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コメント
7件
めっちゃ遅れちゃった最悪😢 やっぱりciくんほんとに愛されてるな tnzmがかっこよすぎてほんとやばい🫣 番外編もあるのほんとに最高すぎる
tnさんとzmさんがciさんを大切にしてるのがめためた伝わってきます!!
ー注意事項ー
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・軍パロ、腐要素(zm × ci)等があります。
・苦手な方は閲覧注意です。
◇◇◇
作戦は失敗に終わった。
乾いた地面に散らばる瓦礫と、黒煙の残り香。
その中で、ciは動かない仲間の身体を抱えていた。
「……俺が、もっと早く気づいていれば……」
血で汚れた指が、小刻みに震えていた。
隊長の命令通りに動いた。ただそれだけのはずだった。
けれど、彼は死んだ。
命を繋げなかった。
ciの中で、その事実だけが何度も何度も反芻されていた。
「ci」
声がして振り返ると、zmが立っていた。
いつもと変わらない表情で、けれど目だけが、痛いほど真剣だった。
「責任なんか、お前ひとりが背負うな。……チームで動いたんや」
「……でも、俺が……」
「それでも、生きてるやつは、前に進まなきゃならん。そうやろ」
言葉が心に刺さる。
でも、それ以上に、zmの手が優しかった。
「……俺が、お前を連れて帰る。絶対に」
それから数週間。
ciは食欲も睡眠もなくし、夜中にひとりで訓練場に立ち尽くすことが増えた。
zmは何も言わず、ただ隣にいた。
無理に励まさず、ただ横で見守った。
ある晩、ciがぽつりとつぶやいた。
「……どうせ、次、俺は死ぬんや」
「……」
「誰かを失うくらいなら、最初から俺が死んだ方がええ。もう、耐えられないわ」
zmはゆっくり歩み寄って、ciの肩を強く抱いた。
「お前が死んだら、今度は俺が壊れる。……それでも、ええんか?」
ciは目を見開いた。
「お前の命は、お前だけのもんやない。俺が守りたいって思っとる。……だから、勝手に諦めるな」
その夜、ciは初めて泣いた。
◇◇◇
それから数日が経った、ある任務中、ciは敵の罠に嵌められ、単独で拘束された。
「おまえのせいで、あの男は潰された。自覚はあるか?」
そう言って、男はciの頬を平手で打った。
拘束された手首はすでに赤く腫れ、足元に何度目かの吐瀉物が溜まっていた。
彼らはciを殺さなかった。
代わりに、じわじわと精神を壊す方法を選んだ。
孤独、空腹、記録映像で仲間が死ぬ瞬間を見せ続け、声を加工して、仲間の非難を聞かせる。
おまえが俺たちを殺した、臆病者、裏切り者。
そこまでしなくても、ciの精神を壊すのが容易であることは分かっていたはずである。
何も言わず、ただ耐えていたciの瞳から、ついに色が消えていった。
◇◇◇
「……遅すぎる。絶対に何か起こってる」
zmは隊本部の机を殴りつけた。
戦術も規則も無視して、とにかく捜索を願い出る。
「お前が動いたら、また犠牲が出るぞ」
「構わん。今度はciが壊れてまう。」
「馬鹿かお前。 そうやって感情に任せて動いたらどうなるか」
「感情ちゃう。勘や。嫌な予感がビリビリする」
止めようとするtnを押し退け、grを無視して、zmは捜索部隊を組織し、独断で山岳地帯へ潜入した。
あいつは強いけど、優しすぎる。
自分を責めるタイプなのだ。
壊れる前に、俺が行かないと。
◇◇◇
「俺たちは、お前の部隊の記録をすべて解析した。仲間の死を背負い続けたお前の罪もな」
敵将校がciの前で囁いた。
「お前のような人間は、戦場にも、平和にも不要だ。ここにいれば楽にしてやる。
苦しまずに終われる。死ぬことも、救いなんだよ」
「助けてやろうか」
ciは、虚ろな目で男を見つめた。
そして言った。
「……お願いします」
目に涙はなかった。
ただ、希望が完全に消えていた。
そのときだった。
砲声と共に、壁が破壊され、スモークが吹き込む。
