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※これは二次創作です。ご本人様とは一切関係ございません
ご本人様とは口調が違うことがありますがご了承ください
「ほら!ブルーク起きて!」
「あと5分…」
nakamu達がここに来て数年が経った
初めのうちはみんなよそよそしかったけど次第になれていった
「きりやん達がご飯作って待ってるの!ほーら早く!」
nakamuに毛布を取られて渋々起き上がる
うーん、今日もいい天気だなぁ
今日は何をしようかなぁと寝ぼけた頭で考える
シャークんと一緒に運動してもいいし
スマイルと一緒に図書館行くのもいいな
nakamuと一緒に美味しいフルーツ店を巡るのもいいね
きりやんと一緒に新しい料理に挑戦したり
きんときと一緒にまちを巡るのも楽しそうだ
「ぶるーく起きたらなら席につけよー」
きりやんにそう言われてご飯を食べる席につく
「みんな揃ったねー」
nakamuが揃ったのを確認して
「いただきます」
といった
それが僕の日常になってしまった
あんなにボロかった屋敷も部屋もスマイルとnakamuがきれいにしてくれた
美味しいご飯をきりやんときんときが作ってくれてもう随分人間らしくなってしまった
ご飯を食べなかったらお腹が空く
お風呂に入らなかったら気持ちが悪い
部屋が汚いと寝にくい
ちょっと前じゃ何も感じなかったことだ
「ぶるーくって本当に不老不死だったんだな」
ふとスマイルがそんな事を口にした
「信じてなかったのー?」
笑いながらそう聞くと
「あぁ、なんかの冗談かと思った」
と彼は真顔で言った
「僕あんなに必死に言ったのになぁ」
「いや、必死ではなかったかな」
とnakamuが笑いながらそう言った
「だってぶるーく、僕不老不死なんだよねぇって平然と言ったからね。そんなの信じられなくない?」
とnakamuが言うので確かになぁと思ってしまった
彼にはどこか人を納得させる力がある
「僕だっていきなり君らが来たからびっくりしたよ」
でもワクワクした
君らが久しぶりにここに来てくれた人だから
「俺らもびっくりしたよなー」
きりやんがそう言って言葉を繋げる
「だってあれだぜ?ここは呪われた屋敷、足を踏み入れたら殺されるって孤児院の頃から聞かられていたもんな」
「へぇ〜」
意外とこの屋敷は街に知れ渡っていたようで子供達が行かないように呪いの屋敷というデマを流したらしい
「そして来てみたらなんか同じぐらいの歳のやつが住んでるんだよ。それはびっくりするわ」
「しかも不老不死だし」
と笑いながら付け足す
それからくだらい話をした
僕が生きた中でびっくりしたこと面白かったこと
彼らが孤児院で体験した怖かった思い出や楽しかった思い出
まるで古くからの親友みたいでなんか楽しいな、彼らがどう感じたか分からないけど僕はそう感じた
話しているうちにみんな食べ終わってしまった
「ご馳走様でした」
nakamuがよく響く声でそう言った
平和だなぁ
ふとそう思った
この何千年僕はずっと平和だったはずなのに、何も無かったはずなのにそう思ってしまった
「僕ちょっと散歩してくるね」
そう言うと
「いってらっしゃい」
と彼らが返してくれる
それだけでも僕の中の何かが満たされていく
「久しぶりに歩いたなぁ」
誰もいないのにそう言ってしまう
これは昔ながらの癖みたいなもんだ
いつからなんて分かんないけどいつの間にかこんな癖がついていた
治さなくても何も問題ないし直す気もないからそのままにしている
うん平和だ
何もない楽しい日々の中でそう思う
彼らが来てから毎日が騒がしく毎日が楽しかった
きっと彼らが来なかったら僕はずっと何も変わらない日常を繰り返していただろう
感謝してもしきれないぐらい彼らには感謝している
「ずっと続けばいいのにねぇ…」
口から零れた言葉におどろき、思わず足を止め口に手を当ててしまう
「あはは、何言ってんの?笑えないって」
本当に笑えない
何を心配してるの?ずっと続くに決まってるじゃん
心配しなくてもこの日々が変わることなんて…
「ほんとに?」
変わる時は来るはずだよ
僕が思っていることとは裏腹に脳は酷く冷静に理解していた
ずっと僕が思わないでいたこと
ずっと見ないようにしていた現実
彼らが僕を置いていくことを
「なんでだよ」
思わず言ってしまった
「なんでみんな死んじゃうんだよ…」
なんで僕は不老不死になったんだよ
なんで神様はこんな僕の願いを叶えたんだよ
なんでもっと真剣に生きたがってた子を選ばなかったんだよ
なんで、なんで、なんで、なんでなんでなんで
「なんでみんな死んじゃうんだ…」
嫌だ、嫌だよ
僕はみんなと、一緒にいたい
またあんな苦しい生活に戻るなんて、
「耐えられないよ…」
僕はなんで、みんなが住むことを許可したんだ
こんなことになるならいっその事、情が移る前に
「殺してしまえばよかった」
そんなこと言っても無駄なんだ
もう未来は変えられない
過去にも戻れない
僕にはどうすることも出来ない
神様には抗えない
神様が作った世界は完璧すぎた
故に誰も逆らうことは出来ない
彼らは死というものが来るその瞬間まで足掻くしか無いんだ
僕は足掻く権利すらない
「はぁ、こうなることを分かっていたはずなのに」
なんでこんな事しちゃったんだろう
たくさん散歩してそろそろ日が暮れる時間になった
そろそろ戻らないとみんな心配しちゃうな
戻らなきゃ…
「戻らなきゃ?」
戻らなかったらどうなる?
