テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ちぇーん
1,435
きりゅう
974
らいち.doms.com
658
雪が静かに降っていた。
一本の木に、きりゅうは背中を預けていた。
🧣Dustきりゅう:「…………」
フードは深く被られている。
その身体は、ほとんど動かなかった。
🧣Dustきりゅう:「…………っ」
口元を押さえる。
🧣Dustきりゅう:「……うっ……」
また、吐き気が込み上げる。
🧣Dustきりゅう:「…………」
地面に手をつき、しばらく動けない。
頭の中に浮かぶのは――
シャドウ。
リンゴ。
みーな。
そして、キューカンバー。
🧣Dustきりゅう:「…………俺が……」
🧣Dustきりゅう:「……殺した……」
拳を握る。
🧣Dustきりゅう:「…………」
その時。
???:「……きりゅう?」
🧣Dustきりゅう:「…………!」
聞き慣れた声。
きりゅうは振り返れない。
???:「やっぱり……ここにいたんですね」
雪を踏む音。
一歩。
また一歩。
🥽根暗:「……探しましたよ」
🧣Dustきりゅう:「…………根暗」
🥽根暗:「はい」
根暗はきりゅうの隣まで来る。
そして、しゃがみ込む。
🥽根暗:「……大丈夫ですか?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「大丈夫じゃないですよね」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「顔を見せてください」
🧣Dustきりゅう:「……嫌だ」
🥽根暗:「……」
根暗は少しだけ悲しそうな顔をする。
🥽根暗:「何があったんですか?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「みーなさんも」
🥽根暗:「リンゴさんも」
🥽根暗:「シャドウさんも……」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「あなたが……殺したんですか?」
🧣Dustきりゅう:「…………ああ」
🥽根暗:「…………」
しばらく沈黙が続く。
🥽根暗:「……そうですか」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「だったら」
根暗は、きりゅうの前に立つ。
🥽根暗:「僕も、あなたの敵なんですね」
🧣Dustきりゅう:「…………」
きりゅうは顔を上げる。
🧣Dustきりゅう:「……来るな」
🥽根暗:「嫌です」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「夫を置いていく妻が、どこにいるんですか」
🧣Dustきりゅう:「……根暗」
🥽根暗:「はい」
🧣Dustきりゅう:「……逃げろ」
🥽根暗:「嫌です」
🧣Dustきりゅう:「頼むから……」
🥽根暗:「嫌です」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「あなたが何をしてしまったのか、僕は知りません」
🥽根暗:「でも……」
🥽根暗:「あなたが苦しんでいることだけは分かります」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「だから、僕はあなたを止めます」
🧣Dustきりゅう:「…………そうか」
きりゅうが立ち上がる。
根暗もチェンソーを構える。
🥽根暗:「……怖いです」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「正直、ものすごく怖いです…」
🥽根暗:「でも……」
🥽根暗:「あなたを一人にはしたくない」
――戦闘開始。
🥽根暗:「きりゅう!」
🧣Dustきりゅう:「…………」
チェンソーが振られる。
きりゅうは避ける。
🥽根暗:「まだです!」
もう一度。
しかし、きりゅうは反撃しない。
🥽根暗:「……?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「きりゅう?」
🧣Dustきりゅう:「……やめろ」
🥽根暗:「なら、戻ってきてください」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「僕の知ってるきりゅうは……」
🥽根暗:「こんなことをする人じゃありません」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「優しくて」
🥽根暗:「変なところでふざけてて」
🥽根暗:「たまに意味の分からないことを言って……」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「僕が嫉妬したら、困った顔をする人です」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「……だから」
🥽根暗:「帰ってきてください」
きりゅうの手が止まる。
🥽根暗:「……!」
🥽根暗:「そうです」
🥽根暗:「それでいいんです」
🧣Dustきりゅう:「…………俺は」
🥽根暗:「はい」
🧣Dustきりゅう:「…………」
きりゅうは俯く。
🧣Dustきりゅう:「俺は……もう……」
🥽根暗:「大丈夫です」
🧣Dustきりゅう:「……大丈夫じゃない」
