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すぐ背後で扉が静かに閉まり、私とユージーン王しかいないと思われる空間が出来上がった。

(ユージーン王と2人きり……)

私の正体がバレたとき以来、2人きりになることがなかったうえに、顔を見るだけで帰るつもりだったから、心の準備をしていなくてオドオドしてしまう。

いつもどおり、リタとして接するべき?

それとも『保科くん』と呼んでもいい?

入口で硬直していると、私の迷いを察したようにユージーン王が「矢野さん」と呼んだ。

険の取れた和やかな表情を向けられ、困惑が安心に変わる。

「大丈夫。俺と矢野さんしかいないよ。……あ、本はここに置いてくれれば大丈夫」

(今は前みたいに話してもいいんだ)

執務机を叩くスラッとした指に導かれるように、肩の力を抜いて保科くんのそばへ行く。

邪魔にならないところに本を置くと、灰色の瞳が柔らかく光る。

「これ、イルバートに頼まれたんだよな?持ってきて******

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