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(株)姫神V
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最終話いつかまた
琉生の背中を見送った後、その2日後に文化祭があった
琉生は引きこもっていたためか、学校で猛練習
クラスメイトの子達は、もう諦めていた騎士役の琉生が急き来たことに驚きを隠せていないようだった
{うん!前より良くなってる!}
{家でも練習してきたの?}
と、騎士服を着て演技している琉生に問う
「うん、練習しなきゃいけないなって思ったから」
「だって明日だよ?文化祭」
先日あんなに泣き喚いていた子がこんなにきりっと話せていることに私も驚く
本当に吹っ切れたんだね
少し安心したよ
{そうだね!じゃあもっと練習しよー!}
クラスのみんなにも声をかける
そんな賑やかに戻った教室を後に屋上へ向かう
いつも通っていた階段
手を掛けて開ける屋上の扉
全てが懐かしく感じられた
〈本当に懐かしいな…〉
〈まだ少ししか経ってないはずなのに〉
ここで色んな話をした
夏祭りのことや、部活のこと
他愛もない話をして笑った
ふいにガチャっと屋上の扉が開く
涼だ
〈…どうしてここに?〉
見えてないはずの涼の前に立って問う
『ここにいると思ったから』
〈やっぱり見えてたんだね〉
返事が来ると思っていなかったから、驚きながらも納得
『ああ、見えてたよ』
『最初から、琉生に夕華が手紙を残した時から』
〈本当に最初っからじゃん、w〉
〈なんで声かけてくれなかったの?〉
少し悲しそうに、寂しそうな顔で問い詰める
『本当は声をかけたかった』
『でも琉生には見えてなさそうだったから、』
『それに夕華、君はもう幽霊だ』
『だから駄目だと思った、話し始めたら止まらなくなってしまうから…っ、』
ぽろぽろと雫が流れる
〈…ごめんね〉
ガチャっ
また屋上の扉が開く
「涼ー?」
〈えっ、琉生!?〉
(もしかしたら涼が一人で屋上にいる違和感に気づいて、私の存在にも気づいてくれるかも…!)
なんて期待はすぐに消し飛ぶ
琉生は私の体を通り抜け、涼の方へ歩く
「どうしてここにいるの?」
そう後ろで話す琉生
やっぱり見えてないんだね
知ってはいたけど、涼が見えてたから期待しちゃったじゃん
〈琉生のばか、っ〉
わかってた、だからまだ気を保っていられる
『なにって、空気吸いに来ただけだよ』
『それにここにいれば夕華も俺たちの姿を見られるだろ?』
と、こちらを向いてウインクしてくる
「そうだね」
いつもは笑わない琉生がいつになく笑顔になる
その柔らかな表情にどきっとする
〈そんな顔したらモテちゃうじゃん、〉
むすっとしてみる
世の中の人間はギャップに弱い
『さ、早く戻ろ、みんな待ってる』
「じゃあなんで最初からここに来たんだよーw」
どこからどうみても親友の二人が屋上を後にする
文化祭の私の役は誰になったのか、私は知らない
私が琉生に守られる姫役をしたかった
あの時は恥ずかしくて素直に喜べなかったけど、今ならいえる
私がやりたかった、琉生に守られてみたかった
間近で騎士の琉生を見たかった
〈…がんばってね、琉生、〉
__文化祭当日
暗い体育館
唯一明るい舞台のカーテンが上がって劇が始まる
この物語の主人公は一人のお姫様
その姫の婚約者である隣国の王子は姫を暗殺しようとしていた
それに気づいた姫の護衛騎士が姫を連れ出し逃げ出す
月日が経つにつれ、姫と騎士は心を通わす
__といったあらすじだ
どんな物語だよ、と心の中で突っ込む
今、目の前で繰り広げられているのはこの劇の見せ所
騎士が姫をお嬢様抱っこして城から連れ出すシーン
私ではない姫役の子をかっこよく抱え、城から飛び出してくる琉生
その姿に涙してしまった
悔しさなのか、後悔なのか、どちらにせよ私がやりたかった
パチパチパチパチ__
会場中から拍手が鳴り響く
それにつられて私も手を叩く
〈おつかれさま、上手だったよ〉
聞こえていたら、いいな
『おつかれ、琉生!』
「涼もね」
二人でハイタッチ