「ciォ!!」
zmの声が響いた。
響いた怒声と同時に、壁が吹き飛んだ。
煙の中から、zmが現れた。
マシンガンを肩に担ぎ、迷いのない瞳で敵をにらみつけている。
「…zm……」
「遅れても、絶対迎えに来るって言ったやろ」
逃げ惑う敵の間をすり抜け、彼は一直線にzmの元へ向かった。
だがciは動かない。
床に膝をつき、ただ首を横に振っていた。
「……来ないで……俺はもう……」
zmはその場にひざまずき、震える声で答えた。
「壊れててもええ。壊れてても、お前は、俺の相方や」
ciの手を強く握った。
「俺は、死なせるために迎えに来たんちゃう。
お前とまた遊びたいんや」
一瞬の沈黙のあと、ciの体から、やっと震えがこぼれた。
泣きじゃくる声は子どもみたいだった。
ヘリの中、帰還途中の空。
夜明け前の灰色の空を眺めながら、ciがぽつりとつぶやいた。
「……俺、生きててよかったんかな」
「……お前が生きてるから、俺は今ここにおる。それで十分やろ」
ciが、zmの肩にそっと寄りかかる。
「……じゃあ、もう少しだけ、頼ってもええ?」
zmは小さく笑って、ciの手を握った。
「任せとけ。お前がちゃんと笑える日まで、ずっと守ってやる」
その手は、戦場のど真ん中よりも、ずっと温かかった。
◇◇◇
救出から数日が経ち、チーノは基地の簡易宿舎で静養していた。
食事も少しずつ摂れるようになり、snからは「回復は順調」と言われていた。
けれど、夜になると違った。
ベッドに横になると、皮膚の内側からぞわぞわとした感覚が湧き上がる。
照明を落とせば、敵兵の顔がまぶたの裏に浮かぶ。
「お前に、生きる価値はない」
「死ねば、楽になれる」
誰かがささやいてくるような錯覚。
息が詰まって、手足が動かなくなる。
「zm……」
弱々しく呼びかけた声は、空っぽの壁に吸い込まれていった。
ciが簡易宿舎を出てきてから、最初の日。
「……おまえ、寝てへんやろ」
朝の訓練室。
汗ひとつかかないciを見て、zmは気づいた。
ciは笑ってごまかす。
「寝られないだけ。別に、大丈夫」
「それを大丈夫って言うんは、誰も信じんぞ」
zmは小さく息をつき、隣に腰を下ろした。
「…なあ、ci。俺に頼ってくれ。お前ひとりで抱えるには、でかすぎる」
「…でも」
「なあ、お前、夜が怖いんやろ?」
ciの目が一瞬揺れて、唇が震えた。
けれど、言葉が出てこない。
「俺がいる。夜に潰されそうなときは、俺が引っ張る。……一緒に眠れ」
その夜、zmはciの自室に泊まった。
といっても同じ部屋で、それぞれ別の寝袋だったが。
「……zm、起きとる?」
「起きてる。……どうした」
「なんでもない。ただ、声が聞きたくて」
「なんや、かわええこと言うやんけ」
からかい気味の声で返しておいて、zmはそっと寝袋のチャックを開けた。
「……ci、こっち来いや」
「えっ」
「寝袋、広いしな。あったかいで」
一瞬ためらったあと、ciはもぞもぞと移動し、zmの隣に潜り込んだ。
背中を向けたまま、ciが小さく言う。
「……俺さ、また壊れるのが怖い。
自分の中に、あんな死にたがる声があることが、なんか、気持ち悪い」
zmは、そっと後ろからその背中を抱きしめた。
「……怖がるのは、生きてる証拠や。お前はちゃんと生きてる。俺の腕の中にいるやろ」
ciの喉がつまって、震えた声が漏れる。
「……ひとりじゃないって、思ってもええの?」
「当たり前やろ。俺はお前の味方や」
zmの声は低く、温かくて、心の奥に届いた。
ciは初めて、夜を生きたまま過ごせた気がした。
◇◇◇
zmは、変わった。
いや、正確には変わったんじゃなくて、やっと素直になったって言うほうが正しいかもしれん。
ciのことになると、顔も声も、やけに丁寧になる。
そばにいる時は気づかんふりをしていたけど、俺はちゃんと、全部見てた。
不安げなciの手を握るzm。
眠れぬ夜に、黙って背中を貸すzm。
少しずつ明るくなるciの表情。
ああ、あいつら
なんとか、ここまで来れたんやなって。
