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高くて分厚い壁? それって世間体のことかしら。それとも相手は人妻とか? とにかくケンジさんが、ちょっと危ないストーカー野郎だってことは、よぉく分かった。
アブナイ男から大金を貰う自分。多少のリスクがあるのは、当たり前だよね。
「……だったら早速ホテルに行く?」
興奮している彼に声をかけつつ、小首を傾げて色っぽいポーズをとりながら、改めてケンジさんの服装をチェックした。
手荷物はナシ。洋服のポケットも特に膨らんでる様子はないから、変なものは持っていないのは明らかだった。
たまぁに変な遊びをしたがる人がいるからチェックしておかないと、あとから大変な目に遭うのよね。
「はい! あ、その……行きたいですっ」
「豪華な部屋のわりに、安くていいトコ知ってるんだ。そこでいいかな?」
言いながらケンジさんの左腕に自分の腕を絡めて、引っ張るように歩き出した。
いつも使ってるホテルが、一番安心できる。全部屋の様子から非常口の位置だって、すべて把握済みだった。
かくて鼻の下を伸ばした彼を連れて、いつものようにホテルにチェックインした。まずは前金をせしめるべく、頭の中で電卓を細かく叩いていく――。