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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「こんな感じが良いかな?」と私はデザインした紙を見せた。

「おっ!これは良いね!凛さんさすがです!」と白河先生は予想通りの良い反応を見せてきた。




私達は早速作り始めた。

広告会社に頼まずに、完全に2人で手作りする。


デザインした紙を清書し、2人で撮った写真を貼り、カラーコピーをした。





出来上がったパンフレットには、「優しさが集まる小さな学校」と書いてあり、青空の下、笑顔で写る私たち2人の姿があった。



「これは、とりあえず僕がいた学校に何部か郵送してみるからね」と先生は言い、一緒に近くのポストに入れに行った。








その3日後。私の誕生日が来た。

自分でもあり得ないけど18歳。成人した。


「おめでとうございます!凛さん、成人したね」

「自分でもまだ自覚してないよ。」と私は爆笑しながら返事した。




白河先生からのプレゼントは、可愛いヘアゴムとヘアピン、茶色と白のチェック柄のトートバッグだった。


「めっちゃ可愛い!ありがとね!」

「そんなに喜んでくれて嬉しいよ!こちらこそ」



白河先生はにこにこと優しさが滲み出る顔をしていた。

私の反応が相当嬉しいのだろう。




その後、先生がケーキ屋に特注で頼んでいたという誕生日ケーキを取りに行き、広い公園で食べた。


ケーキはチーズケーキで、上に、happy barthday  Rin とホワイトチョコの丸い板にいちごチョコのペンで書いてあった。


「こんな所でケーキを食べる人って居るのかな?」

「う〜ん…居るっちゃ居るんじゃない?」などと言いながら食べた。

人目は凄く気になるけれど、爽やかな初夏の風が私と先生の髪を優しく揺らしており、とても良かった。







夏休み前。

白河先生に久しぶりに中学校から電話が掛かってきたらしい。


「なんか、二学期の10月にある3年生の進路説明会に来てもらいたいらしくてね」と白河先生は言ってきた。

「早速パンフレットのお陰なのかな?」

「うん、多分ね。僕もそうだろうなって思ってる」


早々とパンフレットの結果が出て来ていて嬉しい。




「でも久々の人前での発表か…。緊張する…。でも、今すぐじゃないのが唯一の報いかな?」


約1年ぶりに生徒を前にしての発表。

元々緊張しいの白河先生なら不安になるのも当然のこと。

私がなにかしてあげられると良いんだけど…。




夏休みに入ると、私たちは毎年のごとく、旅行に出かけた。

温泉に入ったり、登山したり、色んな場所を観光したりと、白河先生と共に笑顔で過ごせた楽しい2日間だった。







二学期になり、10月。

進路説明会の前日の夜。


白河先生は気を紛らわせるためなのか、私に沢山話しかけてくる。

ここの山に今度登山したい。だとか、凛さんが夢に出て来て嬉しかった!とか色々話してきた。

私は、白河先生の事が好きなので、特に気にならなかった。

というより、逆に嬉しかった。





そして当日。

私は白河先生と共に、中学校へ向かった。


説明会は体育館であるらしく、そこに入ると、校長先生らしき人が私たちに話しかけてきた。


「白河先生、最近どうですか?なんか凄いことしてるみたいだけど…?」

「最近は…良い感じです。凄いこと…なのでしょうか…?」


「この方は…?」と校長先生らしき人が私を見た。

「私の…大切な人です。」と白河先生は伝えたので、私は密かに嬉しくなった。

しかし、校長先生らしき人は意味が分からなそうな態度を見せていた。


説明会は、近隣の高校などから7校程度来ており、私たちは最後に紹介することになっている。

待っている間は、白河先生と他の学校のパンフレットを見たりしていた。




約1時間経った頃、私たちの番が来た。

白河先生が説明担当で、私はパソコン操作(スクリーンに映す)担当。


白河先生と2人、そっと生徒たちの列の前に行く。



「皆さん、こんにちは。始めまして。」と言う白河先生の言葉と共に始まった。

「始めましてと今申し上げましたが、私、昨年の二学期前半までは、ここの中学校で先生をしておりました。」

生徒たちは「この先生、1年生の担任してたらしいよ」とか「なんか午前中だけ来てたの見たことある」などと様々な言葉が飛び交っている。


白河先生は案の定、何も言えなくなってしまった。



しかし、「皆さん、高校となると、とても厳しいイメージがあると思います。ですが、この’夜空の学校’は、みんなが笑顔で優しく過ごせる小さな学校です。」と言った。



白河先生は凄く 頑張っている。

私だったらすぐにへこたれてそうだな…。



私が画面を変えると、「夜空の学校は、このように景観が良く、自然もあり、とても過ごしやすい学校となっています。」と白河先生は伝えた。



その後も、夜空の学校の良いところを沢山紹介した。

生徒たちも自然と聞き入っているようで、とても良かった。




説明会が終わり、学校を出ると、「お疲れさま」と私はすぐに白河先生に言った。

先生は何も言わずに、優しい笑顔で頷いてくれた。







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