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心臓が痛すぎるよこれ書いてるの
桃side
朝が来る。
目が覚めた瞬間、
最初に思うのは——
「…会いたい、」
それだけだった。
夢の余韻が、
まだ残っている。
あの声も、
あの笑顔も。
全部、ちゃんと覚えてる。
なのに。
ここには、
いない。
白い天井。
機械の音。
現実が、
ゆっくりと押し寄せてくる。
「…やだなぁ…、」
ぽつりと、
零れた。
コンコン、と
ドアが叩かれる音。
『入るよ〜…』
看護師さんが入ってくる。
『体調、どう?』
「…普通、」
また、
同じ答え。
本当は、
少し苦しい。
でも、
言ったところで、
何も変わらないから。
『今日は検査多いからね〜っ…、』
その言葉に、
小さく頷く。
——検査。
——手術。
全部、
わかってる。
でも、
それよりも。
「…夜…まだかな…っ、」
心の中で、
そう思ってしまう自分がいる。
最低だ。
でも——
会いたい。
ただ、それだけ。
夜。
目を閉じる。
祈るみたいに。
「…来て…っ、」
小さく、
呟いて。
意識が沈む。
——そして、
また、あの場所。
『…遅い、』
少しだけ、
拗ねたような声。
「…ごめん…笑」
笑いながら、
近づく。
それだけで、
安心する。
『…顔色悪い。』
まろが、
じっと見てくる。
「…そうっ、?笑」
ごまかすように笑う。
ここでは、
元気でいたいから。
『…無理してるやろ。』
優しい声が、
刺さる。
「してないよ。」
反射みたいに、
否定する。
でも——
少しだけ、
目を逸らした。
『…そか、』
それ以上、
何も言わない。
その優しさが、
余計に苦しい。
「…ねぇ、」
思い切って、
聞いてみる。
「…なんで、触れられないんだろうね、」
何度も思ってたこと。
言葉にするのは、
初めてだった。
まろは、
少しだけ黙って。
それから、
ふっと笑う。
『…大事やから、ちゃう?笑』
軽い口調。
でも、
どこか違う。
『壊れたら困るやろ?』
冗談みたいに言う。
でも——
その目は、
笑ってなかった。
「…そっか、」
納得したふりをする。
本当は、
全然納得なんてしてないのに。
ただ、
触れたいだけなのに。
ぎゅっと、
手を握る。
空気を掴むみたいに。
『…ないこ。』
名前を呼ばれる。
それだけで、
胸が鳴る。
『無理しなくてええんやで、』
その言葉に、
一瞬、
何も言えなくなる。
『…ここにいる時ぐらい、』
『ちゃんと笑って。』
優しくて、
どうしようもなく苦しい。
「…うん、」
頷くことしか、
できなかった。
現実。
検査の結果が、
少しだけ悪い方向に出る。
『…手術、早めた方が…』
そんな声が、
遠くで聞こえる。
「…そっ…か、」
他人事みたいに、
呟く。
頭の中に浮かぶのは、
まろの顔。
「…まだ、」
小さく、
息を吐く。
「まだ…っ、会いたいのに…、」
ぽろりと、
本音が零れた。
それに気づいて、
少しだけ、
笑ってしまう。
本当に、
どうしようもない。
夢に、
こんなに縋ってるなんて。
でも——
それでもいいって、
思ってしまった。
3話お終い。
コメント
1件
🍣くん泣泣そうだよね…