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優愛
二人の顔がゆっくりと近づき、吐息が混じり合う。童磨の唇が、しのぶの細い顎を掬い上げるようにして重なった。触れた瞬間、氷のような冷たさと、鬼の血が沸き立つような熱情が同時に火花を散らす。童磨の舌が、戸惑う間も与えずしのぶの口内へと侵入し、隅々までを支配していく。かつて毒を隠していた彼女の口腔は、今や彼を受け入れるための蜜壺へと変貌していた。
「ん…、ふ……っ」
しのぶは、鼻にかかった艶っぽい声を漏らしながら、彼の首に細い腕をきつく回した。深く、貪るような口づけ。それは単なる接触ではなく、互いの存在を根こそぎ奪い合うような、魂の融合だった。
童磨の舌が絡みつくたび、しのぶの脳裏には眩暈がするほどの快楽が駆け巡る。人間だった頃の倫理も、誇りも、すべてがその深いディープキスによって洗い流されていく。彼女は自ら舌を伸ばし、彼の奔放な動きに応え、より深く、より激しく彼を求めた。
「しのぶちゃん、君の味はどんな毒よりも僕を狂わせるよ。もっと…もっと深く繋がろう」
童磨が囁き、さらに唇を押し付ける。吸い上げられる吐息とともに、しのぶの意識は白濁し、視界は火花が散るように明滅した。鬼となった彼女の身体は、彼の唾液さえも極上の甘露として受け入れ、強烈な多幸感に包まれる。
離れる間際、銀色の糸が二人の唇の間に長く引かれた。しのぶは潤んだ瞳で彼を見つめ、上気した顔で荒い呼吸を繰り返す。
「童磨さん……、私、もう……あなたなしでは、息をすることもできません……」
そう告げる彼女の表情には、かつての冷徹な剣士の面影はなく、ただ一人の男を心から、狂おしいほどに愛する女の悦びだけが咲き誇っていた。二人は再び、どちらからともなく吸い寄せられるように唇を重ね、無限城の静寂を甘い水音で満たしていった。