軽く掃除もして、少し副菜も作りつつ、あとは焼くだけとなったくらいにインターホンが鳴る
玄関に現れたしょっぴーは、サウナに行ったのだろう、少し血色のいい頬をしていた
「いらっしゃい。サウナ行ってきたん?」
「うん。ごめんな、急に」
「ええよ。仕事も夕方までだったし、しょっぴーならいつでも大歓迎や」
「ありがと」
安心したようにはにかむのが可愛い
「もうあと焼いたらできるから、座って待っとってや」
「うん」
キッチンが見える位置に座ったしょっぴーは、両手で頬杖をつきながら、ぼけっと俺の作業を見ている
「なんや、そんな見つめられたら恥ずかしいわ」
「んー、なんか、こーじも、涼太もめめもそうだけど、料理できるのすごいなって」
「慣れたらできるよ」
「それ、めめにも言われた。この前あべちゃんもご飯食べさせてくれたし」
「しょっぴー、あべちゃんちも泊まってるん?」
ラウールと付き合ってる舘さんは置いといて、ライバル2人の名前が出てきて、少し黒い感情が滲み出てくるが、しょっぴーは気づかず話し続ける
「この前、水族館行った後にあべちゃんち行ったんだけど、めちゃくちゃ雨降って帰れなくなっちゃって」
「あぁ、あの雨すごかった日か」
「ん。ねぇ、もうできる?いい匂いずっとしてるから、お腹減った」
「おん、ちょうどできたで。お皿とか出すの手伝って」
「はーい」
わくわくした顔でキッチンに近づいてくる様子は、小さい子供のようだ
「「いただきます」」
お皿なども並べ終えて食べ始める
「ん!うまっ!」
いつも通りの満面の笑みでの反応に、黒い感情も鳴りを潜める
「お気に召しましたやろか?笑」
「ん〜!大満足〜!やっぱ、こーじのご飯美味しいわ」
「おおきに」
仕事の話で盛り上がりながら箸を進めて食べ終わり、この前と同じく、しょっぴーが洗い物をしてくれた
洗い物終わりのしょっぴーの横に立ち、コーヒー豆に手をかけながら話しかける
「ありがとさん、コーヒー飲むか」
「うん」
「そういえば、珍しいな。しょっぴーの方から家来たいって言うの」
「…………だって、こーじが全然誘ってくれないから」
「え?そんなに日にち開いたっけ?」
「そうじゃなくて」
「………?」
わからなくて、手を止めてしょっぴーの方を振り返る
何か言いたげにじっと見つめられるが、全くわからない
「しょっぴー?」
「…………こーじ、いつもはすぐに予定聞いてくるじゃん」
「え〜?なにそれ。聞いて欲しかったってこと?」
「……別に」
ぷいと向こうを向く耳の端は少し赤い
「それ、肯定してるのと一緒やん」
「………………そう、だけど」
「え?」
小さい小さい声だったけど、ハッキリと聞き取れた
思わず肩を掴んでこちらを向かせれば、耳の紅は頬まで広がっていた
「なぁ、しょっぴー。そんなん、俺、期待してまうで。ええの?」
俯き加減な顔を覗き込んで追求すれば、またふいっと逸らされた
それでも肩に乗せた手を振り解きはされない
「しょっぴー」
もう1度呼び掛ければ、すぅはぁと深呼吸をした後に、上目遣いでじっと目線を合わせてくるから、少し構えてしまった
コメント
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尊いってこういうことだよねぇうんうん🙂↕️