テラーノベル
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決死の弁明 妄想は愛ゆえに
現場を押さえられ、絶望の淵に立たされた誠司。しかし、彼から溢れ出したのは謝罪以上に、制御不能な「妻への賛辞」だった。
「美紀、違うんだ……いや、違わない! 謝る、謝るけど……君が、君が毎日可愛すぎるのがいけないんだ! 今日のエプロンの結び目も、ふとした瞬間のうなじも、全部が完璧すぎて……俺の心臓はもう、画面越しの君を追いかけることしかできなかったんだ!」
必死すぎる誠司の形相に、美紀は呆れを通り越し、頬を朱に染めて立ち尽くす。
妻の逆襲
スマートフォンの電源を切って
軽蔑されると覚悟した誠司。しかし、美紀は震える手で誠司の手からスマホを取り上げ、無慈悲に(あるいは慈悲深く)スリープボタンを押した。
「……バカじゃないの、誠司さん。そんな小さな画面の中の私で、そんなに一生懸命になっちゃって……」
美紀は伏せ目がちに、けれど逃げ場を塞ぐように誠司の胸元に一歩踏み込む。
「画面の中の私は、抱きしめても返してくれないよ? ……そんなに好きなら、今の、本物の私をちゃんと見てよ」
その誘いは、どの妄想よりも誠司の理性を瞬時に焼き切るのに十分だった。
再燃する夜:体温が書き換える真実
デジタルな画像では決して再現できない、柔らかな肌の質感と、耳元で刻まれる甘い呼吸。誠司は、現実の美紀という「光」に包まれる。
妄想の中の美紀はいつも完璧だった。けれど、目の前で恥ずかしそうに視線を逸らし、自分を求めてくれる「生身の」美紀は、その一兆倍も愛おしい。
「美紀……愛してる。もう、一生離さないから……」
誠司の重すぎる愛を受け止め、美紀が嬉しそうに声を漏らす。この夜を境に、誠司のスマホのカメラロールには、さらに「愛の記録」が増え、彼の妄想(と現実の溺愛)は加速し続けるのだった。
コメント
1件
えっ、もう第2話でここまで来るんですか!(笑)誠司さんの「妻が可愛すぎるのが悪い」理論、もう完全に開き直ってて吹きました。でもそれを受け止める美紀さんの「本物の私をちゃんと見てよ」がめちゃくちゃグッときました…。現実の温もりが妄想に勝つっていう展開、すごく良かったです。ラストの「愛の記録」が増えるくだりもニヤリとしました。続きが気になります!