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夕方に差し掛かり、水族館から出た二人は、そこから歩いて行ける距離にあった海の見えるカフェテラスに立ち寄った。
もちろんこれも百恋が事前に調べていた店である。
「いろりちゃん、楽しかった?」
「あ、は、はい! とっても……ありがとうございました」
「そっかぁ、よかった!」
「あの……百恋様は、大丈夫でしたか?」
「え? 何が?」
「少し、疲れていらっしゃるような、そんな気がしたので」
この台詞に百恋は仰天した。
ほんの一瞬だったが、百恋の笑顔の仮面が外れたのである。
(——この子、僕の心配してたの? ただの人間なのに……?)
百恋がこのような罠を仕掛けているのは彼の意思ではなく、天獄の指示である。
自身に靡けばいろりや蛇珀が消えることは、以前の経験により知っていた。
二人を応援したくとも、手を抜き天獄の命令に反くようなことがあれば自身が露となりかねない。
口には出せない葛藤が百恋の中にはあり、心のどこかで無理をしていたのかもしれない。
しかしそれが顔に出るほど百恋は未熟ではない。察したいろりが普通ではなかった。
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