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サイド アミ
やっと、犯人の居場所が分かる。やっと、両親の仇を取れる。
「……どこにいるの」
私はダブルMにそう問う。
「アミ、一ついいか」
「……何」
「……俺は今からこいつの住所を教える。ただ、これだけは覚えていてくれ」
「復讐は何も生み出さない、それを踏まえて自分がどうするのか決めろ」
…………知ってるわよ、そんなことくらい。それでも、分かりたくない。
先に復讐という種を蒔いたのはあっちで、それが復讐していい理由にはならないことだって、知ってる。
私は、もうずっと前から決めていた。
幸せも、家族も、もう何もないのよ。……それは、あなたも同じだったかもしれない。
けど、命さえ投げ出せる強さという脆さが、私にはある。両親が教えてくれた、武道の心得。だから私は復讐を選ぶの。
ダブルM。その気持ちはあんたには分からないわよね。
私はダブルMからメモを受け取って走り出した。ひったくった、といったほうが正しいかもしれない。
自宅からそう遠くない住所に腹立たしさを覚えなる中、私はやり場のない思いが浮かんでは消えるのを感じていた。
自分が思うよりダブルMの言葉が突き刺さっていたのかもしれない。
それでも、後戻りなんて出来ない。
『復讐は何も生み出さない、それを踏まえて自分がどうするのか決めろ』
「……決めたから、進むしかないのよ」
暗い道をただ進む。進んで進んで、私は足を止めた。憎い、犯罪者の家が目の前に立っている。
カァカァと、黒く光る烏が私の決意を嘲笑うかのように鳴いていた。
弾んだ息を整えるため、そして、これから対峙するであろう人物に理性を保つため、私は大きく息を吐く。
玄関先のインターホンを鳴らす。
ついに、両親を殺した人と会えるのね。