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「久しぶりにあんな大人数の前に立って発表だったから…。」
「でも、めっちゃ頑張ってたじゃん。凄いよ!」と私は白河先生に言った。
先生は私のその言葉を聞くと、「うん。」と小さく呟き返した。
12月になり、白河先生の誕生日が近づいている。
今年は、私がこっそりと店にネクタイを買いに行き、それをプレゼントすることにした。
紺色に白の斜め線入りのネクタイ。
白河先生にとても合いそうな柄と色。
そして私の直感で決めたもの。
誕生日前日の夜。
ネクタイを何度も、白河先生の写真に合わせてみていた。
やはり似合っている。 かっこいい。
そうしながら、プレゼントするための箱に入れ、青のリボンで結んだ。
今年も喜んでくれると信じながら。
そして当日。
朝起きてきた白河先生に、「先生、お誕生日おめでとうございます!」と言い、ネクタイが入ったプレゼント箱を渡す。
先生は、手に渡された箱を見て、次に私の方を見ながら「ありがとうございます。とっても嬉しいです!」と満面の笑顔を浮かべながら言ってくれた。
やはり喜んでくれた。
私もとても嬉しくなったので、にっこりと顔を笑顔にした。
白河先生は箱を開ける。
紺色と白の斜め線入りのネクタイが入っている。
「おっ!ネクタイ!めっちゃ嬉しいよ!凛さん!」と白河先生は更に笑顔になった。
私も更に嬉しくなり、先生と共に笑顔を浮かべた。
12月下旬。
私は1つ気になっている事があった。
『私たちの学校に入学する子たちの入試はどうなるのだろう』と。
時期も来ているのに、白河先生の急いでいる感じが見られない。
私は思い切って、聞いてみることにした。
「入学する生徒たちの入試っていつする予定?」
「え?…うちの学校は、入試をする予定はないよ。つまり、誰でも入学出来る学校にする予定なんだよ」
白河先生はそう言うと、にっこりとした。
私にとっては、予想外の言葉だった。
『高校=入試を受けて合格したら入学出来る』という考えが、私には、すっかり定着してしまっていたのだ。
白河先生の言葉は、すんなりと私の固定概念を引っ括めてしまった。
「今までは、勉強とか、進学実績やら就職先がどうのこうのとか、学校はそう言うことばかり言ってきていたけれど、そういう考えを無くしたい。進路なんて関係ない。勉強なんて自分がしたいときにやれば良いのだから。」
「でも、勉強しないと…駄目じゃない?」
「僕のこの年でさえも、勉強しようとしたら、まだまだ出来るんだし、高校だからってしなくても生きて行けると思ってるんだよ。」
私は、先生の言葉がとても響いた。
そういう考えもあるんだな。と新しい世界を私に見せてくれた。
どれだけ、私の中の固定された考えが、見る世界を狭くしていたか…。
白河先生は、色々な固定概念にとらわれることなく生きている。
本当にそういう性格を尊敬しているし、好き。
そして、クリスマスイブ。
この日が、「夜空の学校」の願書受付の締切の日。
大体の学校は、中学校の先生達が高校へ持って行くパターンだと思うけれど、私たちは郵送にした。
夜に確認したところ、全部で23名だった。
白河先生が言うには、1クラスの人数には丁度良い数らしい。
確認し終わった後に、クリスマスイブということで、スーパーにチキンを買いに行った。
元々は小さめのチキンを2本だけ買う予定だったが、2人分くらいの美味しそうなタルトケーキが売ってあったため、それも買うことにした。
家に帰り、チキンとタルトケーキを食べる。
とても美味しかった。
年明けの1月中旬頃。
夜空の学校の校舎が出来あがったという連絡が、白河先生に入ってきたらしく、見に行ってみることにした。
行ってみると、あの景色の良さは変わらず。しかし冬だから、木々の葉っぱは落ちている。
校舎を外から見た感じだと、昔の学校のような可愛らしいレトロな雰囲気だった。
校舎の中は、木材を沢山使ってあり、とても暖かみと優しさが感じられた。
教室となる部屋が3部屋あり、あとは5部屋ほど。計8部屋あった。
「どう?校舎の感じ」と白河先生が聞いてきた。
確かに、校風や周りの自然に合っている感じでとても良い。
「うん。良いね。好きな感じだよ!」と私は返した。
先生はそれを聞くと、とても嬉しそうに、そして優しい笑顔で笑ってくれた。
その後からは、校舎内の備品などを揃えていった。
机や教卓、ホワイトボード(黒板となるもの)、ペン、磁石など。
また、ホームページなども作った。
夜空の学校の校風や雰囲気、最新情報などが知れるページなどを作り、少しでもこの学校の事を知ってもらえるようにと願いながら作った。
そして4月、夜空の学校の入学式と開校の日がやってきた。