したての頃は毎日と言っていい程連絡を取りあっていたが新しい環境に慣れてくると回数も減り、今では数ヶ月に1回の頻度だ。
菜月「すずがこっちに戻ってくるって事モリピー達に知らせたら会いたがってたよ」
涼香「モリピー懐かし〜。皆元気かなー」
モリピーとは、中学のクラスメイトで森田という男子生徒の事である。ちなみに柿ピー好きな事からモリピーと呼ばれるようになった。
菜月「それでさ、今から遊びに行かない?」
涼香「え?!行きたい!!…けど〜……」
私にはまだ終わらせないといけない課題が残っていた。
(だがしかし、遊びたい!
こうなったら…母を説得するしかない)
涼香「お願いします!遊びに行かせて下さい!!」
母「ダメです」
母が被せる様に私の言葉を遮った。帰ってからやる発言も母には効かず反対された。
私は渋々菜月を帰らせ二階へと戻った。
涼香「はぁ…。~~~ぷっぷぷぷw」
(実に容易い。私が諦めて勉強するとでも?)
菜月には帰すふりをして待ち合わせ場所を伝え、私は落ち込んだ振りをして服の中に靴を隠し二階へ持ち込んだのだ。
(母よ、甘くみて貰っちゃあ困るね〜)
二階の窓から抜け出し排気口を滑り棒の様にして降り無事下に着くことが出来た。
外からリビングの中の様子を伺い誰も居ない事を確かめ急ぎ足で待ち合わせ場所へと向かった。
菜月「すずー」
涼香「ごめーん!待った?」
私が待ち合わせ場所に選んだのは菜月と小学校から通っていた小さな駄菓子屋。
菜月「ううん。いっぱい走って喉乾いたでしょ。はい!」
そう言って手渡されたのは冷えたラムネだった。
店の外にあるベンチに腰掛け一休憩。
瓶が揺れる度に中のビー玉がカランッと音を立てる。
(生き返るわぁ~〜)
菜月「お母さん説得出来たんだ」
涼香「いいや、抜け出してきた。今頃バレてるよ。絶対」
そう言いながらラムネ瓶を日差しに当てる。きらきらと透き通るその綺麗さに私は無意識に写真を撮っていた。
菜月「すずちゃん昔から写真撮るの好きだよね〜」
涼香「まぁねー。ほら、綺麗なものはさ、残しときたいじゃん」
菜月「確かにそうだね。…覚えてる?中学の頃、校則で禁止されてた携帯をすずが内緒で持ってきて帰り道いっぱい写真撮ってたこと」
涼香「あー!覚えてる!田んぼ道とか野良猫とか〜…通学路にある神社とか!懐かしい〜」
菜月「そうだ!久しぶりに学校行ってみようよ!今は夏休みだしきっと誰も居ないよ。居たとしてもそれはそれでバレない様にすればいいだけだから 」
涼香「いいねー!面白そう行こ!」
こうして、私達は母校へと向う事にした。
涼香「フゥー!最っ高ー!!」
菜月が持参した自転車の後ろに乗りながら向かい風を浴びる。
菜月「あそこの電柱で交代だからねー!」
涼香「はーい!」
母校の正門にやって来た。
菜月の言っていた通り夏休みだからか誰も居ない。
正門は頑丈に鍵が掛かっており、開けることは不可能だった。
どうしようかと悩んでいると菜月が別の入口を見つけてきた。
菜月「こっち!」
涼香「これー…裏門?なのかな?」
菜月が見つけたのは草が絡みついたボロボロに朽ちた小さな古い門だった。
草が生い茂った人気のない場所にあるからか鍵は掛かっていなかった。というより、掛からない程錆れていた。
門を押すとキキーッと音を立てながら動く。
涼香「こりゃ相当錆びてるよ」
菜月「私も驚いたよ。こんな場所があったなんて。まあいいや、入ろ!」
門の先は校舎裏に繋がっていた。校舎に入ろうにも鍵が閉められており中には入れない。
すると、またもや菜月が鍵の掛かっていない窓を見つけてきた。
私達は、そこから中へ入る事にした。
涼香「いけない事してるんだけどすんごい楽しい~~~!」
菜月「分かりみが深い」
そんなことを喋りながら一階を歩き回る。一人くらい教師が居ると思い職員室を覗くがやっぱり誰も居ない。
菜月「そろそろ二階行ってみようよ」
一階を見飽きた菜月が二階の階段を指さして言う。