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僕のセフレはニ人いる。
一人は一番付き合いの長い溺愛系キャバ嬢のジュリ。
もう一人の壮一との関係は一年半続いている。
僕は気まぐれに出入りしているノンケも出入り可の出会い系のバーで、いつも通りボーっと誰かに声を掛けられるのを待っていた。するとその日偶然友達と飲みに来ていた壮一の方から急に声を掛けて来た。店内に入って来た瞬間から明らかにノンケだと分かった。壮一に連れが居たからすぐに断ったけど、「頼む!一晩だけでも一緒に居てみたい。初めて会ったのに気になって仕方ないんだ。」と、頼み込まれて一夜限りの関係を持った。
僕は必ず「一回限りだから。」と、相手には前置きを必ず伝える。しかし、一度関係を持った後も何故かそのバーに行く度に壮一にやたらと声を掛けられ、断り続けるのも面倒なのでいくつか一方的な決まりを付け加えてから最終的にセフレになった。
ジュリの時と同様、僕は意外と押しに弱い一面がある事は自覚していたけど、面倒な相手ならすぐに切る事も考えていた。だけど、壮一は始めの勢いとは違って、僕らの関係に名前が付くと、身体を重ねる度に僕をそのままを受け入れてくれた。そういえば、壮一と初めてセックスをする時、男を抱くのは初めてだと緊張していたっけ。ガッチリした体格の様に強引かと思いきや案外平和主義な性格だったりする。
セフレ関係にあたっての約束事を壮一に伝えた。まずは僕は特定の誰とも付き合うつもりが無い事。それに誘いを断る場合がある事。僕の相手が他に何人いても気にしないでいる事が条件になっている。
そんな横暴な条件を壮一はすんなり受け入れてくれた。
・・・・
僕から他のセフレの名前は出さなかったけど、僕と居る時に誰かから連絡が来る事で、他にもセフレがいる事は気付いているのは明らかだった。でも壮一は最初の約束を律儀に守って従順だった。
僕は壮一が相手だと明らかに抱かれる側だ。
僕がセフレを作る理由を壮一には話していない。でも眠りたがっている事を理解した上で身体の関係を持っている。求める分だけ応えてくれる。ジュリからは呼び出されるだけだが、壮一とは家を行ったり来たりする事もあり、時折壮一がバーに迎えに来てからどちらかの家へ行く。壮一は僕の顔が兎に角好きらしい。そこはジュリと同じ。この顔の何がそんなに良いんだか…。
ある時、何であんなに強引だったのか聞いてみた。「ねぇ、随分大人しいね。バーでは強気だったのに。」そう聞くと困った顔になっていた。
壮一は寡黙なタイプで友達と飲みには行くが誰かに声を掛ける事は無かった。でも僕を見た瞬間にほぼ一目惚れに近い感情で勢いよく声を掛けてしまっていた。「納得してこの関係になったんだ。付き合うとかは出来ないのは分かってる。」とも言っていた。
出会い系のバーの中で、僕は特定の誰とも付き合わない事で話題になっていたらしい。その事を他の客からの話しで知っても諦めないガッツを彼は持っている。実際には一夜だけでなくセフレになれた事で壮一は満足している様だ。
関係を持ち、行き来するにつれて、僕の家の中が荒れている時には面倒見が良い壮一が整えてくれる事も度々る。でも壮一が家で何をしても僕は興味がない。
自分の家であっても『自分の家』という名前の箱。下手したら泥棒が入って来ても無視出来るかもしれないとすら思う。
僕の関心が向くのは眠る前だけ。必要になった時に誰かいれば良いんだ。今夜も夢を見ない為に身体の関係だけ持つ。
・・・・
あれから一年以上経ち、バーまで迎えに来てもベタベタしない壮一の事を楽な相手だと思ってる。
『疲れた…早く寝ないと…』そんな事を考えながら自宅へ壮一と帰った。
◆◆◆◆
帰宅後、俺が話しかけてもいつも通りにツキは淡々と短い返事のみ。風呂上がり、飲み物を飲みながら何やらゲームをしてるらしい。ツキの横顔を見るとやはり今日も目が虚でボーっとしている。でもそんな横顔すら可愛いと思ってしまう。
会う度、相変わらず疲れている様子なのに抱かれたがるツキを見て、ツキの身体が壊れない様にツキが満足するまで今日も抱いた。今夜は一緒に過ごせる。気絶する様に眠ってしまうツキの身体を綺麗にしてあげてから抱きしめて眠った。
時折夢を見ているツキが泣いている事は知っていたけど、でもそれを本人に伝える事はしてはいけないと思って聞いてはいない。余計な詮索は出来なかった。また少し泣いている。俺はツキの涙を拭ってあげる事しか出来ないんだ。
◆◆◆◆
いつも通り、起きるとすぐに壮一も起こす。
「おはよ。時間だよ。壮一、起きて。」
僕の仕事へ行く準備をするタイミングで壮一には帰宅してもらっている。
「じゃあまたな。」
「うん。」
壮一とはこれがいつも通りの関係。
◆◆◆◆
ツキの部屋から出て歩きながら『昨日の夜も、寝起きもやっぱ可愛いな…。』とツキを想いながら自宅へ帰った。
俺はSEの仕事をしている。趣味で身体を鍛えたりと体調管理もしてはいるが、外注メインの在宅ワーカーなので基本的に家にいる事が多い。時折外注先へ出向く以外は家やジムにいる為、ツキに合わせて動いている。今更ながらこの仕事で良かったと思いながらスマホを手元に置き、今日も黙々とPCに向かう。