「寝てたのか、僕。」
コンコンコンとドアが鳴る。
「誰。」
「ひすいだよ。」
「何?」
「その、、、しぐれくんと話がしたい。 」
「無理、ほっといて。」
なんでこんなに冷たくあたっちゃうんだろう。
これは本当に僕が思っていること?
「じゃあ、僕、しぐれくんがここ開けるまでずっとドアの前にいるからね!」
「ご自由に。」
こいつは何を考えてるんだろう。アホなのか?
僕はベッドにうずくまって昔のことを思い出していた。
幼稚園の入学式。
「ねぇ、あのさー」
「うわああああああん」
仲良くなりたい一心で自分はとある男の子に話しかけた。
「大丈夫!?◯◯くん。」
先生が◯◯くんのところに行く。
「この子が話しかけてきた。」
そう言って僕の方を指差す。
「怖かったねー。大丈夫だからねー。」
辛い。その慰めが、辛い。
「こっちおいで、千草くん。」
別の先生が僕のことを呼んだ。千草は、僕の本名だ。
「うん。」
「千草くんが悪くないのは誰でもわかっているし知っているの。ただー他の人とちょっと違うだけ。気にすることなんてないからね。」
悪気がないのは知っている。だけど自分は深く傷つく。
「うん。」
自分は他の人とは違うー。
それきり僕は、高校生になるまで引きこもりだった。
「なんで学校。」
頭は悪くない。勉強はできる方だ。運動もまぁまぁできる。だから義務教育はなんとかなった。でもそう上手くいかないのが高校。出席日数が必要。
高校生になってカラコンもつけられる。
なら、大丈夫か。
僕はオッドアイということを秘密にしながら高校を過ごした。友情も恋愛もそこそこ上手くやっていたから少し自分に自信がついた。
けれど、人生はそう上手くいかない。
高校生活も残り2ヶ月。ある日大雨が降ってカラコンが汚れてしまった。比較的誰もいないトイレで洗っていたのにー高校生になってできた大親友にオッドアイがバレた。
それからはトントン拍子に話が進む。
友情崩壊。恋愛終了。いじめの開始。
今までの思い出を全てかき消すようだった。
それから僕はネットという隠れ家に身を潜めた。
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