阿部ちゃんと背中合わせになる。
こんなにお膳立てしてもらって、自分で宣言したんだから今くらいちゃんと言わないと。
それでも空白の時間は体感で5分くらい。
💙「阿部ちゃん、好き。いつもありがと」
💚「うん、嬉しい」
背中に阿部ちゃんの感触が降ってきて、また腕の中に収まる。
💙「阿部ちゃん、えっと、その、…してもいいよ」
💚「え、何を?」
💙「えっと、えっと、あの、チューとか……」
目を閉じながら阿部ちゃんの方を向く。
💚「いいの?」
💙「早くしないとやめる」
阿部ちゃんのふっと笑った声がして、次に唇が優しく触れた。
後から『ぎゅうぎゅうに目閉じて中学生の初キスみたいで可愛かった』と笑われたけど、とにもかくにも、俺たちはこの日初めて一線を越えた。
後日、また音楽番組の収録。
阿部ちゃんは手の怪我を隠すために、衣装にグローブが追加された。選択肢が2種類あるようで、スタイリストさんと他のメンバーも巻き込んで悩んでいる。
通りすがりに声をかけられた。
💚「ねぇ、 翔太はどっちがいいと思う?」
💙「どっちもいいに決まってんだろ、カッコいいし」
一瞬場が静まりかえって、メンバーがキャーキャー騒ぎ出す。
あの黄色くて青いズボンを履いた、大量にいてワチャワチャするアニメ映画のキャラクターみたいだ、と思いながら阿部ちゃんを見ると、こっちはいつもの穏やかな笑顔だ。
💚「じゃあ翔太が選んだ方にしたい」
💙「んーと」
周りの騒ぎをよそに相談して、流れでもう片方は俺がはめると言ったら騒ぎが加速したけど、阿部ちゃんが嬉しそうなのでもう放っておいた。
終
コメント
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とても素敵なお話をありがとうございます😊 心が温かくなりました🤭
デレてるデレてる!!! はーあ。 また書きたくなっちゃうよ💚💙 一線を超える詳細をkwsk