テラーノベル
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数秒間、俺の目を見つめてきたしょっぴーが、ぽそりと一言こぼす
「1回しかしないから」
そう言ってぎゅっと抱きしめられて、頬に一瞬だけ柔らかな熱が触れる
「へ?」
「俺、帰る」
呆気に取られているうちに、しょっぴーは離れていて、そのまま本当に帰ってしまいそうになるのを、慌てて引き止める
「ちょっと!待ちやって!」
「やだ!」
反射で手首を掴んだのを、向こうを向いたままに振り解こうとするしょっぴーを思い切り引き寄せて、後ろから抱きしめた
「離せって!」
「離さへん、離すわけない」
「なんで!」
「好きやもん!俺、しょっぴーのこと大好きやもん!だから離せへん」
「……うそ」
「ほんまや。くっついとるんやからわかるやろ?俺の心臓がどれだけバクバクしとんのか」
「……っ、わかんないもん」
俯いてそう呟くしょっぴーの、髪から覗く耳はさっきよりも真っ赤だ
「しょっぴー、俺がしょっぴーのこと好きなのは嫌や?」
「っ!……そんな聞き方、ずるい」
「ずるくはないやろ、先に仕掛けたのはしょっぴーやんか」
「………仕掛けてなんか」
「じゃあ、さっきのキスはなんなん?」
「…………」
「しょっぴー、こっち向いて」
肩に手を置いて誘導すると、俯いて目を合わせてはくれないけど、素直にこちらに向き直ってくれた
「…………こーじ、ほんとに?」
「ん?」
「ほんとに俺が、す、すき?」
「うん、しょっぴーが好きやで」
「俺だけ?」
「しょっぴーだけ」
「でも、こーじは、みんなに好き好き言うし、抱きつくじゃん」
「……え、しょっぴー、もしかしてヤキモチ?」
「……うるさい」
パッと顔を上げて涙目で睨まれる
「確かに俺はみんなのことも好きやけど、特別に大好きで、特別にドキドキして、特別に大事にしたいって思うんは、しょっぴーだけやで」
「………でも」
「俺、結構わかりやすく特別にしょっぴー構ってるつもりやったんやけど、伝わってなかった?」
「…………つたわってる、けど」
「けど?」
「こーじは、みんなに、なかいい、し、やさしい、から、不安になる」
「俺が、ちゅーしたいのも、愛し合いたいのも、しょっぴーだけ。それに、休みにわざわざ約束してまで、撮りたいって思うくらいに惚れてるのも、しょっぴーだけやねんで」
「……………ん」
「しょっぴーは俺のこと好き?」
「……………わかっただろ、さっきので」
「ちゃんと聞きたいねん、最初くらいは」
「………………………」
「しょっぴー?」
「……………………す、き」
それはもう蚊の鳴くような声やったけど、震えるその澄んだ響きには、めちゃくちゃ好きが詰まっとって、愛おしさがとまらない
もう一度正面からぎゅっと抱きしめて、ゆっくりと耳元で伝える
「しょっぴー、大好きやで。やから、俺と付き合って?」
こくりと無言で頷いたしょっぴーは、ちょっと遠慮がちに背中に手を回してくれた
「ありがとう。めちゃくちゃ嬉しいわ」
「ん」
返事はそっけないけど、背中で服がぎゅっと掴まれるのを感じて、嬉しさが増していく
コメント
4件

ひゃー!可愛いいいいい💙💙💙 ちゃんと言えて偉いねぇ
うわー最高だなーいっそ泣ける、、、