ciが敵に捕まったあの作戦の日。
俺は隊本部にいて、無線が入った時には、もうすべてが終わってた。
zmが狂ったように「チーノを探す」と言い出して、俺や、grの制止も聞かずに突っ込んだのを見て、俺は確信した。
「……あいつ、ただのバディってだけじゃないな」
何かがある。
ただそれが、言葉になるにはまだ時間がかかった。
◇◇◇
明け方、基地の裏庭で、ciがひとりで缶コーヒーを飲んでいた。
「tn…起きてたんや」
「お前こそ。眠れんかったか?」
「……いや、今日は眠れた。zmが、そばにいてくれたから」
そう言って笑ったciの顔は、前みたいな作り笑いじゃなかった。
ほんまに、心から笑ってた。
「俺が、昔の自分って嫌いやったのは、知っとるよな。臆病で、すぐに逃げて、人の顔色ばかり気にしてて。
でもzmは、そんな俺でも“隣にいていい”って言ってくれた」
俺は、何も言わず隣に座って空を見上げた。
ciが、ぽつりと呟く。
「tn……俺、やっと息ができるようになったよ」
「……そうか」
その声を聞いて、
俺の胸にあった、重い何かがふわりとほどけた気がした。
その後、zmが迎えに来て、ciは笑って小さく手を振った。
「……あいつのそばにいれば大丈夫」
自然とそう思えた。
俺はそれ以上何も言わず、彼らの背中を見送った。
空はもうすっかり明るくて、ふたりの間にあるものが、ちゃんと形になった気がした。
ただの戦友じゃなくてかけがえのない存在になったんやなって。
そう思ったら、少し泣きそうになった。
でも俺は、先輩やから。書記長やから。
泣く代わりに、
そっと空に向かって、深く息を吸った。
◇◇◇
ciが少しずつ笑えるようになってきた頃。
ある日、俺の耳に聞きたくもない言葉が届いた。
「ciってさ、結局捕まったくせに英雄気取りじゃね?」
「なあ、zmに甘えてるだけじゃねーの」
「しかもあいつ、昔もああいう奴だったらしいし」
小声だったが、俺の耳はよく通る。
笑いながら酒を飲む数人の若い兵士たち。
名前も階級も覚えてるが、あえて心に刻まなかった。
俺は黙ってその場を離れ、夜の廊下を歩く。
拳が、震えていた。
ciがどれだけ夜を越えてきたか、俺は知っている。
あいつがどれだけ自分を責めてきたか知ってる。
許せる訳が無かった。
翌日、訓練後の食堂。
件の連中がまだ軽口を叩いているのを見て、俺はまっすぐに歩いた。
「おい」
その声に全員が振り返る。
「あ? …ッ!?なんでしょう、tn書記長様」
俺は笑っていたかもしれない。
けど、目は笑ってなかった。
「ciがあの状況下なのを知った上で甘えてるって言ったの、誰や」
沈黙。
「英雄気取りって言ったのもお前らやな?」
さらに沈黙。
「…ほう。じゃあ俺が説明したろ」
机に両手をついて、俺は低く、けれどはっきりと言った。
「ciは、仲間を庇って敵に捕まった。戦地で精神を壊されても、生きて帰ってきた。
それを笑うってことは、お前らは自分がその立場になった時、同じように甘えてるって言われても文句言えんよな?」
誰も返せない。
「お前らが何も知らんくせに人の背中に唾吐いてんなら、俺がその唾、飲ませてやるわ」
冷たい沈黙の中で、椅子の音だけが響いた。
俺は無言のまま立ち去った。
◇◇◇
夜。
武器庫で整備をしていた俺のところに、zmがやってきた。
「tn」
「ん? どした」
zmはフードを取って、少しだけ俯いた。
「さっき、ciが泣いとった。嬉し泣きや」
「……なんでや」
「誰かが、あいつの代わりに怒ってくれたん、久しぶりやって」
zmは笑っていたが、目の奥は静かだった。
「ありがとう、ほんまに。俺はどうしても、冷静でおれんことが多くて。
でも、tnがいてくれてよかった」
俺は整備を続けながら、口だけで答えた。
「別に、礼なんかいらん。後輩が泣いてたら、ぶっ飛ばすのが先輩の仕事やろ」
zmはそれを聞いて、少しだけ笑った。
「ciには、ちゃんと伝えとくわ」
「伝えんでええ。…んな恥ずかしいこと」
後日談は明日投稿します