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20XX年、6月初旬、首都にあるオフィス街に建てられたビル…の、地下。

誰もいない、何もないコンクリートの地下…の筈だった。


魔法少女。この名を聞くと、誰もがふっと鼻で笑う。当たり前だ、この名を聞くときは大体、テレビでたまたま児童向け番組が映されたときだけだ。そいう年頃の幼女が好むものであり、大人からしてみれば所詮、ただの空想。

だが、魔法少女が現実に存在するといえば?

それもまた、鼻で笑われるだろう。怪物なんていないし、悪者もいない。そういった事件も見た事も聞いた事もない。

が、それは隠されていただけで、知らないだけだったとしたら。

ーー魔法少女がいるとしたら。

♦︎♦︎♦︎

財団法人【フラワースカイ】本社ビル、地下。

地下と地上を繋ぐ、秘密のエレベーターの作動音が響く。チン、とベルのなる音と共に、エレベーターから出てきたのは20代後半の女性だ。

艶やかな金髪を腰に流しながら、赤いヒールでコンクリートの床を踏み鳴らしていく。

妖艶な女性はゆったりと歩いて行くと、そのままある一室に入って行った。

「遅かったな」

女性を迎え入れたのは、少し不機嫌な目をした男性だった。

「…蜘蛛」

「あら、そんなに遅れていたかしら」

時計を見ながら、蜘蛛と呼ばれた女性が悪戯にそう言う。

男性は溜め息を吐き、目線を椅子に移した。

「とりあえず、座れ」

「はいはい。で、他のメンバーは?」

「任務らしい」

「えっと、確か…陽炎…月光…雀…蝙蝠…あらもしかして全滅?」

「ああ、その通り。全滅だ」

はあっと先程よりも深い溜め息を吐き出す。


コードネーム【蜘蛛】

【ローズ】最高幹部の1人であり、また実力もトップクラスの女性である。出生などは不明、色々と謎の多い人だ。

そんな蜘蛛と対面し、こめかみを押さえているのはコードネーム【鯨】

蜘蛛と同じく最高幹部の1人だ。そして苦労人でもある。


蜘蛛は艶やかな金髪をいじりながら、鯨に問う。

「で、どうするのよ、これ。会議進まないんじゃない?」

「それもそうなんだがなあ…」

「ねえ、また今度にしない?私、丁度今日の午後に任務が入ってるのよ」

「はああ…私もなんだよ、蜘蛛」

「ええ。何でこんなにも任務が被るわけ?」

はあああっとより深い溜め息を吐き出す鯨。正直、彼の胃の残りライフはもうゼロだ。

が、何とか生力を振り絞り声を出す。

「陽炎だ…アイツがまた色々とやらかしたんだよ」

「はあ?また?今度は何よ」

「…コンビニ爆発」

「は?」

「コンビニを2軒くらい爆発させた」

「………」

ポカーンと呆気に取られる蜘蛛。衝撃情報を更に鯨は暴露する。

「あとプロレスラーに喧嘩挑んで、相手を骨折させた」

「………」

「しかも今は、海外逃亡中」

「………」

「雀による情報だが、どうやら今は森の中でサバイバル生活を楽しんでいるらしいとのこと」

「………」

「つい此間までは、南極にいたらしいが」

「……頭でも沸いてんの?」

思わずといった様子で呟いた蜘蛛に、鯨は胃の痛みを感じながらも応えた。

「元からだろう…」

♦︎♦︎♦︎

魔法少女、魔法少年…それら言い包め《魔法使い》

だが、誰もが《魔法使い》になれるわけではない。

《魔法》とは言わば個性。

《魔法》とは即ち覚悟。

《魔法》とは正しく心。

つまり…《魔法使い》になった者は大体癖が強い、いや強すぎるのだ。

そんな曲者達を集め、結成された秘密組織【ローズ】。

怪物たちと闘うよりも、曲者達に頭を抱える時間が多い幹部達…。

果たして、【ローズ】の命運はいかに?

魔法少女達の物語が始まる!!



「ちなみに任務があんなにも被ったのは、陽炎のせいってことなの?」

「それもある。てか、今日は大体そう」

「ほんと頭おかしいんじゃないの」

「魔法使いが魔法使いしてない件について」

「今更でしょ…」

魔法少女の死にゆく先

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