テラーノベル
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目を覚ますと椅子に括り付けられていた。
奥で豪華な料理が並べられたテーブルを囲みだんらんを楽しんでいる3人の姿があった。
『若井〜飲むなって!!』
そんな大森の忠告も聞かずワインをガンっと持ち上げグイッと飲み干し出した。
そのまま藤澤にもたれかかるように眠っていく若井。
『もー……若井を放っておく訳にはいかないか…』
藤澤が若井の首根っこ掴み裏へと連れていった。
『元貴ー“アイツ”起きてるよ。ずっと前からね。早く続きを片付けて。僕らも飲もう。夜に呑まれないように。』
大森がコクっとあいずちをし、俺の方に近づいてきた。
『おはようございます〜犯罪者さん。今は2時くらいですかね…貴方が1時間も寝続けると思わなくて、、すみません笑』
寝起きが悪く、目の前がくらくらと回る。そんな俺に大森は水をくれた。
水を飲み、落ち着くまで付き合ってくれ、そんな大森が優しいと思ったのもつかの間、それは多大なる勘違いだったようだ。
『人ひとり消すのって難しいんですよ。記憶が残ってしまうから。』
そんな大森の一言に、空気が固まった。
「俺を殺すのか…?」
『いいえ?あなたがしたことですよ…?2人分。』
そういうと俺の目の前に鏡を運んできた。
そこに移るのは若々しく凛々しい青年の頃の俺なんかじゃなく、髪はボサボサで、小じわもある汚い顔と服にも顔にも血がついた。犯罪者、殺人犯の姿だった。
『ね?笑犯罪者さん…笑もう、あの頃には戻れないんだよ。』
俺の前で楽しそうな笑顔を浮かべた大森が、陽気な様子でステージに上がって行った。
手を叩くとさっきまで泥酔していたはずの若井も、藤澤もステージに立っていた。
スピーカーが揺れる。
大森の繊細な呼吸音。
『だんだん簡単に心が壊れてしまうようになったな、』
スピーカーから流れたのは……
WanteD!WanteD!のメロディだった。
今や指名手配犯に成り下がった俺への嫌がらせのつもりなのか、?
もう、、全てが、、どうでもいい。
そんな俺でも涙は出るのか、、目が潤みそうになったが、目がおかしいくらいに痛かったんだ。
カランッカランッ
床に涙が落ちた音がおかしい。まるで、石が落ちるみたいだった。
落ちたソレを大森が拾い上げ、口に入れた。もうひとつはポケットに。
「ちょっ!それ……」
大森が睨みつけ、シーっと俺の耳元で口封じをした。
きっと口にしてはいけないのだろうな。
俺はこれからどうしよう。自首をしようか。また逃げ出すか……?何も分からないけど、ここが俺の人生の分岐点であることだけは確かだった。
このBlack Loungeに静寂が戻ってきた頃、扉が開いた。そろそろ、出るべきだろう。
何となく、床に散らばる黒い石をひとつ、ポケットに忍ばせ、その場を後にした。まだ、俺のシャツには赤い、ワインが付いている。
2人目のお客さんも、また帰りましたか。
帰ることの出来ない私たちと違って。
そろそろ若井が限界だって言ってる。そういう所に、時の流れを感じてしまう。
もう扉も、ボロボロだ。
それではまた、0時に。
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コメント
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やばい好き