🥽根暗:「なら、僕が隣にいます」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「一緒に背負えばいいじゃないですか」
その言葉に――
きりゅうの手が震える。
☠️ファントムキューカンバー:「…………」
🧣Dustきりゅう:「…………」
☠️ファントムキューカンバー:「また、逃げるのか?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「きりゅう?」
☠️ファントムキューカンバー:「みんなは何のために死んだ?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
☠️ファントムキューカンバー:「キューカンバーは?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
☠️ファントムキューカンバー:「みーなは?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
☠️ファントムキューカンバー:「シャドウは?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
☠️ファントムキューカンバー:「リンゴは?」
🧣Dustきりゅう:「…………やめろ」
🥽根暗:「きりゅう……?」
🧣Dustきりゅう:「……やめろ……」
☠️ファントムキューカンバー:「そして――」
☠️ファントムキューカンバー:「今ここで根暗を見逃したら?」
🧣Dustきりゅう:「…………」
☠️ファントムキューカンバー:「全てが無駄になる」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「きりゅう」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「僕を見てください」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「大丈夫です」
🧣Dustきりゅう:「…………ごめん」
🥽根暗:「…………」
🧣Dustきりゅう:「本当に……ごめん」
🥽根暗:「……きりゅう?」
🥽根暗:「……っ」
その場に倒れる。
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「……まだ……」
根暗は立ち上がろうとする。
🥽根暗:「まだ……話せます……」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「だから……」
🥽根暗:「……お願いです」
🥽根暗:「戻ってきて……」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「あなたが……僕の夫じゃなくなっても……」
🥽根暗:「僕は……あなたを…」
🥽根暗「愛し…て…います…」
言葉が途切れる。
🧣Dustきりゅう:「…………」
🥽根暗:「…………」
静寂。
雪だけが降り続けている。
🧣Dustきりゅう:「…………」
きりゅうは、しばらく動かなかった。
そして――
YOU WIN!
0 GOLD
??? EXP
🧣Dustきりゅう:「…………」
根暗がいなくなった場所を見る。
🧣Dustきりゅう:「…………」
🧣Dustきりゅう:「…………あ」
小さな声。
🧣Dustきりゅう:「…………は」
🧣Dustきりゅう:「…………はは」
肩が震える。
🧣Dustきりゅう:「…………ははは」
そして――
🧣Dustきりゅう:「あは……」
笑い声が漏れる。
🧣Dustきりゅう:「……あはははははは!!」
☠️ファントムキューカンバー:「…………」
🧣Dustきりゅう:「俺……」
🧣Dustきりゅう:「俺は何人殺した?」
☠️ファントムキューカンバー:「…………」
🧣Dustきりゅう:「分かんねぇや」
🧣Dustきりゅう:「あははははは!!」
笑っている。
なのに、その顔からは一切の楽しさが感じられない。
🧣Dustきりゅう:「みーな……」
🧣Dustきりゅう:「リンゴ……」
🧣Dustきりゅう:「シャドウ……」
🧣Dustきりゅう:「キューカンバー……」
🧣Dustきりゅう:「根暗……」
🧣Dustきりゅう:「…………」
🧣Dustきりゅう:「全部、俺が殺した」
🧣Dustきりゅう:「あはははははははは!!」
もう、止まらない。
罪悪感も。
後悔も。
悲しみも。
全部が壊れていく。
🧣Dustきりゅう:「……だったら」
きりゅうはゆっくりと立ち上がる。
白いフードを被る。
🧣Dustきりゅう:「最後までやってやるよ」
その瞳から、かつての「きりゅう」は消えた。
☠️ファントムキューカンバー:「…………」
🧣Dustきりゅう:「……行こうぜ」
🧣Dustきりゅう:「まだ、殺してない奴がいる」
――この瞬間。
きりゅうは完全に消えた。
そこに残ったのは――
マーダーキリュウだけだった。
コメント
1件
第4話、読みました。根暗さんの「一緒に背負えばいいじゃないですか」という言葉に、胸がぎゅっとなりました。どんなに辛くても隣にいようとするその想いが、切なくて美しくて…。最後のきりゅうさんの笑い声、あれがどうしても頭から離れません。楽しさの欠片もない笑顔で、読んでいて心が痛かったです。次が気になります。