彼らに合わなくて済む
そしたら、彼らが死ぬその瞬間を見なくて済む
ここで居なくなったら彼らへの思いはもうこれ以上積もることは無い
つまり、これ以上苦しまなくて済む?
「あは、こんな近くにあった解決策」
僕って鈍感なんだなぁ
もう、分かりきってんじゃん
逃げる
この屋敷から
この街から
この世界から
逃げるんだ
そう思ったら足は屋敷とは真逆の方向にむかっていた
大丈夫大丈夫大丈夫
苦しくないよ
悲しくないよ
ここに居たらもっと寂しくなるよ
「行かなきゃ」
彼らから1番遠い場所へ
そう思って僕は歩き出した
そのときだった
「ぶるーく!」
「え?」
後ろから声がして思わず振り返ってしまう
だってその声にあまりに呼ばれ慣れてしまって
振り返ることが体に染み付いて居たから
「すま、いる?」
「どこに行くんだ?」
まずい、まずいまずいまずいまずいまずいまずい
彼は鋭い
どんな嘘でも矛盾があったらすぐバレる
完璧な嘘をつかないと
「散歩って言ったじゃーんスマさん話聞いてなかったの〜?」
笑いながらそう言う
引きずるな、いつもの笑い方を演じろ
あくまでも自然体に
「こんな時間まで?」
「あぁ!こんなに暗くなってたんだ!全く気づかなかったなぁ」
知らないふり、歩くのに夢中になってて分からなかったフリ
「そうか、」
彼はそう言って引き返そうとする
よし、そのまま、そのまま
今は帰ってもいい
必ずしも今じゃない、この計画を近々実行したらいい
みんなにバレない時に…
僕も帰ろうとして彼の後ろを歩く
僕が彼に追いついた時彼は急に振り返った
「え?!」
「ぶるーく」
僕なんかバレるようなことしたっけ
してないはず
さっきと同じように油断なんて見せてないし
嘘をついているそぶりなんて
「俺らが居なくなったら寂しいか?」
「へ」
思わず間抜けな声をしてしまった
なんか懐かしいね、この感じ
少し懐かしさを感じてる間に彼は口を開いた
「悪い、聞いてた」
その言葉で全てを理解した
僕はつけられてたんだ
あの屋敷を出た時からこの鋭い彼に
そして森の中の独り言を聞かれた
彼が話しかけたのは偶然なんかではなく、僕をここに留めるためにわざわざ…
「スマイルって案外たち悪いんだね」
笑いながらそう言った
ほんとにタチ悪いよ
きっと僕がどっか行こうとしている、なんて知らなければ彼は呼び止めようとしなかっただろう
知らないふりを続けていたんだろうな
ほんとに素直に呼び止める子よりタチが悪いよ
「まぁな」
悪気がないように彼は言う
「んで、俺らが居なくなったら寂しいのか?」
さっきの質問を繰り返すように彼は言った
そんなの、
「そんなの、当たり前じゃん!」
思わず叫んでしまう
これは予想外だったのか彼は目を丸くしていた
あはは、君だってそんな顔するんだ
初めて見たよ
頭はいろんな感情で爆発しそうなのに、君のその顔を見ると笑ってしまう。
あぁ、頭はどこか冷静だ
そう思ってしまった
「僕はずっと、寂しかったんだよ。誰も一緒に居なかった。苦しかった。だからいつもいつもいっつも僕は」
「死にたかったんだ」
死にたい死にたいと言っていたのはヒーローを求めていたからじゃない
本当は昔みたいに神様が僕の願いを聞いてくれることを願っていたからだ
早く違う人生を送りたかったからだ
皆みたいに短い中で生を謳歌したかったからだ
「死にたかった、か」
彼は落ち着いた様子でその言葉を口にした
「俺はさ、ブルーク」
「俺は生きたかったんだよ」
彼は彼らしくない言葉で僕に向かってそう言った
「俺らは孤児院で育てられた。里親が見つかんないと一生孤児院の中で過ごさなければならない」
「けど俺はそれでもいいと思ったんだ」
彼は心の底からそう思っていたらしい
「けど、追い出された。理由なんて知らない。大人の事情だろ」
「けどこんな状況になっても俺は生きたかった。生きてさえいればどうとでもなると思ってた」
nakamu達は諦めていたけどな
と彼は言う
淡々とした口調で彼の短い人生で得た思いを簡潔に簡単に