見ていてとても微笑ましいこの二人は、今や推しとも言えるだろう
舞台劇が終わってからは、屋台を回ったりなど自由時間となった
最後の最後まで楽しそうで、でも何か物足りないような時間を過ごしていた
ガヤガヤガヤ__
『おーい、琉生、手を放すなよー』
「わかってるって」
「ほんと、これは昔から変わんないね」
『今でもお前人混み嫌いだろ?』
「そうだけど…、昔よりかはマシだよ」
「今は涼の方が人混み嫌いなんじゃない?」
『…そうかもしれん、w』
「ほらw」
2人が来た
あれから2年程経った夏祭り
また3人揃って鳥居の中へ
二人は手に余るほどの食べ物、景品などを持って林の奥へ
『しっかし…、あの時の琉生の伏せぎっぷりはヤバかったな…』
「しかたないだろ…」
『まーな、』
『というか琉生垢抜けたよなー!』
『髪ずっとばっさりじゃん』
「うん、こっちのほうがいいかなって」
『たしかにな!』
本当に琉生はふっきれて、2年前とは影も形も無いほどに垢抜けた
それが嬉しくもあり、怒りでもある
そのままでいてほしかった反面、かっこいい琉生も見れて嬉しい
2年前の情けない姿はもう見えない
ただ一人の立派な大人だ
『琉生すげーよな!花火とたんぽぽが写った写真がバズって、ネットのフォロワーやばいじゃねぇか』
『何百万人かいるんじゃね?』
「はは…」(そんなにいねぇよ(小声
その場所はここ
私が植え変えたたんぽぽと、去年の夏祭りの花火が写った写真
嬉しかった、それが人気になってくれて
私はこの2年間2人をずっと見てきた
未練がなくなったら消えると思っていた
でもそうではないらしい
自分が満足したら消えるらしい
…私はまだ満足してないみたいだ、なんて傲慢なのだろう
「そういう涼はここの市役所勤め始めたんだっけ?」
『そうそう!今は街の企画とかイベントの部署にいるからもっと花火大会増やしてやるぜ』
「いいね、夕華喜びそう」
『だな、』
『そういえば卒業式とか夕華の遺影持って号泣してたもんな琉生w』
「うっさい、w」
卒業式はというと、私は私の席に座っていた
みんな優しくて、卒業証書も琉生が受け取ってくれて、椅子の上においてくれた
卒業したからではなく、みんなの優しさに私も号泣した
そんなみんなとずっといたかった
久しぶりだねって何年後も話したかった
それでも、どんな奇跡が起きても事実は覆らない
知ってたんだよ、ずっと
「さ、食べよ?」
『そうだな!』
【いただきます!】
そう考える私を挟んで二人は食べ始める
「…やっぱり僕には甘すぎるや、」
そう言い、頬張った林檎飴を袋の上において
真ん中のたんぽぽの前に差し出した
〈ありがと、w〉
この時間だけは2年前みたいに
3人で笑えている気がした
目が覚めたとき、あの場所へ戻っていた
全てが夢だったかのように、何事もなかったかのように
でも私が過ごした幽霊の2年間は確かにあった
苦しくて、辛く、楽しかった
矛盾ばかりだけど、私は私
幽霊でも私
大木の下大の字で寝転ぶ
〈またね、琉生、涼〉
〈またいつか…会えるよねっ!〉
そう誰もいない静かな丘の上
明るく暗い世界に叫ぶ
今度はポジティブに明るく
さよならだ
《ほら!夕菜(ゆうな)!》
《今日から高校生でしょ!?》
《遅刻するわよ!》
〈はーい!〉
〈今いくよー〉
〈いってきます!〉
桜が舞う春の季節
幼馴染3人で校門を越えた
これはただの少女が過ごした一夏の恋物語
〈おはよ〜!〉
「おはよ」
『おはよー!!』
〈高校生になってもよろしくね!〉
『あたりめぇだろ!』
「しかたなく」
〈ちょっとっ!?〉
これからも3人で
…完結ですーw
はやいね!?w
まあ、前のが長かったからねーw
この後は、もし夕華が生きてたら…!?の世界線を書いていきます!
一応「一夏の花火のような恋をした」としては全て完結です!
ありがとうございました!
あとは、オリジナルBLの方と、ifの世界線が完結したら本当にシリーズものとしては終わりです…!
はやいですね〜w
まあ、次も楽しみしてて!
では!
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