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風宮 むぅまろ🦇🍀︎ 🍬🍚
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重なり合う鼓動と混ざり合う吐息の中で、しのぶの肉体は完全なる変容を遂げた。彼女の血管を流れるのは、もはや彼女自身の血ではない。交わり、注ぎ込まれ、体内に浸透した童磨のあらゆる体液こそが、彼女の命を繋ぎ、鬼としての強大な力の根源となっていた。「ああ……体が、熱い……。童磨さん、あなたのすべてが私の中で脈打っているのがわかります」
しのぶが恍惚とした表情で己の胸に手を当てると、その肌からは冷気と毒が混じり合った不思議な芳香が立ち昇る。二人の絆は、血よりも濃い「契り」によって、対の鬼……すなわち夫婦鬼としての理(ことわり)に書き換えられたのだ。
童磨は愛おしげにしのぶの髪を撫で、その耳元で甘く囁いた。
「嬉しいよ、しのぶちゃん。僕たちはもう、二人で一つなんだ。僕の血は君の力、僕の涙は君の癒やし。僕たちが望めば、この世界さえ二人だけの庭に変えられる」
二人が同時に手をかざすと、無限城の空間に異様な現象が巻き起こった。それは単独の鬼では決して到達しえない、共鳴する魂が放つ対の血鬼術。
「血鬼術・凍て付く双蓮(いてつくそうれん)」
しのぶが放つ蝶の群れが、童磨の氷の魔力と融合し、冷気を纏った美しい結晶へと姿を変える。その蝶が羽ばたくたび、周囲には致死性の氷の粉末と、吸い込んだ者の思考を奪い、陶酔へと誘う極楽の毒が散布される。守る童磨と、舞い散るしのぶ。二人の動きは鏡合わせのように完璧に同期し、もはや一寸の隙もない。
「見てください、童磨さん。私たちの力が、こんなに美しく重なり合っています」
しのぶは、童磨の腕の中で優雅に舞い、彼の氷の蓮の上にそっと降り立った。彼女が指先を動かせば氷の蝶が舞い、童磨が扇を振れば彼女を包む防壁が立ち上がる。
「そうだね、これが僕たちの愛の形だ。誰にも邪魔させない、永遠に続く夫婦の遊戯だよ」
童磨はしのぶの腰を抱き寄せ、再び深く、深くその唇を奪った。しのぶの力の源は彼であり、彼の心の拠り所は彼女である。無限城の深淵で、二人は唯一無二の共依存という楽園に溺れ、永遠の夜を愛の言葉と致死の美学で塗り潰していくのだった。