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「なんで…!」
なんでよりによって君が、
君がこんなものに選ばれないといけないの?
「待ってよ…、」
「俺を置いていかないでよ…!」
必死に叫んでも、
手を伸ばしても、
君に触れることはできない。
「やめなさい!いふ!」
俺を止めにかかっている母や村の人たちの手が、
今日だけは嫌に鬱陶しくて。
だんだんと視界から消えていく君。
それを止めることすらできなくて。
自分に嫌悪を感じる。
あの日約束したことは、
偽りだったの?
「嘘つき…、」
君に俺の言葉は届いているだろうか。
最後に寂しげに微笑んだ君は
とても美しかった。