「俺らが生きれたのはお前のおかげだ、生きたいという思いがどれだけ強くてもそれだけじゃ生きられない。孤児院で盗み出した食料も底をついていたし、いつ病気にかかってもおかしくない。そんな時にお前の屋敷を見つけた」
「ぶるーくこう言うのも何だが」
「生きていてくれてありがとう」
彼は澄んだ瞳で僕を見つめてそう言ってくれた
初めて言われた言葉だった
こんな何十年、何百年、何千年生きていて…
初めて言われた言葉だったんだ
僕の生まれた時代は食料困難で大量に人が死んで
親は僕にご飯をあげるのが精一杯で
いつもいつも迷惑をかけていた
不老不死になったと気づいた時からご飯を食べることは辞めていた
少しでも両親に楽して欲しいから
そして両親が亡くなってから、少しずつ、少しずつ人と関わるの辞めていった
不老不死ってバレるのが怖いから
恐られたくなかったから
そしたら孤立して
たまたま見つけたあの屋敷に住むことにした
「ぶるーく?」
「あは」
思わず笑ってしまった
「スマイルってよく恥ずかしいこと平気で言えるよね」
ありがとう、か
もう一生忘れない
胸に刻み込んでおくよ
君のおかげでもう少しだけ人間らしく生きることができそうだ
「なぁ、ぶるーく」
「ん〜?」
「俺達が初めてあの屋敷で夕食を食べた時お前なんて言ったか覚えているか?」
「えぇ〜っと」
なんか言ったっけ
なんか、野菜について文句言ってた気がするなぁ…
「お前はこう言ったんだよ」
「僕と一緒に暇つぶしをしよう、君たちが屋敷を出るその時まで」
「あ」
そうだそうだ
そんなことを言ったら
「俺らはここから出る気は無い、お前と一緒にこの人生を送るつもりだ」
「置いていかれたら寂しい悲しいなんて言っておきながらお前は俺たちを置いていくのか?」
お前は置いていかれたら俺達の気持ちがわからないのか?
と彼は言った
…
分からないよ
「僕には分かんないよ、」
「僕は、ずっと独りだったんだ。ずっと一緒だった君たちには分かんないだろうし僕も君たちの気持ちは分からない」
みんな一緒にいるんだからたかが1人が消えた所で大して変わらないでしょ?
初めは悲しいかもだけど暫くしたらそんな気持ちは忘れるよ
「お前はnakamuが消えたらどう思う?」
突然彼がそんなこと言ってきた
「そんなの、心配する」
「ほかには?」
「悲しくなる」
「ほかには?」
「なんか嫌なことあったのかなって思う」
「ほかには?」
「えぇっと」
「会いたくなる」
「ほかに4人もいるのに、か?」
なるほど
そう言うことか
彼のしつこい質問でようやく理解できた
そうゆうことだったんだなぁ
思わず笑ってしまう
あーぁ僕って本当に鈍感だなぁ
自分の間抜けさに呆れた
そんなこと僕が一番よくわかってるじゃん
寂しくて悲しくて苦しくてまた話したくなる
また会いたくなるんだ
僕らは6人も居るけどそれぞれの個性がある
それぞれの思いがある
それはその人と一緒に居ないと感じられないこと、その人じゃなきゃ考えられないこと
そんな事、長く生きなくても分かるはずなのになぁ
「長生きはするもんじゃないね」
近くの大切なものすら見えないや
「そーゆうことだ」
うん
僕は君らが死んでも生き続ける
けど君らの死を見届けても見届けなくてもそれは確定した未来だ
なら
僕の人生に少しでも刺激を与えようじゃないか
彼らが死ぬその瞬間まで僕はずっと傍にいよう
彼らに刺激を与えて刺激をもらって
彼らが生きている間はそんな人生を送ろう
ここから離れるのは簡単だ
だけど刺激がない人生ほどつまらないものはないんだ
なら
できるだけ長く刺激を貰い続けよう
「さぁ帰ろうブルーク」
「そうだね!スマイル」
あぁ、僕を引き止めたのが君で本当に良かった!
「遅い」
家に帰ると玄関前にきりやんが仁王立ちで立っていた
「あ〜」
思わずスマイルと目が合う
「これはめんどくさいやつか…」
ボソッとスマイルが呟いた
スマイルそれは禁句だって!
「スマイルぅー?」
彼の雷が僕達に降り注いだのは言うまでもない
to be continued…